コラム

東京五輪メンバーに12名対する思いを語る④【オポジット編】

2021年7月3日

#11 西田有志

西田については2年前にも一度記事を書きました。一部内容が被ると思いますがご了承ください。

西田も高校時代から世代別の代表にも選ばれていたので、こんなに有名になる前から知っていました。ただひと学年上に同じサウスポーである宮浦(現ジェイテクト)がいて、宮浦の方が当時は評価が圧倒的に高かったです。一方の西田はアジアユースでも宮浦の陰に隠れてオポジットの控え、続く世界ユースではメンバーからも外れてしまいます。(西田本人のツイッターには今でもこのアジアユース時のツイートがピン留めされています。)僕はこのアジアユースと世界ユースの間の時期に行われていたジュニアオールスタードリームマッチで西田の姿を初めて見ましたが、少なくとも僕の目から見るとひとりだけ圧倒的に違っていたし、石川を彷彿とさせる綺麗なフォーム持ち、特にサーブは当時からキレッキレで、世界ユースから外れたときには正直意味が分かりませんでした。もともとレシーブも得意な選手であったので、左利きのアウトサイドヒッターでも使えるだろうに。協会の人見る目がないなと思っていました(笑)。でもきっといつか大成するだろう、ただ身長がそこまで高くてオポジットは厳しめだからアウトサイドヒッターかなという感じでした。その後まさかオポジットで高卒Vリーグスタメン、日本代表スタメンにこんなに急加速で駆け上がろうとは1ミリも想像できませんでしたが(笑)。

でもその高校から代表入りまで流れは今考えても偶然が重なりすぎていて本当に漫画の主人公のようなストーリーですよね。もし世界ユースに選ばれていたら大学に進学していたかもしれないし、もし高3の春高に出場できていたら内定選手としてジェイテクトに合流することはなかったかもしれないし、もしジェイテクトがオポジットに問題を抱えていなかったら試合に出ることはなかっただろうし、もし清水がケガで代表を離脱していなかったら出場機会を得ることは少なかっただろうと思います。これはあくまで推測ですけど、本人の努力に加えてこれらの偶然がひとつでも重ならなかったら今の西田はなかったでしょう。本当にすごい。いろんな意味ですごい。すごすぎる。

その後の活躍は言わずもがなですが、よく覚えているのは会場で見た2018年ネーションズリーグのイタリア戦。この時はまだ西田18歳で番号も32番でしたね。懐かしい。この試合は3-2のフルセットで11年ぶりにイタリアから勝利したんですが、西田が24得点の大車輪の活躍で、スパイクもそうですが、ここぞというときに西田のサーブで崩したりエースを奪ったりする場面があってもう見ていてすごくワクワク、ドキドキしていたことを記憶しています。そのときの相手のオポジットは210㎝のネッリだったんですけど、186㎝の西田の方がなんかいろんな意味で大きく見えました。西田は186㎝とアウトサイドヒッターとしても小さい方ですが、なんかいつ見ても身長の小ささをあまり感じないし、相手チームも「小さい選手」として彼と対峙している感じはないような気がします。ジャンプ力ももちろんありますけど、それ以上にプレースタイルというか、オーラというか何かものすごいものを感じます。それからも西田は進化を続け、今や世界のスターの仲間入りを果たしています。人気も世界的に見たら石川より上なんじゃないかと思います。2019ワールドカップカナダ戦の5セット目のパフォーマンスなんてすごすぎて口ポカーンでしたし(笑)。「世界最小最強オポジット」は後にも先にも西田有志でしょう。

先日のVNL2021では怪我のため出場機会が少なく、100%の力を発揮できていなかったようにも見えましたが、やはり彼がコートにいるだけで雰囲気が明るくなるし、見ているこっちもワクワクします。ずっと見ていたい、応援していたい選手。公式発表はまだですが、来シーズンからイタリアセリエAのヴィボ・ヴァレンシアの移籍も決まっているようで本格的に「世界のNISHIDA」になりつつあります。でもその前に東京五輪でひと暴れしてもらいましょう!!

写真:FIVB

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