【ポーランドから日本まで2カ月かけて帰る旅③】さらばポーランド

2023年7月27日(木)、午前中に親友のアダムくんとお別れした僕はウッチから電車でポーランドの古都クラクフに向かった。エジプトに行くのに必ずしもクラクフに寄る必要はなかったが、クラクフから飛行機に乗った方が今回は圧倒的に安かった。

エジプトの首都カイロへはワルシャワから直行便が飛んでいる。LOTポーランド航空で片道約4万円。しかし一度キプロスで乗換えが必要になるものの、これがクラクフから行った場合LCCで1万5千円になった(そのうちクラクフからキプロスへの飛行機はなんと約3000円!)。ウッチからクラクフへの電車代も約2500円くらいなので、できる限り節約をしたい自分としては迷う理由がなかった。

クラクフに着いたのは12時前。ラルナカ(キプロス)への飛行機が16時40分発なのでそんなに時間はない。クラクフ市内から空港までは電車で約20分。空港ラウンジで軽く食事を取りたいので遅くとも2時間前には空港に着いていたいと考えると、許される滞在時間は約2時間である。

クラクフでのミッションはミッションは大きく2つ。1つはクラクフの中心地である広場を拝んでおくこと、それともう1つはポーランド滞在中に溜まったスタバのポイントを使うことだ。

この日のクラクフは平日ではあったものの、天気もよく夏の観光シーズンであったので、観光地らしいにぎわいを見せていた。

クラクフはポーランド南部に位置するポーランド第2の都市で、かつてはこの国の首都だったところでもあるので、境遇としては日本の京都に近い。ワルシャワが第2次世界大戦で1度瓦礫と化したのに対し、クラクフはその難を逃れて中世以来の美しい街並みを維持しているところもまた京都と似ている。

クラクフは中心部である旧市街が世界遺産となっているほか、ヴェリチカ岩塩鉱とアウシュビッツ強制収容所という世界遺産が隣接していることもあり、ポーランド国内ではナンバーワンの観光地である。

僕もかつて留学で約5ヶ月間この街で過ごしたことがある。校舎がちょうど旧市街内のお城の向かい側に建っていたので、なんだか毎日テーマパークに通っているような気分になっていたことを今でも覚えている。

ひとまずポーランド国外では使えなくなってしまうポイントを使い切るためにスタバを探す。ちょうど駅から広場へ向かう途中にあったのだが、やはり観光地のスタバは冒険をしたくない安定と安心の味を求める外国人観光客で列ができている。

数分待って注文したのは抹茶フラペチーノ。普段はコーヒーかカフェラテしか注文しないが、ポイントを利用するときはもったいないのでなるべく高いものを注文するようにしている。それにしてもポーランドのスタバで抹茶味のドリンクが普通に飲めるとは。もう「Matcha」という単語はすでに「Sushi」同様にヨーロッパでも市民権を得ているように思う。

抹茶フラペチーノ、うますぎる。

そして抹茶フラペチーノを片手に広場に出る。ポーランド語で「リネック(Rynek)」と呼ばれる広場は、ポーランドの各都市に存在し、その大きさがかつての街の大きさを表しているとされている。したがってかつて首都だったクラクフの広場はポーランド最大である。

クラクフの広場で目を引くのが広場の北東にある聖マリア聖堂とちょうど真ん中にある織物会館だ。聖マリア聖堂は14世紀に建てられた教会で、正面の高さの異なる2つの塔が特徴。織物会館は16世紀に建てられ、かつて外国からの輸入製品市場として栄えたが、今は主にお土産屋さんが入っている。

織物会館

その2つの建物に挟まれるように建っているのが、ポーランドの詩人アダム・ミツキェヴィチの銅像が建っている。この銅像は待ち合わせスポットにもなっていて、「アダム下(Pod Adama)集合」のワードは留学中によく聞いた。

銅像といえば、広場には他に大きな人の頭が横たわっているオブジェもある。何のオブジェかは未だによくわかっていない。

そのオブジェの視線の先には映画館があり、留学中に『スターウォーズ エピソード7』をここで鑑賞し、悪い意味でショックを受けたこと、またポーランドにはエンドロールが終わるまで座っている人など誰もおらずエンドロール中ひとり残る僕に清掃員さんが早く出ていけプレッシャーをかけてきたことを今でも覚えている。

留学からは実に8年の歳月が流れたが、変わりない姿を見せてくれたクラクフに少し安心した(ただし物価は倍になった、円換算だとそれ以上)。

そうして旧市街を跡にし駅へ向かう。クラクフ駅はショッピングモールと直結している。空港までの運賃は同じ距離を走る別の鉄道と比べると約600円と割高だが直通20分で結んでくれるから快適である。ちなみに路面電車とバスを乗り継いて行くこともできるが、そうなると運賃約200円、所要時間約50分となる。今回は時間を買った。

クラクフ空港はそこそこ混んでいた。しかしそんなに大きい空港ではないのでスムーズに手荷物検査の列に進む。手荷物検査では人数の少ないレーンに並ぶのはもちろんだが、旅慣れていない時間がかかりそうな人たちの後ろに並ばないこともまた大切である。僕の場合、年配の人や小学生くらいの子どもを連れた家族の後ろはなるべく避けたい。

手荷物検査を通ると、早速ラウンジを探す。

僕はプライオリティパスを持っているため、このパスと提携している空港ラウンジを、本来の3000〜4000円するところを無料で利用できる。基本的にヨーロッパであればどの空港にも提携ラウンジがある。

日本国内では羽田、成田、中部国際、関西国際などの空港で利用できる。ラウンジが使えると空港での待ち時間をゆったりとしたスペースで過ごせるほか、飲み物や軽食、場所によっては食事も追加料金なしでガッツリ食べられる。また長時間の乗り継ぎや空港泊しなければならない場面でもラウンジが利用できればそれほど苦にならない。僕はこのカードに何度助けられたかわからない。

通常プライオリティパスの年会費はラウンジの利用回数に制限があるプランでも約5万円するが、楽天プレミアムカード持っていれば利用回数無制限のカードを無料で発行できる。楽天プレミアムカードの年会費が11000円なので空港ラウンジを4回、つまり海外旅行を最低年2回する人は簡単に元が取れる。まだ空港ラウンジを利用できるカード持たれていない方で、年2回以上海外旅行をされる方にはぜひ楽天プレミアムカードに加入してプライオリティパスを手に入れられることをお勧めする(下記リンクから入会いただけると僕に少しおこずかいが入ります)。

クラクフ空港のラウンジはそれほど広くはなかったが軽く食事を取ったり、運営しているバレーボール系YouTubeチャンネルのライブ配信をしながら過ごすことができた。旅行先の宿や食事などは基本的に節約して過ごしているので、この空港ラウンジで過ごしているときだけはちょっとハイソな人々の仲間入りをしたような錯覚に陥る。ただ定期的にこういう空間の中に身を置くことは精神衛生上とてもよいと思う。単純に気分が上がる。搭乗ゲートはだいたい出発の30分前に締まるので、1時間前にラウンジを出て出国審査を抜ければちょうどいい感じだなと判断し、そのギリギリまでラウンジを満喫した。

しかし今回ばかりは読みが甘かった。出国審査にかなりの人が集まり列をなしていた。しかもレーンによってはひとりの人の審査にかなり時間がかかっているようであり、なかなかスムーズに列が進んでくれない。このままではかなりギリギリか、もしくは飛行機を逃してしまうんじゃないかというようなペースでかなり焦ったが、幸い「ラルナカ行きの人はこちらに並んでもいいですよ~」と職員さんが優先レーンに誘導してくれたので、なんとかファイナルコール(最終搭乗案内)で飛行機に乗り込むことができた。

1年半過ごしたポーランドからの出国はなんとも慌ただしい形となってしまったが、ポーランドはすでに僕の第二の母国であるし、またすぐに戻ってくるだろうから心の中で軽めに「Do zobaczenia(またね)」と言っておいた。ポーランドは本当にいいところだ、超おすすめである。

今回クラクフ(ポーランド)→ラルナカ(キプロス)で利用した航空会社はウィズエアー。紫色のカラーリングが特徴的なヨーロッパを代表する格安航空会社(LCC)で本社はハンガリー。近年は中東路線も拡大している。ヨーロッパ域内の移動では同じくLCCとライアンエアーと共に大変にお世話になった。とにかく安いし、機内もきれいだ。

ただこの時は両脇を肩幅大きめの屈強な男性に挟まれて、文字通り肩身が狭いフライトとなった。

ラルナカには現地時間の21時ごろに着いた。キプロスはポーランドより1時間進んでいるので約3時間で到着したことになる。飛行機から降り立った瞬間にむあっと熱気を帯びた空気を感じた。さすが南国である。ここからエジプトのカイロまでのフライトは明朝5時なのでこの日は空港泊となったが、ここでも例のカードで24時間営業の空港ラウンジを利用できたためソファーで横になることができた。この時間帯の利用者は少な目で、ラウンジ内もとても落ち着いていた。食事もクラクフのラウンジより種類が多かった。サラダがうまい。

ただ明かりはずっと付きっぱなしで、ソファーも足をしっかりと伸ばせる感じのものではなかったので、しっかりとした睡眠が取れないうちに気づけば午前4時に近づこうとしていた。朝食代わりに最後のラウンジメシをかきこみ、疲労感で少しぼーっとする脳みそのままキプロス・エアウェイズのカイロ行き便の搭乗ゲートまで足を運ぶ。ヨーロッパ間を移動する飛行機の利用者とは異なりイスラム教徒っぽい人やアラブっぽい人がかなり目立っていて、ここから本当にヨーロッパを離れて中東に行くという事実を改めて認識させられた。

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