コラム

さらば、モジャモジャ「フォックス」フェイ

2020年6月1日

先日、所属クラブより元イタリア代表、アレッサンドロ・フェイの引退が発表された。

Alessandro Fei lascia il volley giocato, sarà il team manager della Gas Sales

プロ生活25年、41歳で現役生活に終止符を打った。バレーボール選手の40歳を超えての現役引退は、最近増えてきたとはいえまだまだ珍しい部類に入るだろう。自分がバレーを始めたころすでにイタリア代表の顔としてプレーしており、その特徴的な風貌(というか髪)から、フェイはとても思い入れのある選手のひとりである。

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Photo by FIVB

フェイは、「フォックス」の愛称でファンに親しまれ、イタリア代表にも19歳から33歳まで実に14年間在籍。まさに長年に渡りイタリアの顔として活躍し、4度のオリンピック出場(うち銀メダル1回、銅メダル2回、4位1回)も経験した。もしリオ五輪も出場することができていたなら5回のオリンピック出場となり、ロシアの伝説の男テチューヒンと並ぶ記録となっていた。惜しかった。

またクラブでは、トレビソ時代に加藤陽一(現JTマーベラスコーチ)と、ラティーナ時代には石川祐希(現ミラノ?)と共にプレーしている。

彼のポジションはもともとミドルブロッカーであったが、2004年のアテネ五輪以降はオポジットとしても活躍するようになる。現役選手でもザイツェフやアンダーソン、ムスセルスキーなど複数のポジションをこなせる、いわゆる「二刀流」の選手は何人かいる。しかし彼ほど長く、どちらのポジションでも大きく成功を収めたプレーヤーはいないんじゃないかと思う。

個人的には、どちらかというとミドルの印象が強い。というのも2012年のロンドン五輪イタリア代表に個人的に思い入れがあり、その時フェイがミドルをやっていたからだ。当時の彼とマストランジェロのミドル対角は、「モジャモジャの天然パーマ」と「ちょい悪オヤジ」で正に、名実ともにイタリアを代表していた(笑)。またプレースタイルも、見た目は「冷静」と「情熱」みたいに対照的でそこもまたよかった。

フェイは、ミドルの時もオポのときも、フォームはどちらかと言うとコンパクトかつ特徴的で、日本の石川みたいに決してダイナミックで綺麗といえるフォームではない。しかし、そのフォームからは想像できないほど力強いスパイクを、広角に打ち分け得点を量産した。あの、アタック時の特徴的な「ひじ」の感じを見れば誰でもフェイだとわかるだろう。柔らかい綺麗フォームも好きだが、やはり個性的なフォームもよい。

90年代のを知っている人ならば、「モジャモジャ」のプレイヤーと言われたらベルナルディかもしれないし、ゾルジかもしれない。でも自分にとって「モジャモジャ」バレーボーラーはフェイしかいない。永久欠番だ(笑)。

またフェイと同じく19歳でイタリア代表デビューしたジャネッリには、なんとか頑張ってフェイを超えてテチューヒンと並んでほしいなと思う。

フェイは、来シーズンからは所属していたピアツェンツァのチームマネージャーとなる。イタリアは今回の新型コロナウィルスの影響を1番大きく受けた国の一つであるので、クラブチーム的にもいろいろ困難があると思うが、新しいステージでもぜひ頑張ってほしい。

ありがとう、フェイ。大好きだ。

 

 

Photo by Lega Pallavolo

アレッサンドロ・フェイ(Alessandro Fei)

1978年11月29日生(41歳)
イタリア、サロンノ出身
身長:204㎝
体重:90㎏
最高到達点:358㎝
ポジション:ミドルブロッカー/オポジット
背番号:14

所属クラブ(シニア)
1993-94    フォイアノ・パッラヴォーロ
1994-98 パドヴァ
1998-01 ルーベ
2001-12 トレヴィソ
2012-14 ピアツェンツァ
2014-16 ルーベ
2016-17 ラティーナ
2017-20 ピアツェンツァ

代表歴
1998-2012

 

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