イタリア男子バレーボールリーグセリエA後半第9節、髙橋藍所属のパドヴァ(10位)は現地時間2月19日(日)にアウェイでモンツァ(7位)と対戦し、3-2(26-24, 17-25, 17-25, 25-20, 15-13)で勝利しました。
髙橋はスタメンで出場し、両チーム最多の21得点の活躍でチームの勝利に大きく貢献しました。
第1セットスタメン
パドヴァ
OH:ガルディーニ(イタリア)、髙橋(日本)
MB:ヴォルパト(イタリア)、クロサート(イタリア)
OP:ペトコヴィッチ(セルビア)
S:サイッタ(イタリア)
L:ツェンガー(ドイツ)
モンツァ
OH:マー(カナダ)、ダヴィスキバ(ベラルーシ)
MB:ガラッシ(イタリア)、ディマルティーノ(イタリア)
OP:シュワーツ(カナダ)
S:ツィンマーマン(ドイツ)
L:フェデリチ(イタリア)
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
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試合レポート
パドヴァは前週活躍したOHガルディーニを今季初めてスタメン起用します。
第1セット、1本目からMBヴォルパトがブロックを決めてパドヴァが勢いに乗ると、さらにOH髙橋のサーブから3本のサービスエースを含む4連続ブレイクで6-1と一気にリードを広げます。
直後にパドヴァにアタックミスが続いて6-5とモンツァに1点差まで詰め寄られますが、Sサイッタのブロックなどで9-5とパドヴァが再び点差を広げます。
そこからパドヴァはOH髙橋、モンツァはOHマーを中心に得点を重ねていきますが、再び髙橋がサービスエースを決めるなどして18-14とパドヴァリードで終盤に入ります。
しかしその後モンツァが途中出場のOPグロゼル(ドイツ)のブロックやOHダヴィスキバのアタックなどでブレイクを決めて21-21と同点に追いつくと試合はそのままデュースへ突入しますが、最後は切り返しからOPペトコヴィッチがスパイクを決めきって26-24でこのセットをパドヴァが取ります。
第2セット、モンツァはOPグロゼルをそのままスタートから起用します。
序盤はそのOPグロゼルとパドヴァのOHガルディーニを中心に5-6とサイドアウトの取り合いになりますが、OHマーのスパイクやMBディマルティーニのエースなどでブレイクを決めたモンツァが13-8と抜け出します。
10-15の場面でパドヴァはOH髙橋に代えてOHアスパルホフ(ブルガリア)を投入しますが、その後もモンツァはサイドアウトを取りつづけ、さらにMBガラッシのサービスエースも出て21-15とリードを保ったまま終盤を迎えます。
パドヴァはOPペトコヴィッチがスパイクで奮闘するも、最後はミスが続いて17-25でこのセットはモンツァが取ります。
第3セット、お互いに序盤からブレイクを取りつつも13-13と点差が開かないまま中盤まで進みますが、モンツァのブロックにOPペトコヴィッチが連続で捕まって13-15となると、さらにMBガラッシのサービスエースで14-17とモンツァが3点リードします。
パドヴァはOPペトコヴィッチに代えてOPグッツォを投入しますが、その後もモンツァの勢いが止まらずSツィンマーマンのサービスエースやパドヴァのミスで立て続けに点数を取っていき、17-25でこのセットもモンツァが取ります。
第4セット、先にモンツァがOHダヴィスキバのスパイクなどで6-8と2点リードすると、さらにそこからOHマーのスパイクとMBディマルティーニのサービスエースで12-8と点差を広げます。
しかしパドヴァもOH髙橋のスパイクで続けてサイドアウト切ると、MBクロサートのサーブからOH髙橋とMBヴォルパトがOPグロゼルを続けて止めるなどして15-15とパドヴァが同点に追いつきます。
モンツァはOPシュワーツを戻しますがパドヴァの勢いは止まらず、OH髙橋のスパイク、MBヴォルパトのアタックやブロック、またモンツァのミスも続いて23-18と5点リードで終盤を迎えます。
最後はOPペトコヴィッチがスパイクを続けて2本決めて25-20でパドヴァがこのセットを取り返します。
第5セット、出だしはパドヴァに連続してミスが出て0-2となりますが、MBヴォルパトのブロックとOH髙橋の難しいハイセットからのスパイクでパドヴァが連続ブレイクに成功して6-5と逆転します。
さらにパドヴァがOPペトコヴィッチのスパイクで9-7と2点差に広げると、そこからサーブミスなどでサイドアウトが続き13-12となります。
ここでOHマーの力強いサーブから帰ってきたボールをMBガラッシが得点にして13-13とモンツァが同点に追い付きます。
しかし直後のサイドアウトをOPペトコヴィッチがしっかり取ると、最後はOH髙橋のサーブからMBヴォルパトがMBガラッシをブロックでシャットアウトして15-13でこのセットも取り切ったパドヴァが3-2でモンツァに勝利しました。
MVP:MBマルコ・ヴォルパト(9得点(うちブロック6)、アタック決定率33%)
髙橋藍は両チーム最多の21得点(うちサーブ4、ブロック1)、アタック決定率62%、サーブレシーブ成功率42%の活躍でした。
この結果パドヴァは7勝13敗18ポイントで10位維持。
次は現地時間3月5日(日)18:00(日本時間翌2:00)からホームで3位のトレントと対戦します。
試合の感想など
正直第4セット中盤までの状況からそのまま逆転勝ちを収めるとは思いませんでした。
パドヴァというチームを侮っていました。
確かに今日も我らがラン・タカハシはキレキレで、試合開始早々から3本のサービスエースを決め、最終的に両チーム最多の21得点、アタック決定率62%、サーブレシーブでも24本受けて失点ゼロとものすごい数字を見せてくれました。
でもなんというか、贅沢な話ですがもう髙橋がすごいのは定期なので(笑)、髙橋以外が頑張らないと勝てないのがパドヴァ。
そんな中でもこの試合で光っていたのがキャプテン・ヴォルパトのブロック。
試合開始直後の1点目、4セット目と5セット目で同点に追いついた場面、そして最後のマッチポイントなど、この試合の要所となるポイントはほとんどすべてヴォルパトのブロックでした。
スタッツだけ見ると21点取った髙橋ではなく、確かにブロック6本はすごいけど合計9点しか取っていないヴォルパトがMVPに選ばれるのは不思議かもしれないですが、どういう場面でのブロックポイントだったかを考えるとそれも納得です。
パドヴァで11シーズン目の32歳のベテランミドル、愛称は「フォックス」。
イタリアの選手でこれだけ長い間ひとつのチームでプレーしている選手は、彼とズラタノフ(かつてピアチェンツァで15シーズンプレー、現スポーツディレクター)くらいしか知りません(他にも誰かいたら教えてください)。
今季は途中でMBカネッラに交代させられる場面も少なくなかっただけに、ここでこうしてキャプテンがMVPを受賞できてよかったなと思います。
もちろん髙橋と彼だけでなく、初のスタメン起用だったOHガルディーニもスパイクとサーブで貢献したし、MBクロサートも4セット目の相手OHマーを狙ったサーブなんか素晴らしかったし、OPペトコヴィッチも途中コート離れちゃったけどまた復活してくれたし、Sサイッタも丁寧にセットをあげていたし、Lツェンガーもガルディーニのカバーをかなりしながらのサーブレシーブやディグでの貢献度が高かった。
本当に、逆転というドラマチックな展開も含めていい試合だったと思います!
もちろんモンツァも素晴らしいチームで、特にサイドのマーは髙橋に次ぐ20得点、アタック決定率は67%と驚異的で、最終セットも彼のサーブで13-13と追いつかれるなど本当に最後までやっかいな選手でした。
マーはミラノ→チステルナ→モンツァと1シーズン毎にチームが変わっていますが、そのアツいキャラクターも相まってそれぞれでしっかりと存在感を出しているいい選手だなと感じます。
またカナダ人といえば、オポジットのシュワーツもそうですし、ターラントのOHレプキーもいい選手なので、今年のカナダ代表もなんか楽しみになってきました(堺のヴァーノンは入ってくるかな?(笑))
改めてですが、髙橋のパフォーマンスはすごいです。
でも特に何がすごいかというと毎回すごいのがすごいです。
1試合の爆発力だと他にもすごい選手はたくさんいるかもしれませんが、これだけほぼすべてのプレーですごいのを維持できているので本当に彼は一流選手なんだと思います。
サーブに関しても、なんかもう彼が連続でサービスエースを取ってもあまり驚かなくなってきました(笑)。
昨シーズンイタリアでプレーしていた西田もそんな感じで見ていたので、もう髙橋もその領域にいるのは間違いないですね。
とにかくこれで貴重な勝ち点2を手に入れて降格争いから1歩抜け出したパドヴァ。
まだリーグ残留が確定したわけではありませんが、同じく残留を争うターラントとシエナの今後の対戦相手を見るかぎり、降格の可能性はかなり低くなったんじゃないかと思います。
しかしまだまだ気は抜けませんので、次のトレント戦でも勝利を目指して戦ってほしい。
特に前半のトレントホームの試合で髙橋はナゾに温存させられて悔しい思いをしたと思うので、次のパドヴァホームでの試合ではその分までしっかりと暴れてほしいなと思います。
また同い年で、髙橋と同じく過去にリベロ経験のあるトレントのOHミケレットとの打ち合いにも期待したいです!(ただしミケレットの方が身長は20cm以上高いけど(笑))。
トレント戦は僕もまた現地に行きます!!
フォルツァ・パドヴァ!!!
前半戦のレポートはこちら↓
写真:Lega Pallovolo Serie A