イタリア男子バレーボールリーグセリエA後半第6節、髙橋藍所属の10位パドヴァは現地時間1月29日(日)にアウェイで同12位のシエナと対戦し、2-3(25-21, 25-21, 14-25, 14-25, 13-15)で敗れました。
日本の髙橋藍はこの試合スタメンで出場し、チーム最多の20得点(うちブロック3)の活躍でした。
第1セットスタメン
パドヴァ
OH:髙橋、アスパルホフ(ブルガリア)
MB:ヴォルパト(イタリア)、クロサート(イタリア)
OP:ペトコヴィッチ(セルビア)
S:サイッタ(イタリア)
L:ツェンガー(ドイツ)
シエナ
OH:ファンハルデレン(オランダ)、ペトリッチ(セルビア)
MB:リッチ(イタリア)、マッゾーネ(イタリア)
OP:ペレイラ(アルゼンチン)
S:フィノリ(アルゼンチン)
L:ボナーミ(イタリア)
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
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試合レポート
第1セット、出だしからOH髙橋が巧みな軟打で連続得点を上げて2-0とすると、OHアスパルホフにもブロックポイントが出て4-3と序盤はパドヴァが先行します。
中盤OPペトコヴィッチのサーブが走り、サービスエースやOH髙橋のブロックで4連続ブレイクをして13-8とパドヴァが一気に5点のリードを奪います。
シエナもOHペトリッチらで得点しますが、パドヴァもOPペトコヴィッチとOHアスパルホフを中心に確実にサイドアウトを取って追従を許さず、最後もOPペトコヴィッチがスパイクを決めて25-21でパドヴァが第1セットを取ります。
第2セット、シエナはOPバルトマン(ポーランド)をスタートから起用。
序盤はシエナにミスが続いて6-3、そのあとにもミスが重なって10-5とパドヴァが大きくリードして試合が進みます。
その後パドヴァはOHアスパルホフのスパイクやOH髙橋のブロックなどで、シエナはOPバルトマンのスパイクやOHペトリッチのエースなどでそれぞれ1ブレイクずつ取り合う展開が続きますが、20-15とパドヴァリードのまま終盤を迎えます。
そこからシエナはMBリッチの連続ブロックで23-20と点差を3点差まで縮めますが、そのあとOHアスパルホフが2度のサイドアウトをしっかりと取り切って25-21でこのセットもパドヴァが取ります。
第3セット、序盤からシエナのOHファンハルデレンがスパイクとサーブで続けて得点を上げて3-5とします。
さらにOPペトコヴィッチが相手ブロックと自らのミスで3連続失点してしまい5-10、そのすぐ後にもOHファンハルデレンに2連続でブロックをあびて7-15とシエナが一気に点差を広げます。
パドヴァもOH髙橋のスパイクなどで得点するもシエナの勢いは止まらず、MBリッチのサービスエースやMBマッゾーネのスパイク、OHペトリッチのサービスエースなどでさらにブレイクを重ねて12-24とします。
そして最後はOPバルトマンのスパイクが決まり14-25でこのセットをシエナが取ります。
第4セット、パドヴァはMBカネッラをスタートから起用します。
序盤からシエナが勢いそのままにMBマッゾーネのサーブからOHペトリッチのパイプ攻撃、自身のサービスエースなどで得点を重ねて0-5と一気にリードを広げます。
パドヴァも直後のOH髙橋のサーブからOHアスパルホフがスパイクを決めて3-5としますが、シエナが中盤でOHファンハルデレンのスパイクやOPバルトマンのサービスエースでブレイクを重ねて9-15と更に点差を広げます。
その後OHアスパルホフがMBリッチのブロックに捕まり、さらにSフィノリのサーブから2つのエースを含む4連続ブレイクで12-24とシエナが一気にセットポイントまで進むと、最後はMBマッゾーネのスパイクが決まって14-25でこのセットもシエナが取ります。
第5セット、序盤パドヴァはOH髙橋のスパイク、さらに髙橋の好サーブからMBカネッラのブロックやOHアスパルホフのスパイクで得点を重ねて6-3と先行します。
しかしシエナがSフィノリがブロックでOPペトコヴィッチを止め、さらにOHファンハルデレンがOHアスパルホフから2連続でエースを奪って7-8と逆転し、シエナリードでコートチェンジします。
そこからパドヴァはMBヴォルパドがOHペトリッチをブロックすると、続けてOH髙橋がツーアタックを決めて10-9と再びリードを奪います。
その後もパドヴァはOH髙橋にボールを集めてサイドアウトを重ねていき、13-12となった場面で髙橋にサーブが回ってきます。
パドヴァは髙橋の好サーブからブレイクチャンスを得ますが、ここでボールを託されたOHアスパルホフがOHファンハルデレンのブロックに捕まり13-13となると、続くラリーでパドヴァにミスが出て13-14とシエナがマッチポイントを握ります。
そして最後も途中出場のOPペレイラの力強いサーブから繋いだボールを3セット目以降絶好調だったOHファンハルデレンがスパイクを決め、13-15でこのセットも取り切ったシエナが2-3で逆転勝利を収めました。
MVP:OHマールテン・ファンハルデレン(28得点(うちサーブ3、ブロック3)、アタック決定率48%、サーブレシーブ成功率70%)
髙橋藍はチーム最多20得点(うちブロック3)、アタック決定率49%、サーブレシーブ成功率52%でした。
これでパドヴァは通算成績を6勝11敗15ポイントとして10位を維持。
次は現地時間2月5日(日)17:00(日本時間翌1:00)から、アウェイで石川祐希が所属する同8位のミラノと対戦します。
前回の試合レポートはこちら↓
感想など
まずVBTVを見てみるとサイッタがネックウォーマーしてたり、クッティーニ監督もいつもスーツじゃなくジャージ着てたりしたのでアリーナ寒いんかな~と思いました(笑)。
しかしいやいや、まさが逆転負けしてしまうとは思いませんでした。
シエナはこの試合の前までずっと最下位のチームで、前半戦でも3-0でパドヴァが勝っていましたし、リーグ残留を第1目標とするパドヴァとしても絶対に負けられない相手だったと思いますし、実際に試合もいい感じで1、2セット続けて取れていたので、本当にまさかの展開でした。
1、2セット目のパドヴァはペトコが打てば決まるような覚醒状態でサーブもめっちゃ走ってましたし、Sサイッタはよく真ん中も使ってトスを散らせてたり相手の軟打へのディグの反応も素晴らしかったし、そこからOH髙橋が丁寧にセットしたボールはペトコもアスパもほとんど決めてくれていたし。
逆にシエナはミスが多かったのに。
のに…。
3セット目以降にOHファンハルデレンが覚醒しちゃって、さらにペトコが連続失点…。
3セット目にペトコが3連続失点した時点でオポジットをグッツォに代えてもよかったと思うんですけどね。
先週のターラント戦はそれでうまくいったし。
ただそこまでのペトコのパフォーマンスがよかったから選手交代よりも本人の復調を選んだのでしょうね。
まらさらにアスパのサーブレシーブが乱れてしまったのも痛かった。
アスパはチステルナ戦とターラント戦ではスパイクだけでなくサーブレシーブも失点少なく安定していただけに、今後またサーブレシーブで不安を抱えないか心配ですな。
この試合は後ろでデスメットと交代する場面もありましたが、彼もそんなに安定しているわけじゃないからね(笑)。
まあそんなこんなでボロボロの3、4セット。
でもその中で終始安定感を保っていた、というか試合前半の被ブロックなどを考慮するとむしろ試合が進むにつれてパフォーマンスを上げていたのが我らがラン・タカハシ。
5セット目はそんな髙橋のスパイク、サーブ、サーブレシーブ、ディグなど多岐にわたる大車輪の活躍でリードしながら試合を進めることができたのですが、13-12の場面でアスパがシャットされてからの2連続失点で13-15となってしまった。
あの1点の重みは本当に大きかったと思います。
石川先生のいう「最後まで取り切る力」がこの日のアスパには足りなかったですね。
しかし改めて髙橋藍という選手のすごさをまた見ることのできた試合になりました。
どこまで進化するんだろうなこの選手は。
また相手のシエナについて、OHファンハルデレンの活躍もすごかったですが、個人的に想像以上の活躍をしていたのがオポジットのバルトマン(ポーランド)。
シエナは前週の試合で正オポジットのピナリ(イタリア)がケガで戦線離脱したため、急きょ移籍することになったのがバルトマン。
なので彼はチームに合流してまだ3日くらいしか経ってなかったですし、イタリアリーグは2013/14シーズンにモデナでプレーした以来だったんですが、それで途中から試合に出続けてチーム2位タイの18得点の活躍でした。
また彼のパフォーマンスだけではなく、その熱いキャラクターが3セット目以降のチームの起爆剤になったんじゃないかなと思いました。
バルトマンは35歳のベテラン選手で2010~2012年ごろにはポーランド代表の主力としても活躍していて、僕が特に応援していた選手のひとりでもあったので、それもあってなんかとても嬉しかったです。
まあ髪の毛が薄くなっちゃってたのはちょっと残念でしたが(笑)。
髙橋が35歳になったときにはどんな選手になっているだろうなんて思ったりもしました。
とにかくシエナに負けてしまったので、パドヴァ、シエナ、ターラントの降格争いがかなりシビアになってきました。
残り5試合のうち最低1回は勝っておかないとかなり残留が危ういですね。
とりあえず次のミラノ戦でどんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみです。
前回の対戦ではミラノに軍配が上がったので、今回はパドヴァに勝ってほしいですかね!!
写真:LegaPallavoloSerieA