試合レポート

石川祐希所属ミラノ、ザビエルチェに2度敗れ欧州CEVカップ敗退

欧州バレーボール連盟(CEV)カッププレーオフ2レグ、石川祐希所属のミラノは現地時間1月18日(木)にザビエルチェ(ポーランド)と対戦し、0-3(22-25, 22-25, 23-25)で敗れた。石川祐希は先発出場しチーム最多の7得点の活躍だった。

第1セットスタメン

ミラノ

OH:カジースキ(ブルガリア)、石川
MB:ロセル(アルゼンチン)、ピアノ(イタリア)
OP:レゲルス(ベルギー)
S:ポッロ(イタリア)
L:カターニャ(イタリア)

ザビエルチェ

OH:クフォレク(ポーランド)、クレヴノ(フランス)
MB:ズニスチョウ(ポーランド)、ビエニエク(ポーランド)
OP:ブトリン(ポーランド)
S:タヴァレス(ポルトガル)
L:ペリー(オーストラリア)

※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ

試合レポート

第1セット、ミラノがポッロのサーブからいきなりOPレゲルスのブロックでブレイクを決める。しかしその後ザビエルチェのOHクフォレクのサーブにミラノが対応できず、サービスエースやOPブトリンのスパイクなどで一気に5連続ブレイクを決めてザビエルチェが2-7と大きく抜け出す。さらにOPブトリンのサービスエースなどで4-11と序盤から7点差となる。そこからOH石川のスパイクやMBロセルのブロックなどでミラノがサイドアウトを取り11-16とすると、MBピアノやSポッロのブロックで4連続ブレイクを決めて15-16とミラノが1点差まで迫る。直後にOPブトリンのサービスエースなどで15-19と再びザビエルチェが点差を離すも、そこからザビエルチェにミスが続いて18-19とミラノがまた1点差に迫る。しかしその後もあと1点が出ず、そのまま最後はOHクレヴノのブロックで22-25としてこのセットをザビエルチェが取る。

第2セット、序盤からOHクフォレクのブロックやスパイク、またミラノのミスも重なって2-6とザビエルチェが抜け出す。中盤でミラノがMBロセルのアタックやブロックなどで11-11と同点に追いつくが、OPブトリンのスパイクで11-13とまたザビエルチェがリードする。その後OHカジースキのサーブからOH石川のスパイクとMBピアノのブロックで16-15とミラノが逆転に成功するが、OHクレヴノのサービスエースなどで16-18とすぐにザビエルチェがリードを戻す。そこからはサイドアウトの取り合いとなって22-24とザビエルチェがセットポイントを握ると、最後はOH石川がスパイク時にタッチネットの反則をしてしまい、22-25でこのセットもザビエルチェが取る。

1レグでザビエルチェがミラノに3-0で勝っていたため、この時点でザビエルチェの準々決勝進出とミラノのプレーオフ敗退が決まった。

第3セットはお互いにメンバーをほとんど総入れ替えする消化セットとなったためレポートは割愛する。

MVP:OHバルトシュ・クフォレク 17得点(うちサーブ2、ブロック1) アタック効果率47.82%

OH石川祐希 7得点 アタック効果率25.00%

CEV カップ男子:https://www.cev.eu/club/volleyball-cup/men/

次のイタリアリーグの試合は日本時間1月21日(日)26時00分からチヴィタノーヴァと対戦する。

トシキのコメント

こちらの試合は現地で見てきました。

まずミラノとモンツァがCEVの大会に出場すると決まってからポーランドのクラブとの試合は必ず現地に行こうと決めていたので今回こうして実現できてよかったです。

ミラノはポーランドで行われた1レグを0-3で落としたので、この試合は負けられないどころか勝ち点の関係で2セットを失った時点で終わりというかなりのプレッシャーのかかったゲームでした。

そんな中でもウォームアップはいつもどおりリラックスしつつも集中力のある様子でした。ただ余裕という部分では隣のザビエルチェコートと比べるとやはり少ないかなと感じられる、そんな雰囲気でした。

あと試合前に目についたのは会場の一角を埋める、黄色と緑のシャツを着たザビエルチェ応援団の多さ。ポーランドの試合会場では幾度となく目撃し、その応援の力強さに毎回圧倒されていましたが、まさかこのミラノの地にもこれだけの数が応援に駆けつけるとは…。イタリアリーグの中でも数が少ないミラノ応援団が太刀打ちできる相手ではありません(笑)。

そもそもいつもと比べるとお客さんの数そのものも少なめでした。平日だったからでしょうか。こういう試合こそ応援してあげないといけないのに…。

そんなこんなで試合が始まります。ポッロのサーブから。1本目からレゲルスのブロックが決まっていい感じの流れになろうかと思ったんですが、すぐにザビエルチェのクフォレクのサーブで5連続ブレイクを許して2-7と大量リードを許してしまいます。

クフォレク、本当にすごかった。特に印象的だったのが彼の1本目のサーブでカジースキのレシーブを崩して事実上のサービスエースを取った後のサーブ。1本目と同じようにクフォレクから見てクロス方向にいるカジースキの方を向きながらサーブモーションに入っていたので、そのまままっすぐにカジースキに行くのかと思いきや、逆方向ストレート側にいる石川に強烈なサーブが飛んできてそのままエースに。石川本人もビックリして反応が遅れてしまったのではないかと思います。

向いてる方向と逆に打つというスキルはスパイクの際によく見られますが、サーブではあまりみないです。こういうところがにくいプレイヤーです。

クフォレクの次は1レグで無双していたブトリンがサービスエースで4-11。1レグ同様にザビエルチェのサーブにミラノが対応できません。ローテーション的に可能な場面ではオポジットのレゲルスも含めた4枚レシーブで対応していたりしましたが、選手の間を狙われるなどあまりうまくいっているようには見えませんでした。

中盤、ブロック番長ピアノを中心にミラノのブロック得点が重なり15-16となんとか1点差まで迫るもあと1点が出ず。石川もすごくがんばっていたけれど。

ここでも終盤に立ちはだかったのがクフォレク。ことごとくスパイクを決めてミラノにブレイクを許しません。引き出しが多いし、ギリギリまでためて後出しできるのが彼の強み。リバウンドも超うまい。

第1セットは22-25でザビエルチェ。

あとがなくなったミラノ。スタートから流れを掴みたいけど逆に勢いづいたのがザビエルチェ。ミラノが石川の片手レシーブなどでなんとかつないで得点しているのに対し、ザビエルチェはなんだか簡単に点を取っていきます。第1セットはあまり振るわなかったクレヴノも当たってくる。3-7でザビエルチェ。

そんななか石川がブロックの手を引いてクフォレクのアウトを誘ったり、ロセルのブロックで11-11と同点、さらにピアノのブロックで16-15と逆転!!

「これはいけるのでは!?!」と僕も含め会場のミラノファンは思ったことでしょう。

しかし現実はあまくなかった。

これはあかんと思ったのが16-16となったあとのラリー。ミラノの1本目のレシーブが乱れたのですが、2本目を誰も取りに行こうとしない。セッターポッロであれば必死に走ってセットしに行っていたでしょう。しかし2枚替えで入っていたゾンタはそうしなかった。ゾンタ、あれは君が触るべきボールだったんだ。

そうしてミラノは攻撃のチャンスを失いザビエルチェにブレイクを許して16-17、さらにクレヴノのサービスエースで16-18となります。

あとはもうサーブ頼みだったんですけど石川も、レゲルスもサーブが入らない。ロセルは入ったけど崩せず。22-23から最後の頼みの綱カジースキのサーブも入らず…。

最後のラリーこそブレイクチャンスがあったんですが、石川がスパイク時にネットを触ってしまい失点に。22-25でザビエルチェ。

ザビエルチェ、準々決勝進出。

歓喜するザビエルチェコート。沈むミラノコート。

ベンチに座ったカジースキはずっと遠くを見つめていました。

しかしそれでも残酷にも試合は続きます。消化試合となった3セット目、ミラノは石川を残しメンバー総入れ替え、ザビエルチェもクフォレクを残しメンバー総入れ替えでした。

こうしてほとんど練習試合と化した試合を見せられてもしょうがないのでザビエルチェを応援していましたが、その願いがかなってか試合はストレートで決着。変な時間を長く過ごさずに済みました。

しかし3セット目からベンチに下がったミラノメンバーの表情を見ていると本当に切なくなってしまいました。

試合後、ゆっくりとストレッチを終え、試合を見に来ていた友人や知人とのお話をひととおり終えた後、石川にインタビューに応えてもらいました(残念ながら録音できてなかったので掲載できず、大変申し訳ありませんでした)。いつも以上に口数少な目のコメントでしたが、その表情や声から悔しさがにじみ出ていたように感じました。

そのあと軽くロセルとも話をしました。「気分はどう?」とたずねると「最悪だよ、わかるだろ」「でもこれがスポーツだよ」と笑って答えてくれました。

タイトル獲得のチャンスをひとつ失ってしまいましたが、まだコッパイタリアとリーグ戦がある。まずは直近のコッパイタリアでその真価を見届けたいですね。

Photo: CEV、筆者撮影

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