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石川祐希、イタリア21/22シーズン最後の試合

遅ればせながら、5月3日にミラノで行われたミラノ対ピアチェンツの試合を現地観戦・取材してきましたので、その模様をつづりたいと思います。
石川にとっては惜しくもイタリアにおける今シーズン最後の試合となってしまいました。

空港から会場への移動

ミラノ
ミラノ

まず現在住んでいるポーランドのワルシャワからイタリア・ミラノへ向かいます。コロナ直前以来の2年ぶりイタリアです!

日本からミラノに行く場合にはマルペンサ空港を利用することが多いと思いますが、今回僕が降り立ったのはリナ―テ空港。マルペンサ空港より小規模ながら市街地に近く便利な空港です。マルペンサ空港を関西国際空港だとするとリナ―テ空港は伊丹空港みたいな感じです。

パワーバレーミラノの本拠地アリアンツ・クラウドへも、一般的なバズ・地下鉄を乗り継ぐだけなので片道2€、1時間弱でたどり着くことができます。

マルペンサ空港からも所要時間はさほど変わりませんが、特急列車またはシャトルバスを乗り継ぐことになるので値段は10~15€かかります。

会場の最寄りはロット・フィエラミラノシティ(Lotto Fieramilanocity)駅で、そこから徒歩約5分です。

会場に到着

アリアンツ・クラウド
アリアンツ・クラウド

アリアンツクラウドに到着したのは現地時間20時ごろ。試合開始時間は20時半だったので本来であれば1時間前には到着したかったですが、この日はいろいろあって遅くなってしましました。それでもここまでたどり着けたことにまず感謝。しかし20:30試合開始なんて流石イタリアです。

中に入ると鮮やかなブルーシート!オレンジコート!!

そして我らがYUKI ISHIKAWA!!!

彼のイタリアでの試合を観戦するのは、2年前パドヴァで見たトレント戦以来。イタリア7シーズン目、東京五輪も経験し、その背中がまた一段と大きくなったように感じました。

この日のパス相手は対角を組むジャスキー(アメリカ)

本当に7シーズン目となると当たり前のように「そこ」にいます。最初のモデナの頃は出場機会にも恵まれず、まさに「留学」というような感じでしたが、今ではすっかり戦力となっているどころかチームの中心選手ですからね。すごいことですよ。

ウォーミングアップ時の石川は、他の選手よりも笑顔が多めでリラックスしているように感じられました

この日の試合はレギュラーラウンド5~10位の6チームで争われる5位決定戦の予選最終戦。5位になると来シーズンCEVチャレンジカップという欧州バレーボール連盟が主催する大会への出場権を得ることができます。ちなみに昨シーズンミラノはこの大会で見事に優勝を果たしています。

対戦相手のピアチェンツァは最終戦を残してすでに予選通過を決めていましたが、ミラノは勝てば予選突破、負ければ同時刻に行われていた別の試合の結果によって予選敗退となってしまうという状況。正に崖っぷち。しかしレギュラーシーズンでの戦績は1勝1敗だったのでチャンスはある。

ちなみにピアチェンツァのセッター、ブリザール(フランス)は個人的にイチオシのセッター。以前記事でも紹介しました。

まさかその後にスタメンとして東京オリンピックで優勝してしまうとは夢にも思わなかったですが(笑)。ブリザールはトスワークもさることながらサーブとブロックも強力で相手にするととても厄介なセッターです。

ちなみにピアチェンツァには彼の他にロサールとプジョルという2人のフランス人選手がいて、ミラノにもパトリィとチネニエゼというフランス人がいたので、この試合はフランス人ダービーと言っても差し支えない両チームのフランス人率だったと思います(笑)。フランス人はいい選手多いんですよね。

ちなみに隻数に比べてお客さんの入りはまばらでしたが、お客さんの数以上に会場の雰囲気は暖かかったです。

試合レポート

さて、そうこうしているうちに試合が始まってしまいました。

スターティングメンバー

ミラノ:Sポッロ、OH石川、MBチネニエゼ(フランス)、OPパトリィ、OHジャスキー(アメリカ)、MBモスカ、Lペサレージ

ピアチェンツァ:OHレチーネ、MB18カネシ、OP1ラグンジア(トルコ)、OHラッセル(アメリカ)、MBチェステル、Lスカンフェラ

※()のない選手はイタリア人

ミラノは本来スタメンのミドルブロッカー(MB)でキャプテンのピアノが腰痛のため離脱(ベンチにはいた)、ピアチェンツァにも本来スタメンのMBホルト(アメリカ)がいませんでした。

第1セット 25-20

石川のスパイク(ブレブレ)

ミラノのセッター(S)ポッロのサーブからスタート

1セット目は完全にミラノのペース。スタートから3-0とピアチェンツァを突き放します。

ちなみに3点目は石川によるレフトから相手コート奥に突き刺すプッシュ。初得点が奥プッシュとかコート見えすぎかよ、すご。

このセット、ミラノはサーブがうまく機能していました。

エースこそ少なかったものの相手のアウトサイドヒッター(OH)ラッセルにサーブを集めてレセプションを崩し、持ち前のディフェンスからうまくブレイクが取れていました。

特にOHレチーネが後衛に下がると21歳以下イタリア人選手同士なら何度でも交代できる特別ルールで常にレシーバーのカターニアと交代していたので、ここで対角のラッセルをうまく崩せばトスの選択肢がオポジット(OP)しかなくなります。

ミラノはこのような状況をうまく作り出し、ゲームを優位に進めていました。

また石川はこのセット終盤にパイプを2本決めるなどし、アタックを8本中7本決めて決定率88%と絶好調でした。

第2セット 27-29

OPラグンジアのスパイク

先ほどと打って変わって第2セットは接戦に。

出だしはまたしてもミラノがリードしていたので、「今日はもしやストレートとかで勝てるんじゃないか、早く帰れるな(笑)」とかのんきなことを思っていました。

しかし喜ぶのも束の間、ピアチェンツァのサーブで攻められて点差を詰められてしまいます。特にミラノのOHジャスキーが狙らわれてレセプションを崩されていました。

そうしてアタック決定率が下がったミラノに対し、ピアチェンツァのアタッカー陣が調子を上げていきます。特にOPラグンジアがチームの期待に応えスパイクとサーブで得点を量産。

それでもわずかにミラノリードでデュースまで進みますが、ラクンジアのエースからピアチェンツァが逆転に成功。ミラノも石川の巧みなフェイントで応戦しますが、最後もラグンジア決めきってピアチェンツァがセットを奪い返します。

第3セット 23-25

チャレンジの結果を見守るミラノメン

第3セットは序盤からシーソーゲームになります。

しかしこのセットでも、エースこそないもののサーブで効果的に攻めることができていたピアチェンツァに対し、ミラノはサーブからブレイクの糸口を見いだせずにいました。

サーブレシーブが安定し、アタック決定率が上がってきたピアチェンツァのラッセルに対し、逆にミラノのジャスキーはサーブレシーブ・アタックともに苦しみます。

それでもOPパトリィやMBチネニエゼを中心に得点を重ねて先に20点に到達したのはミラノ。

このまま逃げ切りたいところでしたが、相手ブロックに当たって返ってきたボールが言わば「お見合い」のような形でミラノコートにポトリと落ちてピアチェンツァに逆転を許します。

最後は石川のスパイクをラグンジアがシャットし、このセットもピアチェンツァが制します。

第4セット 25-19

決勝点となったラッセルのスパイク

このセットも中盤まではピアチェンツァアタッカー陣にミスにも助けられて、ミラノが10-7とリードを広げていたので「これはフルセットいくで」と気持ち高まっていました。

しかしここから地獄の始まり。

ポッロのサーブがネットにかかり10-8となるとそこからピアチェンツァのMBカネシがビッグサーブを連発

石川にも3本目のオーバーハンドで返そうとしたボールをネットにかけるという彼らしくないミスが出るなどし、結果的にサービスエース2本を含む5連続ブレイクで13-10とピアチェンツァが試合をひっくり返します。

まさかの事態になんかもう思考が停止してました(笑)。

その間にミラノのピアッツァ監督はジャスキーをジョキッチ(スイス)に変え、その後二枚替えでOPロマノとSダルデッロを投入したりして逆転の糸口を探っていましたが、そもそもミラノのサーブがことごとくミスになりブレイクチャンスを得ることができません。

そこで更に追い打ちをかけるが如く、再びカネシのサーブが火を噴きます。石川の腕をはじくエースを含む2連続ブレイクで23-17と6点差まで突き放したピアチェンツァ。

最後はラッセルがレフトからスパイクを決めてゲームセット。3-1でピアチェンツァの勝利となりました。

この結果ピアチェンツァは予選1位通過が確定、ミラノは他の試合結果を待つこととなりましたが、その後セット率の差で惜しくも予選敗退が決まり、結果的にこの試合がミラノにとって、そして石川にとって2021/22シーズンの最後の試合となりました。

感想など

やっぱり現代バレーのカギはサーブなんだなと改めて思い知らされる試合でした。サーブで効果的に攻めて相手をいかにアウトオブシステム(アタッカーの選択肢が減った状態)するかというのがかなり重要ですし、ビッグサーブがあれば多少の点差でもゲームをひっくり返す力があります。

バレーボールを愛する少年少女たちよ、サーブを磨こう(笑)。

石川の印象について、2年前のパドヴァで見たときの石川はサーブがキレッキレでとてもアグレッシブに見えましたが、ミラノでの石川はそのときに比べるとたいぶ職人感がありました。ほんとにお手本のような選手ですし、チームによって役割を変えられる正にオールランドプレイヤーなんだなと改めて感じました。

日本代表では対角が髙橋なので役割的にはパドヴァのときに近いと思いますが、今後はどうなっていくのかなと少し妄想を膨らませてしまいます(笑)。

職人の背中

また今回実際に見て気になった選手がピアチェンツァのOHレチーネ。185cmと小柄ですが抜群の跳躍力を生かして要所で得点し、サービスエースも3本獲得。「右の西田」みたいな選手でしたね。身長がちょうど柳田と同じくらいなので、柳田にもこの跳躍力があればまだ日本代表にいれたのかなとか思ったり…。

レチーネの両腕のタトゥーも印象的でした(笑)。

左腕には「一日三秋」。どんな意味やねん。

今回は2年ぶりのイタリアでのバレーボール観戦(通算13試合目)でした。

やはりコロナの影響で、マスクが必須だったり試合終了後に観客が好き勝手にコートに入って選手と触れ合えなくなっていたりなどやや寂しいところはありましたが、見に来てよかったです!

もともと西田のヴィボにも髙橋のパドヴァにもプレーオフに進んでもらってまとめて観戦する予定でしたがその願いは叶わず(特に西田は見たかった、来シーズンはイタリアいないし…)。

しかし石川の試合だけでもこうして見ることができて本当によかったです。本当は勝った試合を見たかったけど、それはまた今度。石川は来シーズンもミラノにいるみたいですし(西田よ、なぜ君は先輩に続いてイタリアに残らないんだ)。

来シーズンはどんなチームになるのか、どんな石川をイタリアで見せてくれるのか。

そんなことを考えながら、一方23時をまわりすっかり暗くなったミラノの街に若干の恐怖を抱きながら(笑)会場を後にしました。

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