コラム

欧州チャンピオン・ザクサとその強さ

2021年5月5日

欧州バレーボール連盟チャンピオンズリーグバレー2021(以下CL)にて、チームとしては初、ポーランド勢としては43年ぶりの優勝に輝いた、ザクサ・ケンジェジン-コジレ(以下ザクサ)。今回はこのチームについて紹介したいと思う。

基本情報

Photo by CEV

正式名称:Grupa Azoty ZAKSA Kędzierzyn-Koźle
ホームタウン:ケンジェジン-コジレ市
設立:1994年
監督:二コラ・グルビッチ(セルビア)
国内成績:
・リーグ優勝8回(1998, 2000, 2001, 2002, 2003, 2016, 2017, 2019)
・ポーランドカップ優勝8回(2000, 2001, 2002, 2013, 2014, 2017, 2019, 2021)
・スーパーカップ優勝2回(2019, 2020)
欧州成績:
・CL優勝1回(2021)、3位1回(2003)
・CEVカップ準優勝1回(2011)
・チャレンジカップ3位1回(2000)

ザクサは、ポーランドの化学系大手企業のGrupa Azotyをメインスポンサーするプロバレーボールクラブである。ホームタウンはポーランド南西部に位置する人口約5万5千人の街、ケンジェジン-コジレ市。優勝回数からもわかるように、ポーランド内では人気・実力ともに最も高いクラブのひとつであり、特にフランス代表セッターのトニウッティが加入した2015/16シーズン以降は、常に高成績を収めている。また日本とのつながりでいえば、Vリーグでプレーしたことのある選手でこのクラブにも所属していた選手がそこそこいる。例えば元東レのルジエ、ジェイテクトやパナソニックで活躍したフェリペ、元堺のトーレスがそうである。

主なスタメン

セッター: バンジャマン・トニウッティ

Photo by CEV

183㎝ 1989/10/30 フランス
フランス代表不動の正セッター。代表チームと同じくザクサでも移籍したシーズンからキャプテンを務め、クラブの一時代を築いた立役者。身長190センチ以上は当たり前、2メートル超えも珍しくないヨーロッパセッター界隈において、わずか183センチながらその巧みな技術とキャプテンシーで、世界ナンバーワンセッターのひとりに数えられている。試合中は周りがデカすぎるため小人みたいにかわいく見えるときがあるが実際に会うとやっぱり彼も普通にデカい。

 

アウトサイドヒッター①: アレクサンデル・シリフカ

Photo by CEV

196cm 1995/05/24 ポーランド
今回のCL決勝でMVPに輝いた、爽やかサウスポー・アウトサイド。攻守のバランスに優れたオールラウンダーで、派手さはないが安定感があり、CL決勝戦では勝負どころで何度もチームに得点をもたらし優勝に大きく貢献した。代表チームでは同じポジションのクビアクやレオンにスタメンの座を阻まれているがポテンシャルは十分にある。世代はちょうど石川世代。個人的にポーランド代表で一番のイケメンは彼ではないかとずっと思っている。

 

アウトサイドヒッター②: カミル・セメニウク

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194cm 1996/07/16 ポーランド
今シーズン最も成長した期待のホープ。超インナーに叩き込むスパイクは必見。またサーブでもことごとく相手を崩し、CL決勝戦でも2セット目中盤でサービスエースを決め、そのまま相手に追従を許さなかった。他のスタメンのポーランド人メンバーと違い今までシニア代表の経験はなかったが、今シーズンの活躍が評価され、今年についに代表に初招集。ザビエルチェ時代にには日本のリベロ、古賀太一郎とも共にプレーしている。澄んだ瞳がとてもキレイ。

ミドルブロッカー①: デイヴィット・スミス

Photo by CEV

アメリカ 201cm 1985/05/15
アメリカ代表のいぶし銀ミドル。中型ミドルであるがベテランならではの粘りのブロックとキレキレのクイックが魅力。CLではジャンプサーブでもその存在感を発揮した。難聴のため耳には補聴器をつけている。こちらもサビエルチェで古賀と共にプレーした。笑った時の歯の白さが印象的。

 

ミドルブロッカー②: ヤクブ・コハノフスキ

Photo by CEV

199cm 1997/07/17 ポーランド
ポーランドのチョンマゲサムライミドル。ユース・ジュニアの両カテゴリーで欧州・世界共に制覇した無敗のポーランド黄金世代のひとり。こちらも上背はないが、それを感じさせない素早い反応と対空時間がある。特に1対1の勝負に強く、相手クィッカーを高確率で仕留める。代表では筆者は彼と少し話したことがあるが、もうすごく好青年だった。

 

オポジット: ウーカシュ・カチュマレク

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204cm 1994/06/29 ポーランド
パッション溢れるオポジット。パワー系と思わせて意外に技巧派。それもそのはず、ジュニア時代にビーチバレーで世界チャンピオンになったという経歴を持つからだ。CLでは勝負強さが際立っていて、チヴィタノーヴァとの準々決勝、そしてトレントとの決勝ともに彼のサービスエースが勝負を決めた。代表での出番はまだ少なく、同世代のオポジット・ムザイにも後れを取っているが今年こそアピールできるか。ザクサの前はルビンにいたが、柳田とはちょうど入れ違い。くしゃっとなる笑顔がかわいい。

 

リベロ: パヴェウ・ザトルスキ

Photo by CEV

184cm 1990/06/21 ポーランド

ポーランド代表不動のリベロ。トニウッティと共にここ5シーズンのクラブの躍進を支えたひとり。その安定感のあるレセプションと反応抜群のディグで何度もチームのピンチをチャンスに変えてきた。正に守護神。ポーランド代表は現在世界選手権で2連覇中であるが、そのどちらにも主にスタメンで出場していたのは彼とミドルのノヴァコフスキだけである。ポーランドチームの金メダルにはいつも彼がいる。そして今回はCLの金メダルをザクサにもたらした。筆者の友達の友達の友達が彼の奥さんらしい。

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