今月1日と2日に行われた「東京チャレンジ2021」にて、日本体育大学2年生の髙橋藍(19)が衝撃的なデビューを飾った。高さのある中国相手にキレのあるスパイクと堅いレシーブでチームを引っ張り、エース石川祐希を欠く中での2連勝に大きく貢献した。この日本男子バレー界・期待のイケメンプレイヤーについて簡単に紹介する。
髙橋 藍 (たかはし らん)
2001年9月2日生(19歳)
188cm/ 72kg/ 最高到達点 343cm
京都府出身
東山高校→日本体育大学2年
主な成績
2017年度(高1) 国体3位
2019年度(高3) インターハイ3位
国体優勝
春高優勝
2020年度(大1) 全日本インカレ準優勝
代表歴 2020~
髙橋は高校時代からすでに注目されていた選手であった。高校2年時、全国の有望選手を集めて行われた全日本ジュニアオールスタードリームマッチで最優秀選手賞を受賞。高校3年時には、国体と春高で優勝を飾り高校タイトル2冠を達成。春高は失セット0の完全優勝であり、自身も大会最優秀選手に選ばれた。また同じく同世代を代表する選手であった水町(鎮西高→早稲田大)、柳田(創造学園高→筑波大)と共に「令和の三羽烏」と言われたりもした。高校卒業後は、名門日本体育大学に進学。新型コロナウィルス感染症の影響により春秋のリーグ戦は中止になったが、唯一無観客で開催された全日本大学選手権にて1年生ながらスタメンで活躍した。準決勝では日大所属の兄・塁との兄弟対決制して決勝まで勝ち進み、チームを準優勝に導いた。
日本代表には既に大学1年生であった去年から選出されていたが、2020年はコロナの影響で対外試合がなかったため、先日行われた「東京チャレンジ2021」中国戦が彼にとっての代表デビュー戦となった。同じくこの中国戦にて早稲田大学3年の大塚達宣もデビューを飾ったが、アンダーカテゴリーでも代表に選ばれ続け順当にシニア代表に上がっていった大塚とは違い、髙橋に世代別代表の経験はなかった。このことからもこの1, 2年での彼の努力と成長の大きさが伺える。
試合でのパフォーマンスは想像を遥かに上回っていた。1日目の序盤こそ緊張が見られてプレーが固くなってしまっていたが、後半からは徐々に本来のパフォーマンスを取り戻しスパイクも決まるようになっていった。そして2日目はスタートから絶好調で、キレのあるサーブ、パイプ攻撃、更に難しいハイセットも果敢に得点に繋げるなどしてひとりで19点をたたき出し、オポジットの西田を超えて試合のベストスコアラーに輝いた。
このように得点力が魅力の髙橋であるが、一番の売りは何と言ってもレシーブだ。特にサーブレシーブの安定感は目を見張るものがあり、中国にサーブで狙われてもほとんど崩されず、丁寧なパスをセッターに供給し続けた。髙橋本人も「レシーブが強み」とインタビュー内で語っており、中垣内監督もサーブレシーブに関しては同じポジションの中ではナンバーワンと評す。これまではアウトサイドヒッターの中では主に福澤が守備的な役割を担っていたが、2024年のパリ五輪を待たずして東京五輪で下剋上となるかもしれない。髙橋と同じくデビューした大塚と高梨もポテンシャルの高さを発揮できていたと思うので、たった4人の枠をかけたアウトサイドヒッターの東京五輪代表争いは本当に熾烈なものになるだろう。今のところ確実なのは石川だけだと思う。髙橋にも十分にチャンスはある。
振り返れば、僕は春高優勝時の2020年1月に髙橋藍くんに少しインタビューをさせてもらったことがある。ごらんの通り文句なしの男前の上、とても素直で素敵な好青年だったことがとても印象的だった。そのときには「東京は難しいだろうけど、パリ五輪を目標に頑張ってください」といった旨の言葉を彼にかけた。それがその後すぐにシニア代表に登録され、コロナで東京五輪が延期され、そして先日のパフォーマンスである。いやはや、僕は彼の運と実力を見誤っていた。この場を借りて訂正したい。「東京五輪代表目指して頑張ってください!」
もちろん、主将解任になってしまったが、同級生の「平成三羽烏」さんにもまだまだ頑張ってもらいたい。