ネーションズリーグファイナルラウンド、バレーボール男子日本代表は準決勝でポーランドと対戦し、1-3(25-19, 26-28, 17-25, 19-25)で敗れました。
第1セットスタメン
日本
OH:髙橋藍、石川
MB:小野寺、山内
OP:宮浦
S:関田
L:山本
ポーランド
OH:ベドノシュ、シリフカ
MB:コハノフスキ、ビエニエク
OP:カチュマレク
S:ヤヌシュ
L:ザトルスキ
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
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試合レポート
第1セット序盤は競った展開となり、日本はMB小野寺とOP宮浦、ポーランドはOPカチュマレクを中心に得点を重ねて9-9とします。しかしOH髙橋藍の2本のサービスエースや華麗なフェイクセットからのOP宮浦のスパイクなどで日本が一気に5連続ブレイクに成功し、15-9とポーランドを突き放します。その後ポーランドはOHレオンを投入して17-14と点差を縮めます。それでも日本はOH石川の連続のパイプ攻撃などで相手に逆転を許さず、最後はOP宮浦が2本連続でスパイクを決めて25-19でこのセットを日本が取ります。
第2セット、ポーランドがMBビエニエクとMBコハノフスキのサーブなどで連続得点をあげて5-9と序盤から抜け出します。その後日本もOH石川のサービスエースやOH髙橋藍のブロックなどで18-18と同点まで追いつくと、そこからは一進一退の攻防が続いて試合はデュースに突入します。OH石川のパイプ攻撃で26-25と日本が一度セットポイントを握りますが、そこからOHレオンの高さのあるスパイクとブロック、さらにMBビエニエクの事実上のサービスエースで3連続失点となり、26-28でこのセットをポーランドが取ります。
第3セット、序盤からOHレオンのスパイクやブロック、MBビエニエクとOPカチュマレクのサーブに日本が苦しみ2-8とポーランドが大きくリードします。そこからさらにポーランドが5-13と点差を広げると、日本はMB髙橋健太郎、さらに2枚替えでOP西山とS永露を投入します。途中OH石川の連続サービスエースが出て13-20とするも、最後はMBフベルがクイックを決めて17-25でこのセットをポーランドが取ります。
第4セット、日本はMB山内に代えてMB髙橋健太郎をスタートから起用します。出だしにOH髙橋藍にサービスエースが出て日本が2-0としますが、OPカチュマレクのブロックやOHレオンのスパイクで4連続ブレイクとなり7-10とすぐにポーランドに逆転を許します。その後OH石川のサービスエースで14-15と1点差まで詰め寄りますが、すぐさまOHシリフカのサービスエースなどで15-19とポーランドに点差を広げられます。そのまま最後までポーランドがリードを保つと最後もコートキャプテンのOHシリフカのアタックで21-25とし、ポーランドが1-3でこの試合に勝利しました。
個人的MVP
ポーランド:OHウィルフレド・レオン
23得点(うちブロック2)、アタック効果率66%、サーブレシーブ成功率29%
1セット目途中からコートに入ってポーランドの逆転勝利の立役者となりました。特に日本の関田とのマッチアップではブロックの上からコート手前に打ち落とすスパイクで日本は為すすべがありませんでした。サーブでいくら崩してもハイボールをレオンにあげさえすれば決まる状況だったので日本としてはとても難しい試合だったと思います。またスパイクだけでなくブロックでも貢献度が高く、特にオポジットの宮浦はレオンのブロックにだいぶ苦しめられました。ただイタリアリーグでもサーブランキング1位だったレオンのサーブに対して1本も直接失点しなかった日本のレシーバー陣には感服です。
日本:OH髙橋藍
16得点(うちサーブ3、ブロック1)、アタック効果率29%、サーブレシーブ成功率45%
アタックに関しては被ブロックが4本と苦しんだものの、サーブレシーブではポーランドの強力なサーブに対しても大崩れすることなく、またサーブとブロックでも存在感を見せました。やはりサーブレシーブに関しては石川よりも彼の方が長けているので、場合によってはポジションを石川と入れ替えてもいいのかなと思います(石川の定位置である「ポジション2」(または「ニア」)の方がサーブレシーブで真ん中に来ることが多い)。サーブも緩急という部分ではチーム1かも。
感想など
まずは西田のウォームアップ中の負傷がありました。コートに入ってきたときから今大会のチャリティーシャツである「イコールジャージ」を着ていたので、今日の試合は当初西田スタメンで挑むことになっていたのでしょう。しかし少し目を逸らしている間に西田が消えてる。整列時にもいない…。スタメンもいつの間にか宮浦に変わっている…。なんで?!?!?と会場で困惑してました。あとから腰を痛めたということがわかりましたが、頭にはてなマークが残ったまま試合が始まっていきました。
この試合は今大会予選ラウンドを通しても初めての完全アウェイとなりました。しかもファンのアツさでお馴染みのポーランド。
アリーナは1万人を超えるポーランドファンで埋め尽くされていましたが、1セット目序盤は日本に対してそこまで地元ファンはプレッシャーをかけてきていなかったと思います。たぶん日本をなめているところがあったんでしょう。
しかし1セット目、ラン・タカハシのサーブが走って日本ペースになると雰囲気は一変。サーブ時のブーイングがガチ目になります(笑)。
ラン・タカハシに限らずこのセットの日本はサーブでしっかり攻めてかつサーブレシーブでしっかりと耐えることができていて、うまくサイドアウトを取りつつコンスタントにブレイクを奪う理想の展開ができていました。特にサーブで直接的に点数が取れずとも上手く相手のミドルのクイックを封じることができていました(事実1セット目のポーランドのミドルのポイントはゼロ)。逆に日本は安定したサーブレシーブからクイックやパイプといった真ん中からの攻撃も多く絡めた理想の組立ができ、ポーランドのブロックも上手く対応ができていませんでした。
1セット目終了時点では完全に日本の流れでした。これはもしや決勝に行けんじゃないかと思ってしまい、勝手に感極まりました(笑)。
2セット目は序盤ポーランドのサーブ、とくにビエニエクのサーブにやられてリードを奪われましたが、終盤で石川や今大会初出場の西山のサービスエース、で同点に追いつきます。このように強豪チームにリードを奪われてもサーブをきっかけに終盤で追いつけるのは今の日本の強さの表れですね。そして26-25とセットポイントも取って、ポーランドファンのブーイングも最高潮になったんですが、ここでポーランドにサイドアウトを取られた直後の宮浦のスパイクがレオンに捕まってしまう…。ここは本当に決めたかった。
そのまま接戦の末第2セットをポーランドが取ると、そのまま最後までポーランドペースで試合が進んでしまいました。
ポーランドは上述のとおりレオンが関田のブロックの上から楽にスパイクを決められていて、さらにそこをマークしているとライト側のカチュマレクも調子をあげて、さらにさらにビエニエクなどの強力なサーブに主に石川が崩されてサイドアウトが取れず。またレオンとカチュマレクはブロックもよくて、宮浦と藍をそれぞれ苦しめました。
やっぱりポーランドは強かった。ただポーランドファンのガチのブーイングを引き出すまでポーランドを苦しめることができたことは誇ってよいと思います。予選ラウンドと比べると明らかに戦えていました。次やったらわかりません。世界ランキング1位のポーランドを食う日もそう遠くはないでしょう。
Photo: FIVB