試合レポート

VNLファイナルふりかえり③3位決定戦イタリア戦

ネーションズリーグファイナルラウンド、バレーボール男子日本代表は準決勝でポーランドと対戦し3-2(25-18, 25-23, 17-25, 17-25, 15-9)で勝利しました。

第1セットスタメン

日本

OH:髙橋藍、石川
MB:小野寺、山内
OP:宮浦
S:関田
L:山本

イタリア

OH:ミケレット、ラヴィア
MB:ガラッシ、ルッソ
OP:ロマノ
S:ジャンネッリ
L:バラソ

※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ

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試合レポート

第1セット、出だしはOHミケレットのサービスエースなどで1-3とイタリアがリードしますが、S関田の狙いすましたサーブから切り返しでOH石川がスパイクを決めるなどして5連続ブレイクをあげ7-3と日本が一気にリードを広げます。その後OP宮浦の2連続サービスエースなどで14-7とさらに点差を広げます。イタリアもOHミケレットのスパイクとサーブ、OPロマノのブロックなどで17-15と点差を縮めますが、MB山内や途中出場のOH大塚のスパイクが決まって21-16と再度日本がイタリアを引き離します。そして最後はOP宮浦がまた連続サービスエース(このセット計4本)を決めて25-18でこのセットを日本が取ります。

第2セット、出だしからOH髙橋藍に代えてOH大塚をそのまま起用します。ところがそのOH大塚が連続でイタリアブロックに捕まり2-5となったところでOH髙橋藍に交代します。そこからOH髙橋藍のスパイクやS関田のサーブでブレイクを重ねて11-11と日本が同点に追いつきます。終盤、日本に2連続でアタックミスが出るなどして18-21とイタリアが抜け出しますが、22-23の場面でOP宮浦の好サーブからOH髙橋藍がスパイクを決めて23-23と追いつくと、OPロマノのスパイクミスで日本が逆にセットポイント。そして最後はOH石川がレフトからバックアタックを決めて25-23でこのセットも日本が取ります。

第3セット、Sジャネッリの2本のサービスエースを含む4連続ブレイク、さらにOHミケレットのサーブでも連続ブレイクに成功したイタリアが5-10と序盤からリードを奪います。その後も勢いが止まらないイタリアがOHラヴィアのスパイクやMBガラッシのサービスエースなどで9-17と点差を広げます。日本は途中OP宮浦のスパイクやサービスエースで16-21とやや点差を縮めますが、最後はSジャンネッリのツーアタックが決まって17-25でこのセットをイタリアが取ります。

第4セット、OP宮浦のこの試合6本目となるサービスエースなどで3-1と日本が出だしでリードしますが、MBルッソのブロックやOPロマノのスパイクなどで5-9とすぐに逆転を許します。その後もOPロマノのサーブや日本のミスなどで11-20とイタリアが更に点差を広げます。終盤こそOH髙橋藍のスパイクなどでサイドアウトを取り合う展開を見せましたが、最後はOP宮浦のサーブがミスになり17-25でこのセットもイタリアが取ります。

第5セット、出だしからOP宮浦がこの日7本目となるサービスエースを奪うと、さらにOH石川のスパイクやMB山内のブロックなどで6-3と日本が先行します。その後もOH石川がスパイクとサーブで大活躍し10-4と点差をさらに広げます。イタリアもMBガラッシのブロックでブレイクしますがサーブミスに苦しみチャンスを掴めません。そのまま最後もOH石川がラリーからの渾身のスパイクを叩き込んで15-9でこのセットをとった日本が3-2でイタリアに勝利。銅メダル獲得を果しました。

個人的MVP

日本:OP宮浦健人

20得点(うちサーブ7、ブロック1)、アタック効果率17%

脅威の7本のサービスエース、さらに事実上のサービスエースを含めると10本くらいあったんじゃないかというくらい凄まじいサーブを何本も叩き込み日本に勝利を呼び込みました。1セット目だけでまず4本決めて日本にグッと流れを持ってきましたし、第5セットの1点目のサービスエースは3、4セットの悪い流れを断ち切って日本に流れを呼び戻しました。スパイクでは被ブロックが多く苦しい時間帯もありましたが、第5セットにはその点もしっかり修正してくれました。自身がポーランドリーグで一番磨いたプレーをポーランドの会場で爆発させたのは個人的にも胸アツでした!!

次点:OH石川祐希(21得点、アタック効果率27%、サーブレシーブ成功率44%)

イタリア:OHアレッサンドロ・ミケレット

16得点(うちサーブ4、ブロック1)、アタック効果率29%

キレのあるサーブで日本を苦しめフルセットまで持ち込んだ立役者。OHラヴィアもOPロマノもなかなか調子が出ないなかスパイクでもチームを支えました。ただミケレット自身も決して本調子だったわけではなかったです。(それにしてもこの顔(笑))

感想など

主要世界大会46年ぶりのメダルを獲得した試合。

現地にいた私は文字どおり手に汗を握って観戦していました。

1セット目から競った展開になるかと思いきや、関田のコントロールサーブから連続得点!さらにミヤケンの連続サービスエース!とてもノリノリの日本!!得点になるプレーはもちろん、得点にならなかったときもブロックタッチが取れてたり、ディグが拾えてたり(特に山本)といいプレーが出ていて、出木すぎと言えるほどゲームを支配していたと思います。最後も宮浦の2連続サービスエースで日本が先取。僕の予言通りの展開に(笑)。

ただ一方でラン・タカハシの調子が上がらず大塚と交代。しかしその大塚も2セット目序盤に連続で止められてラン・タカハシが再びコートへ。しかし大塚も1セット目の21点目の繋ぎはすばらしかった、会場内もどよめいていました。

2セット目も関田のサーブがよかった。ちょうど相手ミドルのルッソを狙ってだいぶ崩せていました。あと211cmのミケレットとのマッチアップも心配されましたが、前日のポーランドのレオンほど上からガンガン打たれる感じではなかったですね。やっぱりレオンはまた別格でした。

あとは何と言ってもユウキ・イシカワ。相変わらず引き出しの多いアタック、世界ナンバーワンのリバウンド技術、アグレッシブなサーブ。そしてブロックの駆け引きも上手くて手を引いてミケレットのスパイクをアウトにするプレーもありました。

しかし終盤にその石川がブロックに捕まるなどしてイタリアリードの展開となりますが、その後宮浦のサーブから3連続ブレイクで逆転!しかも最後は石川のレフトからのバックアタックというビッグプレーでした!

僕は周りをポーランド人に囲まれる中ひとり大興奮(笑)。このままの勢いで行きそうでもありましたが、2セット目終了後のインタビューでブラン監督が「試合は長くなりますよ」と言っていましたし、ブラジル戦やアルゼンチン戦を見た僕としてもそんな気がしてなりませんでした。

そしたら案の定3セット目以降はそれまであまり入っていなかったイタリアのサーブが息を吹き返します。特にミケレットとジャンネッリのサーブが効果的で、主に石川のレセプションが大きく崩されてしまいます。

ジャンネッリは去年同じくポーランドで行われた世界選手権決勝でも自身のサーブから流れを掴んで逆転優勝を手にしたのでそれがちょっとよぎりました…。

サーブが乗ればイタリア得意のブロックも乗ってきて、日本の被ブロックも増えました。特に宮浦と藍のスパイクがイタリアブロックに阻まれました。

4セット目も出たしこそ藍のブロックや宮浦のエースでリードしたんですけど、すぐにやり返されてサイドアウトが取れない苦しい展開に。それでも最後はサイドアウトが取れていて最後に繋がるいいバレーができていたように見えました。

運命の最終セット。3、4セット目はいずれも17点と大差で取られてしまいましたが、不思議と心配はありませんでした。だって龍神NIPPONは今大会フルセット無敗でしたし、同じように1、2セット目を取って3、4セット目を取られて、でも最後にとって勝ったブラジル戦とアルゼンチン戦を目の前で見ていてので、僕としては勝利を確信していました。なんたってその2試合にもいた我らが宮浦もいますし(笑)。

そしたらやっぱりやってくれたよこの男!!!出だしからこの試合7本目となるサービスエース!!!宮浦吠える!!!僕も吠える!!!(笑)

オポジットのサーブからのローテーションにするということは関田がブロックするローテーションが長くなるということである種リスクだったのですが、この采配が見事に的中!!!

てか1試合7本とかすごすぎじゃないですか?!?!?!でもそれができるのが今のミヤケン。僕は信じていました。だってポーランドですし!!!

その後も石川でサイドアウトを取りながら宮浦と山内にブロックポイントが出て6-3!!!(この時点で泣きそうだった僕(笑))

また会場のほとんどのポーランドファンも日本を応援していました。日本のサーブのときには手をたたき、逆にイタリアサーブのときにはブーイングが起こっていました。たぶん去年の世界選手権でポーランド代表がイタリアに負かされたからかな(笑)。でも本当に会場は日本ホームでした。

そして石川のパイプ、山内のブロック(2本目)、石川サーブからの藍ダイレクト!!!特に石川、この5セット目に入ってギアが更に上がっているのが遠目からでもわかります。大事な試合の大事な場面でギアをさらに上げられるのは超一流の証。クラブシーズンで見たスーパー石川がそこにはいました。

一度藍がガラッシに止められてイタリアがブレイクしましたが、すぐに宮浦がブロックアウトを決めます。ブロックを吹っ飛ばせるようになったのもポーランドでの肉体改造のたまものです。

イタリアはとにかくサーブがまた入らなくなってましたね。ガラッシ、ロマノ、ジャンネッリとサーブミスを連発。特に14点目のサイドラインを大きく割るジャンネッリのサーブミスはなんだかこの試合を象徴しているようでした。

そしてマッチポイント、会場全体から「Ostatni(ラスト)」コール!小野寺がサーブでミケレットを崩してロマノが打ちきれず、返ってきたボールを宮浦が丁寧に高めに上げ、関田がレフトへセットし、キャプテン石川が決める!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

46年ぶりのメダル獲得。

なんかもういろんな感情が沸き起こりましたね。

この46年ぶりにメダルを取ったということに関してはまた改めて書けたらと思います。

とにかく、彼らを本当に誇りに思います。

生きている間にこの光景を、日本男子代表の表彰台を現地で見ることができて本当によかったです。

生きててよかった。

Photo: FIVB

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