試合レポート

VNLファイナルふりかえり①準々決勝スロベニア戦

ネーションズリーグファイナルラウンド、バレーボール男子日本代表は準々決勝でスロベニアと対戦し、3-0(17-25, 19-25, 18-25)で勝利しました。

第1セットスタメン

日本

OH:髙橋藍、石川
MB:小野寺、山内
OP:西田
S:関田
L:山本

スロベニア

OH:ウルナルト、モジッチ
MB:パイェンク、コザメルニク
OP:チェブイ
S:ロプレット
L:コヴァチッチ

※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ

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試合レポート

第1セット、序盤からOH石川がスパイク、ブロック、サーブで次々と得点を決めて9-7と日本がリードします。しかしすぐにスロベニアもOHウルナルトやOHモジッチが得点を重ねて同点に追いつくと、そこからは競った展開が続きます。終盤MBパイェンクのスパイクやブロックで23-24とスロベニアが先にセットポイントを握りましたが、切り返しからOH石川とOH髙橋藍が続けてスパイクを決めて25-24と日本が逆転に成功。そして最後は途中出場のOP宮浦がOHウルナルトのアタックに対して空中でブロックの手を引いてそのボールをアウトにするファインプレーで26-24とした日本が第1セットを取ります。

第2セット、OH髙橋藍の好サーブからOP西田のスパイク、さらに相手のミスも重なり8-3と日本がリードします。その後もOH石川を中心に日本が得点を重ねて18-11とリードを広げます。スロベニアもOHウルナルトのスパイクなどで19-16と点差を縮めますが、MB山内のブロックで24-18と日本がセットポイントを握ると、最後はOH髙橋藍がパイプ攻撃を決めて25-18でこのセットも日本が取ります。

第3セット、序盤からOH石川のスパイクとブロックなどで8-4と日本が抜け出します。スロベニアもOHウルナルトのスパイクなどで13-12と1点差まで詰め寄りますが、OH石川のスパイクやMB小野寺のブロックなどでリードを保った日本が24-21で先にマッチポイントを握ります。そして最後はOH石川がスパイクを決めて25-22でこのセットも取った日本が3-0でスロベニアに勝利しました。

個人的MVP

日本:OH石川祐希

27得点(うちサーブ1、ブロック4)、アタック効果率54%、サーブレシーブ成功率45%

3セットで27得点、つまり全得点の1/3以上をひとりでたたき出しての文句なしのMVP。今大会目標としていたベスト4への執念が全身からあふれ出ていて、1セット目からフルスロットルで、途中でバレやしないかヒヤヒヤしていましたが、最後まで全力で突っ走っていました。しかしプレー自体はいつも通り冷静で、ティップやリバウンドを織り交ぜながら相手に対応されることなく次々と得点を決めていました。今シーズンのイタリアリーグでの試合を見ていても思いましたが、石川は大事な試合でギアをまたグッとあげることができるんですよね。それがよくわかる試合だったと思います。

次点:S関田誠大(1得点(うちサーブ1))

スロベニア:MBアレン・パイェンク

12得点(うちブロック1)、アタック効果率69%

高いアタック決定率で最後まで日本を苦しめたベテランミドル。サイドアタッカーの決定率がなかなか上がらない中でスロベニアのサイドアウトを支えました。高さと幅のあるクイックに日本のミドル陣が対応できず、彼のアタックだけはほとんどやりたい放題状態でした。

感想など

目標としていたネーションズリーグベスト4を決めた試合。

前日の準々決勝1日目と違い、今日のお客さんは2試合目の地元ポーランド戦目的の人がほとんどだったためか、試合開始時のお客さんの数はまばらでした。

試合は出だしから石川ショーでした。やや離れた座席からも彼の気迫、ベスト4にかける思いが伝わってきました。ただ1セット目は髙橋藍の調子が上がらず、スロベニアもよく攻撃が通っていたので競った試合展開となりました。スロベニアがMBパイェンクの大活躍で23-24と2点差をつけて先にセットポイントを握られましたが、石川が巧みなブロックアウトで24-24とすると、今度は髙橋藍がセカンドタッチでバックアタックを決めて25-24と逆転!

そして極めつけはリリーフブロッカーで入った宮浦のプレー。ウルナルトのスパイクに対して直前のところで手を引いてスパイクをアウトに!!試合後の宮浦本人の話によれば関田から「手を引いてもいい」というアドバイスを受け、それを実行したらハマったようです(試合映像を見返すとこのプレーの直後に両者が指をさし合って喜んでいるのがわかります)。このプレーで日本が接戦の第1セットを取ったことからも、この試合一番のキーモーメントと言ってもよいでしょう。そう考えると関田と宮浦の2人がこの試合の陰のMVPだったと思います。

それにしてもこのプレーが出た後の宮浦とそれを迎えるブラン監督の喜び様は半端じゃなかったですね(笑)。

その後は完全に日本のペース。髙橋藍、西田の復調、そして日本のサーブ&ブロックがハマって試合を終始有利に進めることができました。スロベニアもセッターを変えたり、3セット目にはサイドの選手のポジションを変えたりもしてみたものの1度乗ってしまった日本には通用せず。最後も石川がしっかりとパイプ攻撃を決めて3-0での勝利となりました。

この試合は下馬評的にも日本が上だったので僕自身もあまり心配はしていませんでしたが、気づけば3-0とストレートで、しかも2セット目以降のスロベニアを寄せ付けないプレーは想像以上でした。やっぱりキャプテン石川の気合の入り方がすごかった。この試合に懸ける思いが人一倍ビシビシと伝わってきました。

Photo: FIVB

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