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大塚達宣がMVPの大活躍!ミラノがチヴィタノーヴァを3-2で退け激闘のPO準々決勝1戦目を制す!

現地時間3月9日(日)イタリアスーパーレガのプレーオフ準々決勝が行われ、大塚達宣所属のミラノはチヴィタノーヴァと対戦。3-2(27-29, 25-23, 18-25, 25-23, 17-15)でミラノが勝利した。プレーオフは5戦3勝方式で行われ、ミラノはこれで1戦1勝とした。

この試合は現地で見届けた。チヴィタノーヴァはイタリア中部のアドリア海沿いに位置する街で、ミラノからだと特急電車で4時間ほどかかる。当然会場はチヴィタノーヴァの完全ホームと化していた。

今季のチヴィタノーヴァはコッパイタリアで優勝、レギュラーシーズンも3位という上位で通過している。また今季はここまでホームゲーム無敗であったため、観客も当然のようにチームの勝利を期待していたことだろう。記者席のちょうど真後ろにいたチヴィタノーヴァの応援団も試合前からボルテージを上げてホームチームに大声援を送っていた。

スタメンに大塚の名前はなかった。ミラノのいつものカジースキとルアティのOH対角。

第1セット終盤まではそんな地元ファンの期待に応えるチヴィタノーヴァ優勢の試合運びだった。

序盤こそミラノがOPレゲルスのサービスエースやアタックで7-3とリードしたが、そこからOPラグンジアのアタックやブロックで16-16とチヴィタノーヴァが同点に追いつく。そこから2連続ブロックなどで17-20、さらにリリーフサーバーOHポリヤのサーブからMBポドラスチャニンがアタックとブロックを決める。ミラノは途中でOH大塚を投入してサーブレシーブを固めるも18-24と一気にチヴィタノーヴァがセットポイントを迎えた。

ただここからミラノが追い上げを見せる。OHポリヤのサーブミスのあとにMBカネスキがブロックを決めて20-24とすると、MBラリッツァのエースやOH大塚のスパイクなどでミラノが次々とブレイクを決めていく。チヴィタノーヴァは選手交代やタイムアウトを使ってあと1点を取りにいったが、OPレゲルスのスパイクが決まって24-24とミラノが6連続ブレイクでデュースに持ち込む。しかしそこから途中出場のOHニコロフがやっとアタックを決めて流れを断ち切ると、最後はOHボットロが2本連続でスパイクを決め切って27-29でチヴィタノーヴァがなんとかこのセットを取る。

第2セット、出だしは6-6と競った展開となるが、SポッロのサーブからOPレゲルスとMBシュニッツァーのスパイクとブロックで4連続ブレイクを決めたミラノが11-6と一気に抜け出す。その後もミラノはミドルのクイックでサイドアウトを重ねて16-11とするが、OHボットロの活躍で20-18とチヴィタノーヴァが迫る。この間にOH大塚が再投入。終盤ミラノはSポッロのエースで24-20とセットポイントを握るも、チヴィタノーヴァもMBガルジューロのエースなどで24-23と1点差にまで迫る。しかし最後はMBシュニッツァーがキレのあるクイックを決め切って25-23でミラノがこのセットを取り切る。

第3セット、OH大塚がスタートから出場。そのOH大塚が難しいハイボールを軟打で落として4-1とミラノが先行する(そして大塚ドヤ顔)。その後もOH大塚が高い打点から高い決定率でスパイクを決めていくが、MBガルジューロのサーブからOHニコロフが続けてスパイクを決めるなどして8-9とチヴィタノーヴァが逆転する。さらにMBガルジューロのブロックやOHボットロのエースで13-17とチヴィタノーヴァがリードを広げる。終盤にもOPラグンジアとOHニコロフが立て続けにエースを決め17-23とすると、最後もリリーフサーバーOHポリヤのエースが決まって18-25でこのセットをチヴィタノーヴァが取る。

第4セット、OPレゲルスのスパイクやMBカネスキのエースで6-3とミラノがリード。そこからさらにOH大塚とOPレゲルスのアタックが続けて決まり12-7とミラノがリードを広げる。その後チヴィタノーヴァは2枚替えでSオルドゥナとOPディルリッチを投入。リズムを掴み直しOHボットロのアタックやサービスエース、さらにミラノにミスが続いて17-17とチヴィタノーヴァが同点に追いつく。

しかしOH大塚が難しいハイボールを決め切って相手の逆転を阻むと、OPレゲルスらのスパイクで連続ブレイクを決めたミラノが22-18と再度点差を広げる。その後OHボットロのブロックやスパイクでチヴィタノーヴァが粘りを見せて23-23とチヴィタノーヴァが再度同点にするが、最後はSポッロのショートサーブからOPレゲルスがOHボットロをブロックで仕留めて25-23でミラノがセットを取り切りフルセットに持ち込む。

第5セット、Lバラソの素晴らしいディグからOPラグンジアが続けてスパイクを決めて3-5とチヴィタノーヴァが前に出る。ただすぐにMBカネスキのブロックで5-5とミラノがすぐさま追いつくと、OHルアティのネットインエースやOH大塚の1枚でOPラグンジアを止めるブロックで8-6とミラノが逆転。それでもチヴィタノーヴァがOPラグンジアで連続得点を決めて10-11と再度前に出る。このあとOH大塚が気迫のこもったスパイクを決めて相手の連続ブレイクを止めて11-11とするも、OHニコロフのアタックで3連続サイドアウトを取って13-14とチヴィタノーヴァが先にマッチポイントを握る。

しかしOPレゲルスのスパイクで14-14としてミラノがデュースに持ち込むと、その後OHボットロがこの試合で唯一のアタックミスをここで犯し16-15とミラノが逆にマッチポイントを握る。そして最後はワンポイントブロッカーで入ったOPバロットがOHボットロをブロックで沈め、17-15でこのセットを取り切ったミラノが3-2でチヴィタノーヴァに勝利した。

詳しい試合スタッツはこちら↓
https://www.legavolley.it/match/38958

ミラノメンバーが歓喜に包まれる中、MVPに選ばれたのはタツノリ・オオツカ。2セット目途中から本格的にコートに入ってチーム2位の16得点(うちブロック1)、アタック効果率40%と高い得点能力を見せた。

試合後に本人も「よく跳べていてブロックやコートがよく見えた」と話していたようにこの日の大塚は打点が高く、ラインからインナーとコース幅も広く、またプッシュやティップなどの軟打も織り交ぜてチヴィタノーヴァのディフェンスを最後まで翻弄した。エンドライン付近から上がってくるハイボールも何度も決めた。特に3セット目はアタック決定率6/6の100%を記録するなど、この日ミラノで最も頼れる男だった。

もちろん活躍はアタックだけにとどまらず、サーブレシーブでもコートに安定感を与え、ブロックでも5セット目の勝負所に相手のOPラグンジアを1枚で仕留めた。何より誰よりも積極的にコミュニケーションを図っていた。強いて言えばサーブでももっと存在感を出してほしかったが、それは欲張りすぎだろう。

イタリアリーグのMVPは通常記者投票で行われる。僕はもちろん活躍を見て大塚に入れたが、隣にいた地元記者も「日本人にやられたよ」と言って投票用紙に”OTSUKA”と書いていた。そのようにバレー通の相手地域の地元記者にも評価されてのこの日のMVPであった。

もちろん大塚だけではない。自らのサーブとミドルのクイックを積極的に使うトス回しが光ったSポッロ。そのトスに答えて高い決定率で決めまくったMBシュニッツァー。そして調子を一度落としたが、4セット目以降復活して最多26得点を叩き出したOPレゲルスなどの活躍も光った。しかし何よりもチーム全員が最後まで諦めず戦い続けたことがこの勝利につながったことは間違いないだろう。

もちろんチヴィタノーヴァもいいバレーを見せた。Lバラソは何度もギリギリのところでボールに触れてピンチをチャンスに変えた。また特にOHボットロの得点能力は驚異的で、アタック、サーブ、ブロックと試合を通して好調を維持し、最後までミラノの脅威であり続けた。チヴィタノーヴァが勝っていたらMVPは間違いなく彼だっただろう。だからこそ最後の2点がどちらも彼のアタック失点だったのことは本人とって相当悔しかったに違いない。彼に限らず悔しさを滲ませるチヴィタノーヴァの選手のほとんどが試合後すぐにロッカーにはけていった。

一方試合後の大塚は足を攣っていた。「ずっと120%くらいの力が出ていた」とそのあと話してくれたので、それで身体が軽く悲鳴を上げていたのだろう。それでも試合終了まで持たせたのは流石。やはり続々と選手たちの脚が攣っていった「洛南カルテットvs東山髙橋兄弟」の春高予選京都府決勝でも最後までコートに立って打ちまくっていたタフさは今も健在なのだろう。幸い次の第2戦までは1週間の空きがありかつミラノホームでの試合になるので、しっかりと身体を休めて次に備えてもらいたい。今回これだけ活躍したのだから、次はスタメンでコートに立ってくれるのではないかと期待している。

一方のチヴィタノーヴァはチャレンジカップの決勝アウェイゲームのために翌朝6時からポーランドに移動し、12日(水)の試合に備えるのだとチヴィタノーヴァのスタッフの方に教えてもらった。こうしたスケジュールの違いも次の試合に影響してくるだろうが、いずれにせよ次の試合も激しい戦いになることは間違いない。

写真: legapallavolo.it, 筆者撮影

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