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春高バレー2025雑感:大エースで勝った女子、組織力で勝った男子

続いて男子。

決勝戦の結果はこちら
https://volleyballking.jp/article/20893/

まずとくにかく駿台学園の強さが際立った。

オポジットの選手がバックアタックを打たない守備的な選手だったことを除いてほぼやっていることはトップレベルと同じだったと思う。攻撃はセッターが前衛のときでも後衛のアウトサイドヒッターがライトからバックアタックに入り、常にネット幅いっぱいを使いかつファーストテンポの早い攻撃を展開。

そこから相手ブロッカーの状況に応じてサイドアタッカーが中に切り込んだり、ミドルが1人時間差を使ったりと攻撃が多彩。状況が悪いときにはリバウンドも取る。またリードブロックを土台とするトータルディフェンスで守備も堅い。データを活用し対策もバッチリ。

強すぎた。決勝戦も点数差以上の力の差があったのではないかと思う。そのためか選手たちの表情にも余裕が見られ、3セット目中盤の追う場面でも東福岡の選手たちよりも楽しそうに見えた。本当に駿台学園はチームとしての完成度が際立っていた。レべチだった。

一応世代ナンバーワンエースとして駿台の川野琢磨が取り上げられてはいたが、大会を通してそれほど突出した活躍が見られたかと言われたらそうではなかっただろう。特に決勝に関しては彼よりも対角の櫻井信人がスパイク、サーブ、ブロックと大車輪の活躍で20点以上をたたき出しトップスコアラーだった(だから個人的にはMVPは櫻井に取ってほしかったがテレビ的にはアウトだったのだろう、残念)。

駿台はこの2人以外にもミドル、オポジットと5人のアタッカーがバランスよく、そして高い決定率で得点を重ねてた。そのためどの対戦相手も駿台のアタックに対してブロックを揃えることに苦労していた(その陰にリベロ谷本の好守があったことは言うまでもない)。

男子に関しては2021年に柳北悠李率いる東福岡の優勝を最後に、チームのほどんどのトス打つような大エース型チームの優勝はない。また今年のベスト4に上がってきたどのチームもそれに該当していない。特にどのチームも得点力のあるミドルブロッカーの存在が光っていた。得点にはならなかったが、駿台のセッター三宅が決勝戦のマッチポイントで選択したのもクイックだった。

もう高校バレーでも圧倒的な個による得点だけでは勝てなくなってきている。それだけレベルが上がってきていると言っていいだろう。

あとトップレベルに近づく要素があるとするとサーブ、ブロック、そしてバックアタック。

今大会では駿台の櫻井によるパワフルなジャンプサーブが印象に残ったが、まだまだ高校生で強力なジャンプサーブを打てる選手が少なくサーブレシーブがAパスになる率がトップレベルと比べると高く感じる。

ブロックについてはリードブロックができているチームが少ないように感じる。高校バレーでは時間差攻撃がまだまだ現役だが、その背景にはリードブロックが浸透していないことがあると思う。もっとリードブロックを普通やるチームが増えると全体の戦術も変わってくるしレベルも上がる。

そしてバックアタック。まだまだ一部の得点力のある選手だけが使える必殺技みたいな感じがあるが、そうでない選手も参加して常に4人アタッカーによるシンクロ攻撃をやってほしい。特に全国大会ではそれが当たり前みたいになってほしい。

攻めのジャンプサーブも、リードブロックも、4人シンクロ攻撃も10年以上前にすでに「ハイキュー!!」で描かれている。現実が早く「ハイキュー!!」の世界に追いつくことを願っている。

ちなみに男子の中では女子の秋本みたいに日本代表の即戦力となる選手はいないと思うが、197cmの駿台の川野と191cmの慶應のセッターだった松田悠冬の2人はとても有望な選手だと思うので将来が楽しみ。

松田は今回の春高では怪我でコンディションが万全でなかったのが悔やまれる。万全だったら鎮西にも東亜にも勝ってベスト4行けてたと思う。

川野は早稲田大、松田は慶応大にそれぞれ進学予定らしい。ただ川野は強化育成選手として入団が決まっている。松田も、もしその先を見据えるなら早めに高いレベルの環境でプレーできたほうがよいだろう。個人的に選手として一番伸びる20歳前後の時期を日本の大学リーグだけで終わらせるのはとてもまずいので彼にも何かいいチャンスがあることを願う。

とにかく年明けから楽しませていただいた。(テレビ局の都合が優先される)大変なスケジュールのなか頑張った選手たちが全員すばらしい。お疲れさまでした。

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