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パリ五輪男子バレー全体のふりかえり

2024年8月19日

今回は先日終了したパリ五輪男子バレーボール競技について、結局どんな大会だったのかなど簡単にふりかえります。

結果のおさらい

順位

優勝:フランス(2大会連続2回目)
準優勝:ポーランド
3位:アメリカ

4位:イタリア
5位:スロベニア
6位:ドイツ
7位:日本
8位:ブラジル
9位:セルビア
10位:カナダ
11位:アルゼンチン
12位:エジプト

個人賞

ベストアウトサイドヒッター:エンガペ(フランス、2大会連続2回目)、クレヴノ(フランス、初)

ベストミドルブロッカー:コハノフスキ(ポーランド、初)、エイヴリル(アメリカ、初)

ベストオポジット:パトリィ(フランス、初)

ベストセッター:ブリザール(フランス、初)

ベストリベロ:グレベンニコフ(フランス、2大会連続2回目)

MVP:エンガペ(フランス、2大会連続2回目)

近年まれに見るハイレベルな大会

今大会は参加する12チームのうちエジプトを除く11チームがそのまま世界ランキング上位11チームで、またその11チームのレベルが拮抗し全てのチームに現実的にメダルのチャンスがある近年まれに見る群雄割拠でハイレベルな大会でした。

実際に過去3大会と比較してもストレートで終わった試合の数が少なく、フルセットになった試合が多い大会でした(表参照)。

試合数3−03−13−2
ロンドン20123824(63%)9(24%)5(13%)
リオ20163823(61%)12(31%)3(8%)
東京20203817(45%)10(26%)11(29%)
パリ20242610(38%)7(27%)9(35%)

試合方式変更による影響

今大会からプール予選の組分け方法が新しくなっていました。

前回大会までは6チームずつ2プールに分けて、その中から上位4チームずつが準々決勝に進む方式でした。しかし今大会からは4チームずつ3プールに分けて、その中で全てのプールの総合上位8チームが準々決勝に進む方式に変わりました。

これは選手負担軽減のために試合数を減らす目的があったようですが、一方で予選をギリギリで突破したチームがその後メダルを取る可能性を狭めたと言えるでしょう。

実際に東京2020とリオ2016で金メダルと獲得したフランスとブラジルは予選プール4位通過でしたし、ロンドン2012とアテネ2004で銅メダルを獲得したイタリアとロシアもまた予選プール4位通過でした。

12チーム2プールで上位4チームずつが決勝トーナメントに進む方式となったのはバルセロナ1992からでしたが、北京2008を除いく東京2020までの全ての大会で4位通過した2チームのうち1チームは準々決勝を突破しています。

しかし今回のパリ2024で予選プール3位(総合7、8位)通過だったブラジルと日本はどちらも準々決勝で敗れました。

これまでの2プール制では4位通過でも最低2勝はしていた一方、今回の3プール制ではプール3位通過の場合1勝しかできていないので、チームとしてイマイチ流れに乗れないまま準々決勝を迎えてしまったからだと考察します。

個人的には予選下位通過からの下剋上がオリンピックの醍醐味でもあったので、これを見られるのが今後も減ってしまいそうなのが残念です。

開催国の強さ

今大会はフランスの2連覇で幕を閉じました。

予選プールでは初戦のセルビアにフルセット勝利、さらにセルビアにはフルセット負けと決して快調な滑り出しではなかったです。しかし準々決勝でドイツに0-2からの大逆転で勝利すると、準決勝と決勝戦ではそこからさらにギアの上がった鬼のような強さを見せ、どちらもストレートで解消して金メダルを獲得しました。

準々決勝でチームとして大きな壁を超えられたことが準決勝以降のブーストに繋がった要因の一つであることは間違いないでしょうが、同じく地元の声援も大きな支えとなったでしょう。

僕はフランス戦は決勝戦のみ現地観戦できましたが、やはりフランスのホーム感がすごくて会場全体がフランス応援のお祭りムードだったので、一度フランスが波に乗ったらもうその雰囲気、空気を変えることは非常に困難だなと感じました。

実際にオリンピックの男子バレーで開催国が決勝戦で敗れた事は今までありません。決勝戦では開催国とは絶対に当たってはいけないと改めて考えさせられました。

ちなみにオリンピック2連覇はロサンゼルス1984とソウル1988を制したアメリカ以来36年ぶり。エンガペの2大会連続MVP受賞は史上初の快挙でした。

「準々決勝の呪い」を破ったポーランド

ポーランドはアテネ2004以降メダル候補として全てのオリンピックに参加していましたが、東京2020までは全て準々決勝で敗退していて、それが国内で「準々決勝の呪い」と言われていました。

しかし今大会では準々決勝でスロベニアを破って準決勝に進出し20年の呪いから解放。ロンドン2012から4大会連続で出場していたキャプテンのクレクは歓喜のあまり床に倒れ込みました。その後ポーランドのテレビのインタビューでは、レポーターにポーランド語で「準々決勝の呪い」と書かれた紙を渡され、それをクシャクシャに丸めて投げ捨てる寸劇を見せてくれました(笑)

ロシア不在のオリンピック

パリ2024はボイコットで参加を見送ったロサンゼルス1984以来の2回目のロシア(ソ連)不在のオリンピックとなりました。

理由はもちろん2022年から続くウクライナ侵攻です。

ロシアはシドニー2000から東京2020にかけて6大会連続でベスト4(うち金1、銀2、銅2)を獲得していた強豪国。ソ連時代と合わせると参加したオリンピックでメダルを逃したのはバルセロナ1992、アトランタ1996、リオ2016の3回のみで、メダル獲得総数は11個と2位ブラジルほかの6個を大きく上回っています。

東京2020で銀メダルを取ったメンバーは日本の石川選手と同じ1995年生まれの選手が中心だったので、もしパリ五輪に参加できていたとしたら勢力図を大きく塗り替えたであろうことは想像に難くありません。

選手に罪はないので、1日でも早く戦争が終結し、1日でも早くロシアのバレーボール選手たちが再び国際大会の舞台に戻って来られることを願います。

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[配信日時]

7月27日(土)午後5時 男子#1 男子#2
8月 3日(土)午後5時 女子#1
8月10日(土)午後5時 女子#2
8月24日(土)午後5時 男子#3
8月31日(土)午後5時 女子#3
9月 7日(土)午後5時 男子#4
9月14日(土)午後5時 女子#4

(TBSテレビリリースより引用)

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写真:Volleyball World

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