コラム

【超解説】コッパイタリア準々決勝2024ミラノ対ピアチェンツァ

本記事では2024年1月3日(水)に行われたイタリア男子バレーボールのコッパイタリア準々決勝、日本代表石川祐希所属のミラノとピアチェンツァの試合を深堀していく。

この試合は筆者も実際に現地に足を運んで観戦した。結果は3-2(25-16, 20-25, 25-21, 22-25, 22-20)でミラノの勝利。そのアツい試合展開に記者席にいながら手に汗を握った。

そこでぜひとも詳しく試合を見返したいという気持ちに至った。またどうせ分析するなら読者の皆様にも共有し、新しい気づきなどを与えることができたら幸いと思い、本記事の執筆することとした。

先発メンバー

ミラノ

OH:カジースキ(ブルガリア)、石川
MB:ロセル(アルゼンチン)、ピアノ(イタリア)
OP:レゲルス(ベルギー)
S:ポッロ(イタリア)
L:カターニャ(イタリア)

ピアチェンツァ

OH:レチネ(イタリア)、ルカレッリ(ブラジル)
MB:シモン(キューバ)、カネスキ(イタリア)
OP:ロマノ(イタリア)
S:ブリザール(フランス)
L:スカンフェーラ(イタリア)

※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ

ミラノはフルメンバー。これ以前の試合では腰痛のため先発出場を控えていたOH石川もこの試合から先発復帰した。一方ピアチェンツァはポイントゲッターのひとりであるOHレアル(ブラジル)をケガで欠いていた。その代わりに183cmとかなり小柄だが跳躍力とパンチ力を備えたイタリア代表OHレチネがスタメンで起用されていた。

第1セット

スタメンとローテーション(ポジション1から)

ミラノ:OH石川、MBロセル、OPレゲルス、OHカジースキ、MBピアノ、Sポッロ

ピアチェンツァ:MBカネスキ、OPロマノ、OHレチネ、MBシモン、Sブリザール、OHルカレッリ

解説

序盤はピアチェンツァ優勢で試合が進む。

ピアチェンツァはOHのブロック位置をかなり真ん中寄り(相手セッターの位置くらい)に配置し、ミラノのOHとMBからの攻撃をかなり警戒していた。そのためミラノのSポッロは相手のブロックが手薄なOPレゲルスにボールを集めたが、OPレゲルスが得点をすることができないどころか逆に多くのアタック失点をしてしまう(7-10までに4本打って0得点3失点)。

ミラノはピアチェンツァのOHレチネをサーブターゲットとしていたが、彼がうまくサーブレシーブを返せていたので、6点目のポッロのノータッチエースを除いてブレイクのきっかけも掴めなかった。加えてミラノが序盤で取った7点のうち5点はピアチェンツァのミスだった。自力での得点が少なかったことも序盤でなかなか波に乗れない要因だったのではないかと思われる。

しかし7-10の場面から一気に流れが変わる。

そのきっかけを作ったのがミラノのOH石川のサーブ。以前サーブについてインタビューしたときに思い切り行くときはあまりサーブターゲットを気にしないと語っていた石川だが、おそらくそうやって打ったサーブがOHルカレリを崩してOPロマノを3枚ブロックでシャットアウト。

2本目もOHルカレリを大きく崩してOPロマノが3枚ブロックの前にスパイクをアウトにする。ミラノはピアチェンツァとは対照的に相手のOPに対してOHがブロックにしっかりついてプレッシャーをかけ続けており、その効果がようやく現れ始める。そして3本目はエンドラインギリギリのノータッチエース。4本目はOHレチネを崩してラリーに持ち込み、再びOPロマノを3枚でシャットアウト。ここでOPロマノをコートから追い出すことに成功。

5本目はここまでゾーン5(バックレフト)に打っていたことで守備位置を真ん中に寄っていたLスカンフェーラの逆をつくゾーン1(バックライト)のサイドラインギリギリにサーブを放ちサービスエース。こうして12-10と5連続ブレイクでミラノが逆転。6本目は残念ながらミスになってしまったが、再びゾーン5方向にボールが行っていたので、最後までOH石川が揺さぶりをかけようとしていたことがわかる。

この後ミラノはOH石川のサーブレシーブからOHカジースキが打って決めて14-12とした。

このときOHカジースキが足を動かさなくても腕を伸ばせばレシーブできる位置に相手のサーブが来たのだが、隣にいた後衛のOH石川がわざわざ倒れ込む形で返球した。そこまでしてOH石川が取る必要があったのかとも取れるが、これにより前衛のOHカジースキがいい状態で助走をすることができ、結果得点につながった。

そしてMBシモンのクイックをOH石川が上げ、OHカジースキがアンダーで繋いだボールをMBピアノが打った得点(15-12)や、ラリー中の切り返しからのOH石川のBクイック(18-13)などビッグプレーでブレイクを重ね点差を広げる。後者についてはとっさの判断でBクイックに入ったOH石川とそこに上げたSポッロのセンスと信頼関係が垣間見える痺れるプレーだった。

終盤でもSポッロのサーブからミラノが連続ブレイクで3連続ブレイクを取って24-15とする。

1本目のサーブは前衛のOHレチネの前に落とすショートサーブで、CパスにするとともにOHレチネの助走距離を短くすることにも成功しラリーをミラノ有利に進めた。OHレチネのような小さい選手は高くジャンプをするために助走距離を確保する必要があるため、こうしたサーブは特に有効である。

そして最後はOH石川がライトからのスパイクでサイドアウトを決めて25-16でこのセットをミラノが取る。

第1セットはサーブで攻め、かつ相手OPをブロックを中心に封じ込めたミラノに軍配が上がった。

第2セット

スタメンとローテーション(ポジション1から)

ミラノ:MBピアノ、Sポッロ、OH石川、MBロセル、OPレゲルス、OHカジースキ

ピアチェンツァ:OHルカレッリ、MBシモン、OPロマノ、OHレチネ、MBカネスキ、Sブリザール

解説

序盤はミラノのサーブ&ブロックが見事にハマり9-3とミラノが一気にリードする。

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