イタリア男子バレーボールリーグセリエA後半第10節、髙橋藍所属のパドヴァ(10位)は現地時間3月5日(日)にホームでトレント(3位)と対戦し、1-3(27-25, 22-25, 21-25, 27-29)で敗れました。
髙橋はスタメンで出場し、チーム2位の17得点の活躍でした。
この日のパドヴァ会場には、相手がイタリア代表選手を多く擁する人気のトレントだったこともあり、満席となる4000人のファンが詰めかけて会場を盛り上げました。
また同日に行われた他試合の結果、パドヴァがレギュラーシーズン最下位となる可能性が消滅したため、パドヴァのリーグ残留が決まりました。
第1セットスタメン
パドヴァ
OH:ガルディーニ(イタリア)、髙橋(日本)
MB:カネッラ(イタリア)、クロサート(イタリア)
OP:ペトコヴィッチ(セルビア)
S:サイッタ(イタリア)
L:ツェンガー(ドイツ)
トレント
OH:ミケレット(イタリア)、ラヴィア(イタリア)
MB:ポドラスチャニン(セルビア)、リシナツ(セルビア)
OP:カジースキ(ブルガリア)
S:スベルトリ(イタリア)
L:ラウレンツァーノ(イタリア)
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
この試合のスタッツはこちら
試合レポート
第1セット、出だしからSサイッタがOHミケレットを連続ブロック、さらにMBクロサートのサービスエースも決まって3-0とパドヴァがリードします。
しかしその後MBポドラスチャニンのエースやOHミケレットのスパイクでトレントが9-9と追いつくと、そこからは点差が開かない競った展開が続きます。
パドヴァはOPペトコヴィッチとOH髙橋、トレントはOPカジースキやMBポドラスチャニンのスパイクで得点を重ねていきます。
終盤にOHガルディーニがサービスエースを決めて20-17とパドヴァが3点のリードを奪うと、リードを保ったまま24-22とパドヴァが先にセットポイントを迎えます。
しかしOHミケレットに続けてスパイク得点を許して24-24と試合はデュースに突入。
ただ最後はトレントに続けてスパイクミスが出て27-25でパドヴァがこのセットを取ります。
第2セット、今度は序盤からトレントがOHミケレットのブロック、OHラヴィアのスパイク、OPカジースキのサービスエースなどでブレイクに成功して7-11とリードを広げます。
その後パドヴァもOPペトコヴィッチのスパイク、OHガルディーニのサービスエースなどで18-19と1点差まで迫りますが、そこからOPカジースキの連続スパイクとMBポドラスチャニンのブロックでトレントが再び18-22とリードを広げます。
トレントのセットポイントからOH髙橋もサービスエースを決めて一矢報いますが、最後はOPカジ―スキがしっかりとスパイクを決めきって22-25でこのセットをトレントが取ります。
第3セット、パドヴァは第2セット途中出場していたMBヴォルパト(イタリア)をスタートから起用。
序盤はMBクロサートとMBヴォルパドの両ミドルのブロックポイントでブレイクしたパドヴァが7-5とリードします。
直後にトレントのLラウレンツァーノが手首を負傷してLドメニコ(イタリア)と交代しますが、そこからトレントがMBリシナツのブロックなどで7-8と逆転に成功。
その後また点差の開かない競った展開が続きますが、ラリーからのOPカジースキのスパイクで18-21とトレントが3点リードすると、さらにOHミケレットが連続で鋭いパイプ攻撃を決めて20-24と先にセットポイントを握ります。
最後は再びOPカジースキがきっちりとスパイクで締めて21-25でこのセットもトレントが取ります。
第4セット、パドヴァはMBカネッラを再度スタメンに戻します。
序盤からOPペトコヴィッチのスパイクなどでブレイクを重ねたパドヴァが9-6とリードしますが、その直後にOPカジースキに3連続でスパイクを決められ9-9とトレントが同点に追いつきます。
その勢いのままOHミケレットのエースやOHラヴィアのアタックなどで13-16とトレントがリードします。
そのまま20-22とトレントリードで終盤に入りますが、そこからOH髙橋がスパイク、そしてOPカジースキを止めるブロックで連続得点を上げて22-22とパドヴァが同点に追いつくと、さらにMBクロサートのブロックとOPペトコヴィッチのサービスエースも決まって24-22と一気にセットポイントまで進みます。
しかしOPカジ―スキのスパイクで24-24と同点に追いつかれてデュースに入ると、最後はSスベルトリのブロックとOHミケレットのスパイクで連続得点を決めたトレントが27-29でこのセットも取り切って、1-3でパドヴァに勝利しました。
MVP:OPマテイ・カジースキ(25得点(うちサーブ1、ブロック1)、アタック決定率61%)
髙橋藍はチーム2位の17得点(うちサーブ1、ブロック1)、アタック決定率56%、サーブレシーブ成功率39%の活躍でした。
この結果パドヴァは7勝14敗18ポイントで10位と変わらず、また同日に行われた試合で12位のシエナが0-3で敗れて来週の最終戦の結果に関わらずパドヴァを上回る可能性が消滅したため、パドヴァのリーグ残留が決まりました。
次週のレギュラーシーズン最終戦は現地時間3月12日(日)18:00(日本時間翌2:00)からアウェイで6位のピアチェンツァと対戦します。
試合レポート
前半戦の同対戦カードはパドヴァがトレントにボコされて惨敗していましたが、あの試合はなぜか髙橋を早々に引っ込めてその後味方のレセプションが崩れてもコートに戻さないというナゾ采配があっての結果だったので、今回の対決はどうなるか楽しみでした。
そしたら出だしからいきなりサイッタがミケレットを連続ブロック(身長差約20cm)するし、クロサートがサービスエース取るわでいけいけ。
さらにこの日はオポジットのペトコヴィッチが頼もしくって難しいボールを何度も決めてくれてましたし、髙橋も決定力が相変わらず高い。
特にこの日のペトコヴィッチは4セット目終盤のサービスエースといい本当にすばらしいパフォーマンスだったと思います。
この両輪が機能するとパドヴァは強いですね。
逆にトレントは、特にミケレットが試合序盤に粗さが目立ってここぞの場面でのスパイクミスが目立ちました。
1セット目もセットポイントも彼のスパイクミスでしたし。
そんな中でも最初から最後まで好調を維持していたのが皇帝カジースキ(38歳)。
このコート上最年長選手が止まりませんでした。
いやもう本当に見ていてただただバゲモンだなと思いました(最大限の賛辞)。
どんな難しいボールでも次々と得点に変えていく。
この選手だけやっぱりフルパワーのときのボールの音が違いました。
このベテランの安定した活躍のおかげで21歳のミケレットも徐々に調子を取り戻すことができたと思います。
そういえば先週のコッパイタリア決勝戦でも、前日にフルセットの準決勝を戦ったあとで他の一回り以上年の離れた若手選手たちの動きが鈍いなか、ひとりキレのあるプレーで得点を量産していたのもこのカジ―スキでしたね。
もう年で、そろそろ引退なんて話も出てきていますけども、こんなプレーを見せられると少なくともあと3シーズンくらいはいけるんじゃないかと思っていしまします。
そのカジースキを第4セットブロックで仕留めたのは日本の21歳髙橋藍。
3枚ブロックに跳んで超クロス方向に放ったボールを見事にブロックしました。
第4セットの24-23とパドヴァがセットポイントを掴んでフルセットに行きかけた場面でも同様のシチュエーションが訪れました。
しかしそのときはカジースキのブロックアウトを警戒してか、髙橋は駆け引きをして一度伸ばしたブロックの手を直前で引っ込めます。
するとすかさずその引っ込めた手の上からカジースキのスパイクが決まり24-24となって、そのまま試合はトレントの勝利に。
あの場面は間違いなくこの試合の運命分けた瞬間だったと思いますし、同時に両者の経験の差、カジースキという選手のすごみをゾクゾクっと感じた瞬間でもありました。
髙橋本人もこの場面のことは試合後非常に悔しがってました。
ただきっとカジースキもそうした悔しさを何度も何度も乗り超えて今のような名プレイヤーになっていったと思うので、髙橋もまだまだこうした壁を乗り越えてどんどん成長していってほしいなと思います。
でもとりあえずリーグ残留が決まって一安心ですね。
おめでとうパドヴァ!!
ということで来週はノープレッシャーで、全力でコッパイタリアチャンピオンのピアチェンツァにぶつかっていってほしいと思います!!!
写真:Lega Pallovolo Serie A