試合レポート

龍神NIPPON、パリ五輪予選初戦はフィンランドに3-2で辛勝

パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023男子大会初日、日本代表はフィンランドと対戦し3-2(25-17, 25-15, 25-27, 19-25, 15-12)で勝利しました。

第1セットスタメン

日本

OH:髙橋藍、石川
MB:小野寺、山内
OP:西田
S:関田
L:山本

フィンランド

OH:ハンニネン、マルッティラ
MB:ハーパニエミ、ジバンコフ
OP:ニクラ
S:テルバポルッティ
L:ブレイリン

※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ

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試合レポート

第1セット、出だしはOH石川とMB山内にサービスエースが出るなどして6-4と日本がリードします。フィンランドもMBハーパニエミのクイックやサービスエースで12-11と点差を詰めますが、その後OH石川が2本連続のサービスエースを決めるなどして17-12と点差を離します。さらにOP西田のブロックとサービスエースも決まって21-14とすると、最後は途中出場OP宮浦がスパイクを決めて25-17でこのセットを日本が取ります。

第2セット、序盤からOH髙橋藍が「背面ショット」などで得点を重ねて5-2と日本がリードします。そこからOP西田のスパイク、OH石川のクイックも出て15-8と日本が点差を広げます。更にMB山内のサーブからOH髙橋藍がダイレクトスパイクを連続で決めたり、OP西田の2連続サービスエースなどで21-10と日本の勢いが止まりません。終盤MBジバンコフのサービスエースなどでフィンランドに2連続ブレイクを奪われますが、最後はそのサーブがミスになり25-15の大差で日本がこのセットも取ります。

第3セット、日本はスタートからMB小野寺に代えてMB髙橋健太郎を起用します。序盤はOP西田のサービスエースやMB髙橋健太郎のブロックで6-4と日本がリードします。しかし途中出場OHスイヒコネンの2連続サービスエースなどで7-9とフィンランドが逆転に成功。更に中盤MBハーパニエミのブロックなどで14-17と点差を広げられます。日本はOH髙橋藍のスパイクで17-17と同点に追いつきますが、そのまま1点を追う展開になりデュースに突入。24-24の場面でOH髙橋藍がサービスエースを決めてマッチポイントを握りますが、最後にOP西田とOH石川に続けてスパイクミスが出てしまい、25-27でこのセットをフィンランドが取ります。

第4セット、日本はスタートからMB小野寺をコートに戻します。序盤は日本はOP西田、フィンランドはOPニクラを中心に点数を重ねて8-8と競った展開となります。しかしOHスイヒコネンのブロックや日本のミスなどで10-14とフィンランドが抜け出します。その後もOHマルッティラのスパイクやサービスエースで15-20とフィンランドがリードを保ったままセット終盤へ。日本もOH髙橋藍のスパイクやブロックで18-21としますが、MBハーパニエミのブロックとスパイクで18-24とフィンランドがセットポイントを握ると、最後はリリーフサーバーOH甲斐のサーブがミスになり19-25でこのセットもフィンランドが取ります。

第5セット、出だしにMB小野寺のサービスエースで3-1と日本がリード。さらに長いラリーからのOH石川のスパイクやOH髙橋藍のサービスエースで10-6と点差を広げます。そこからフィンランドがOHスイヒコネンのブロックやSテルバポルッティのサービスエースなど怒涛の6連続得点で10-12と逆転に成功。しかしOH髙橋藍のパイプ攻撃で11-12とまず嫌な流れを断ち切ると、MB小野寺の好サーブからMB山内のブロックやOP西田のスパイクで連続得点を上げて14-12と日本がマッチポイントを握ります。そのまま最後もOH髙橋藍のキレのあるパイプ攻撃が決まって15-12でこのセットを取った日本が3-2でフィンランドに勝利しました。

個人的MVP

日本:OH髙橋藍

23得点(うちサーブ2、ブロック2)、アタック効果率44.12%、サーブレシーブ成功率29.17%

試合中盤以降OH石川とOP西田が苦しむ中、最後まで攻守に渡り高いパフォーマンスを見せてチームを支えました。失点ゼロの鉄壁のサーブレシーブと超反応のスパイクレシーブ(チーム1のディグ本数)、緩急をつけたジャンプサーブ、高さとキレのあるスパイクと大車輪の活躍。やはりイタリアでフルシーズン戦って大きく成長した彼の存在はチームにとって大きな安心材料ですね。セッター関田も特に彼のパイプ攻撃には絶対の信頼を持ってトスを上げているように感じました。また2セット目序盤のフランス代表のエンガペがよくやるネットに背中をむけて打つ背面ショットやフェイクセットなど魅せるプレーでも満員の代々木体育館を沸かせました。

フィンランド:OHニコ・スイヒコネン

16得点(うちサーブ2、ブロック5)、アタック効果率21.74%、サーブレシーブ効果率34.62%

途中からコートに入りフィンランドに勢いをもたらしたアウトサイドヒッター。その風貌と活躍ぶりからベテランっぽい雰囲気を漂わせていますが、実はまだ24歳と若い選手(学年で言うと西田世代)。来シーズンからフランスの強豪ショーモンでプレー予定。

感想など

初戦でここまでハラハラする試合になるとは思っていませんでした…。

1、2セット目は日本のサーブが面白いように決まり(2セットで9本)、またフィンランドのサイドアタッカーの決定率が上がって来なかったのでとても楽に試合が進んでいました。

特に石川と西田のサーブがバンバン決まっていましたし、西田はネーションズリーグ時の不調をまったく感じさせないくらい高いジャンプとパンチ力抜群のスパイクを見せてくれてました。また髙橋藍も上述したように背面ショットやフェイクセットなどスーパープレーで観客を魅了してして、「この試合は今の日本の強さを日本のファンの前で見せるためのエキシビションマッチかな?!?」と思わせるようなほぼ完ぺきな内容だったと思います。

その勢いのまま3セット目も簡単に取ってすぐに試合終了かと思っていましたが、やっぱりオリンピック予選。そんなに甘くはなかったですね。フィンランドは途中から入ったOHスイヒコネンとLコイッカのプレーがよく、それに呼応するような形で他の選手たちも調子を上げてきていた印象。逆に日本は試合中盤以降ミスが増えました。

西田の交代で入ったスーパーサブ宮浦もあまりいい活躍ができず、さらに僕らのキャプテン石川が不調のために前衛で交代させられるという(たぶん)今季初めての珍しい状況に追い込まれましたが代わって入った大塚のすばらしいブロック、小野寺のサーブ、そして我らがラン・タカハシのスパイクでなんとか勝利。

正直第5セット序盤までは「まあ2セット取られたとは言え、今シーズンはフルセット負けなしだし、普通に勝でしょ」と余裕こいて試合を視聴していましたが、フィンランドの6連続得点で10-12となった際には気が気じゃありませんでした…(笑)。いやあ、なんとか勝つことができて本当に、本当によかったです!!!!

そして改めて感じたのがミドルブロッカーのサーブの重要性。サーブが弱いとされる髙橋健太郎が入ってから3セット目を取られちゃいましたし、逆に第5セットで勝負を決めたのは小野寺のサーブからでした。健太郎はサーブ以外は素晴らしいけど、サーブ力のなさが今の日本代表には致命的なウィックポイントとなっているように感じます。今年ネーションズリーグとヨーロッパ選手権で2冠を達成したポーランドなんかむしろミドルブロッカーがいちばんサーブ強かったりしますからね。

でもそんな世界ランキング1位のポーランドも五輪予選初戦は格下のベルギー(世界ランキング21位)相手にフルセットで辛勝。やっぱりオリンピック予選には魔物が潜んでいるようです。

しかしここからはさらに気を引き締めて試合に臨んでくれると思うので、今日のエジプト戦と明後日のチュニジア戦に関しては危なげなく勝利してくれることを願います。

もうこれからの試合後インタビューでは悔しさで険しい表情ではなく笑顔の石川キャプテンを見たいですから。

順位表(1日目終了時点)

1.アメリカ 1勝0敗 3ポイント
2.スロベニア 1勝0敗 3ポイント

3.トルコ 1勝0敗 3ポイント
4.日本 1勝0敗 2ポイント
5.フィンランド 0勝1敗 1ポイント
6.セルビア 0勝1敗 0ポイント
7.チュニジア 0勝1敗 0ポイント
8.エジプト 0勝1敗 0ポイント

※上位2チームがパリ五輪出場権獲得

今後の試合予定

10月1日(日) vsエジプト

10月3日(火) vsチュニジア
10月4日(水) vsトルコ

10月6日(金) vsセルビア
10月7日(土) vsスロベニア
10月8日(日) vsアメリカ

※試合開始はいずれも19時25分から

Photo: FIVB

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