ポーランド男子バレーボールリーグ(プルスリーガ)第29節、宮浦健人所属のニサ(8位)は現地時間3月26日(日)にアウェイでワルシャワ(5位)と対戦し、2-3(17-25, 25-16, 25-18, 17-25, 8-15)で敗れました。
宮浦健人は1セット目を除き全セットに主にリリーフサーバーとして出場し、サービスエースで1得点の活躍でした。
第1セットスタメン
ニサ
OH:ゲルジョット(ポーランド)、クファソフスキ(ポーランド)
MB:ヤンコフスキ(ポーランド)、ゼルバ(アルゼンチン)
OP:ベンタラ(チュニジア)
S:シュチュレク(ポーランド)
L:デムビエツ(ポーランド)
ワルシャワ
OH:ティリ(フランス)、シャルプク(ポーランド)
MB:ヴロナ(ポーランド)、ノヴァコフスキ(ポーランド)
OP:ヴェーバー(ドイツ)
S:フィルレイ(ポーランド)
L:ヴォイタシェク(ポーランド)
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
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試合レポート
第1セット、序盤にSフィルレイのサーブからOPヴェーバーのスパイクやMBノヴァコフスキのブロックでワルシャワが3連続ブレイクに成功して6-9とリードします。
ニサもMBゼルバのブロックやOPベンタラのスパイクで得点するも、途中出場のOHグロベルニー(ベルギー)のスパイクやMBコヴァルスキ(ポーランド)のサーブなどで12-17と点差を広げられます。
さらに終盤にもOHグロベルニーの連続エースやMBノヴァコフスキのエースでワルシャワが15-23と点差を拡大し、最後はOHシャルプクがスパイクを決めて17-25でこのセットをワルシャワが取ります。
第2セット、序盤からニサはOHゲルジョットのスパイク、ワルシャワはSフィルレイのブロックなどでお互いにブレイクを取るも6-6と競ったスタートとなります。
しかしOPベンタラの強烈なサーブからOHゲルジョットとOPベンタラがカウンターで次々と得点を決めて6連続ブレイクとし、12-6とニサが一気に抜け出します。
その後もOHクファソフスキの連続ブロックやMBヤンコフスキのサービスエースなどで19-9とその差を一時10点まで広げます。
そこからワルシャワがMBコヴァルスキのブロックやOHシャルプクのサービスエースなどで22-14としますが、最後はワルシャワにサーブミスが続いて25-16でこのセットはニサが取り返します。
第3セット、序盤から両チームともサイドの3人を中心にお互いにブレイクも挟みつつ得点を重ねて10-10と競ったまま試合が進みます。
しかしそこからOHクファソフスキのブロックとサービスエース、OPベンタラのスパイクで連続ブレイクを決めたニサが16-11と大きく抜け出します。
更にリリーフサーバーOP宮浦のサーブからサービスエース1本を含む3連続ブレイクで20-12とニサがワルシャワを大きく引き離します。
その後もニサはサイド陣が確実にサイドアウトを決めて、最後もOHクファソフスキのスパイクで25-18としたニサがこのセットも取ります。
第4セット、あとがないワルシャワはOPクラヴェク(オランダ)とMBセメニウク(ウクライナ)をスタートから起用します。
すると序盤からOPクラヴェクのサーブがニサのレシーバー陣を容赦なく襲い、本人のスパイクやサービスエースで怒涛の9連続ブレイクに成功し、2-11とワルシャワが一気に大量リードを奪います。
そこからMBセメニウクとMBノヴァコフスキの連続ブロックなどで5-15とワルシャワがさらに点差を広げます。
ニサもOHクファソフスキが連続でパイプ攻撃を決めて14-22と一矢報いますが、最後は絶好調のOPクラヴェクがスパイクを決めて17-25でこのセットをワルシャワが取ります。
第5セット、ニサはスタートからミドルのポジションに宮浦を投入し、出だしのサーブからブレイクを狙いますがOHシャルプクのスパイクに切られます。
その後MBセメニウクが続けてブロックポイントを上げて2-5とワルシャワがリードすると、OHクファソフスキにスパイクミスも出て4-8となりコートチェンジとなります。
ここから点差を縮めたいニサでしたが、OPクラヴェクのサービスエースなどで7-13と逆に点差を広げられてしまいます。
そして最後はOPベンタラのスパイクがMBセメニウクに止められ、8-15でこのセットをワルシャワが奪取。
この結果、ニサは2-3のフルセットでワルシャワに敗れました。
第30節の試合を先に消化していたニサはこの試合でレギュラーシーズンすべての試合が終わり、3月28日現在は14勝16敗44ポイントで暫定8位。
またポイントの関係でレギュラーシーズン最終順位でも8位になることが確定したため、同時にニサのプレーオフ進出も決まりました。
ニサは2002/03シーズン以来19年ぶりのプレーオフ進出となります。
プレーオフではレギュラーシーズン1位のチームとの対戦となりますが、対戦相手は未定です。
試合の感想など
まさに「サーブゲー」と呼ぶにふさわしい、サーブが走った方が大差でセットを取るというある意味現代バレーを象徴するような試合展開となりました。
フルセットなのに各セット7点差以上の点差がついていたので、見ているほうからすると結果がわかりやすくて終盤のドキドキ感がない分やや物足りない感はありましたが、派手で見ごたえのある試合ではありましたね。
正直1セット目を17-25で取られた時点で「今日もずっとサーブレシーブぼろぼろでニサはスト負けか~」とも思っていたので、あそこからメンタル面も含めて立て直して2、3と取れたことを考えると、いい意味で予想を裏切ってくれたいい試合だったと思います。
特にこの試合は3セット目までゲルジョットがかなり頑張っていたのが印象的でした。
ニサの負けパターンはだいたいいつもゲルジョットが相手のサーブにボコボコにやられてサーブレシーブが崩壊して負けるパターンだったのですが、3セット目まではゲルジョットが直接失点はゼロではなかったもののしっかりと耐えることができていました。
最近の傾向だと1, 2セットは耐えられても3セット耐えることはできていなかったので、これはとてもよい傾向でした。
また攻撃面でもアタック決定率57%、3セット目までに限れば66%で失点1と抜群のパフォーマンスでしたし、サービスエースも1本決めることができていたので久々にゲルジョットの頼もしい姿を見た気がしました。
3セット目をニサが取って2-1で終えた時点では、ニサが勝って久々にMVPゲルジョットがチラつきましたが、4セット目以降はサーブレシーブでの直接失点が増え、アタックでもサーブでもなかなか効果を上げられずに交代させられてしまいました。
ワルシャワに負けたあとはチームの中で一番悔しい表情をして、目には涙が溜まっているようにもみえました。
そもそもリーグ前半で快進撃あげていたニサの立役者はゲルジョットでしたし、そのときは毎試合アタック決定率65%、サービスエース3本見たいな勢いだったので、当時のコンディションを維持できない自分自身への悔しさ、そしてチームへの申し訳なさという部分を大きく感じているのではないかと思います。
U22ポーランド代表ではキャプテンを務めていて人一倍責任感のある選手でもあるので、プレーオフではなんとか本来のポテンシャルを十分に発揮してその悔しい思いが報われてほしいなと思います。
また宮浦に関して、特に3セット目はリリーフサーバーで出てサービスエースも含めて3ブレイクを取れた場面のパフォーマンスは素晴らしかったと思います。
ただ4セット目に劣勢の中2枚替えで出たときに1度もセッターのズコウスキからトスを託してもらえなかったのは気になりました。
あとから聞いた話ではズコウスキは直前まで体調不良でほとんど練習ができていなかったようですが、それは他の選手も一緒だったと思うのでその中で1度も託してもらえなかったというのは、やはり不安に思われていたのかなと想像せざるを得ません。
また5セット目の1本目のサーブでもブレイクを取りたかったところでしたが上手くいきませんでした。
ただやはりああいう起用のされ方でサーブを打つのはやりにくい部分もあったでしょうし、前回同様の作戦をやったときにも上手く行っていませんでした。
プリンスキ監督、あの作戦はよくないと思いますよ(笑)。
この試合は4セット目以降、ワルシャワが一気に流れを奪い返してそのまま逆転勝利を収めましたが、そこでキーとなったのが選手起用法とベンチの層の厚さかなと思いました。
ワルシャワはこのセットからスタメン起用したオポジットのクラヴェクとミドルのセメニウクが見事にそれぞれ役割を果たし、クラヴェクは5本のサービスエース、セメニウクは7本のブロックを決めて逆転勝利に貢献しました。
特にセメニウクなんかは、ウクライナ代表ではスタメンだったもののワルシャワでは4人目のミドルブロッカーで、ここ最近ほとんど出番がなく、この試合でも3セット目まで1度もコートに立っていませんでした。
そんな中で4セット目からコートに送り込んだ監督、そしてその起用に答えたセメニウクは本当に凄いと思いました。
また3セット目までは病み上がりのため後衛でしか出ていなかったアウトサイドのティリをフルで出して、攻撃面ではいつもよりだいぶ控えめな打数だったものの、サーブレシーブを安定させてニサのブレイクを許しませんでした。
逆にニサは劣勢になった場面での選手交代がうまくいきませんでした。
そもそも全体的に選手交代が後手後手になってうまく機能しない傾向にあるニサに対し、ワルシャワは本当に選手層が厚いのはもちろんですが、選手交代がシーズンを通してうまく機能しているように感じます。
ワルシャワは今シーズン前半に監督が変わりましたが(正確にはアシスタントコーチから昇格)、監督が代わってから16勝1敗で現在も13連勝中。
イタリアのペルージャのように決してタレントがばっちり揃っているわけではないですが、その中でここまでの成績をあげることができることから選手・監督を含めたチーム力の高さが伺えます。
ワルシャワはプレーオフで昨年の欧州王者ザクサとの対戦が決定していますが、この王者を食うことも全然ありえるでしょう。
僕もいちワルシャワ市民として、このチームには期待しています。
個人的にティリとも仲良くなりましたし(笑)。
ちなみにワルシャワの13番のOHグロベルニーは、以前ルビンで柳田選手とチームメイトだったりもします。
さてとにかくニサ、プレーオフ出場おめでとう!!!
まだ対戦相手はわからないけど、どこのチームが来ようともサーブレシーブで耐えてサーブで殴れば勝てるから頑張れ!!!
特にゲルジョットの復調、そしてサービスエースを決めてそのゲルジョットに抱きかかえられる宮浦をまた見たいです!!!!(笑)
写真:PZPL