バレーボール世界選手権2022男子大会は8月31日に予選ラウンドが終了し、決勝トーナメントに進出する16チームが出そろいました。
日本は予選最終戦で強敵キューバを見事に3‐1で下し、プールB2位で決勝トーナメント進出を決めました。次の試合は現地時間9月5日(月)21:00から東京オリンピック金メダリストのフランスと対戦します。
今回は決勝トーナメント開始に先駆けて、予選ラウンドのベストプレーヤーを部門別に紹介していきたいと思います。
なお世界選手権の公式サイトに載っているランキングは算出方法がとても単純で、セット数を多くこなした選手ほど有利な仕様になっています。ですので今回はそこから数字をセットあたりにするなどなるべく公平な比較を行い独自にランキングを算出してみました。
ベストスコアラー:ニミル・アブデル・アジス(オランダ)
1セット当たりの得点:7.08点
オランダのスーパーオポジットが今年のネーションズリーグに続いてベストスコアラーを獲得。予選3試合12セット戦って、アタック68点、ブロック7点、サーブで10点と各項目でトップレベルのスコアをたたき出しました。この彼の大車輪の活躍は、オランダが下馬評を覆してプールF1位通過する大きな原動力となりました。
これでつい数年前まではセッターとして代表でもプレーしていたというから驚きです。こうしてオポジットとして才能を開花させることができて本当に良かったなと思います。
次点:アディス・ラグンジア(トルコ、6.11点)
ベストアタッカー:アグスティン・ロセル(アルゼンチン)
アタック効果率:67.35%
ベストアタッカーはアルゼンチンのミドルブロッカー、ロセル。こんなにかわいい顔して得点能力はえげつないです。3試合15セットで49本のアタックを放ち、その内34本を決めています。またその中で失点が僅かに1点というところでこれだけ高いアタック効果率となりました。
ロセルは身長197cmとミドルブロッカーにしては小柄な部類に入りますが、アタック、そしてブロックでも高い能力を持っています。ぜひ日本のミドルもお手本にしたい選手ですね。
ちなみにロセルは来シーズンからミラノでプレーするので石川とチームメイトになります。ミラノファンも注目ですよ!!
次点:ロベルトランディ・シモン(キューバ、64.10%)
ベストブロッカー:小野寺太志(日本)
1セット当たりのブロック決定本数:1本
予選だけのデータとはいえ、ブロックランキングで日本人選手が1位を取る日がくるとはなんとも感慨深いです。よくやってくれた小野寺。3試合10セットで10本のキルブロックを決めてくれました。特に最後のキューバ戦は4セットで6本のブロックを決め、高さのあるキューバアタッカーに対して脅威のブロックマシーンとして立ちはだかっていました。
ずっとミドルが弱いと言われ続けている日本ですが、今大会はブロックでは小野寺が、クイックでは山内が主に活躍してくれています。日本のミドルのレベルアップはチーム全体のレベルアップに大きく関わる要素ですから、これからの更なる進化に期待しています!!!
次点:オマール・アグレビ(チュニジア、1本(ただじブロック失点が多かったため次点としました))
ベストサーバー:オレク・プロトニツキー(ウクライナ)
1セット当たりのサービスエース数:1.2本
ベストサーバーはウクライナのサウスポーOHプロトニツキー。3試合10セットで12本のサービスエースを奪いました。特にプエルトリコ戦では6本のエースを決めて、ウクライナの10位でのトーナメント進出に大きく貢献しました(彼がこんなに活躍してなかったら日本が10位だったのに…笑)
近年ウクライナ代表は力を付けてきているチームですが、プロトニツキーの存在によるところは大きいです。2016年にU20欧州選手権でウクライナを銀メダルに導き、自身も大会MVPを獲得。その後2017年から今日に至るまで世界最高峰のイタリアリーグでプレーを続けています。所属チームのペルージャでは選手層の厚さから控えに甘んじてますが、本来はどこでもスタメンで活躍できる能力を持っています。
個人的にかなり推している選手です。サーブが強くてサウスポーなので西田がOHだったらこんな感じかなと思ったり、でも石川的リーダーシップも備えているなと思ったり、勝手に妄想してます笑。
次点:アレクサンダル・アタナシエヴィッチ(セルビア、0.89本)
ベストセッター:ルーカス・カンパ(ドイツ)
セット効果率:35.14%
ベストセッターはドイツのカンパ。185本のトスを上げ、成功86本、ミス0本で1位に。トスが何を持って「成功」と計算されているかはよくわかりませんが、今回は公式サイトの数字に従います。
でもカンパが素晴らしいセッターであることは疑いようはありません。今年で36歳ですが、まだまだ衰えを知らないセッター。ドイツ代表では近年ツィンマーマンがトスを上げる機会が多かったですが、カンパがいればやっぱり彼がメインですね。それほど信頼の厚いセッターだということでしょう。
大エースでグロゼルが去ったあとのドイツ代表はなかなかいい結果が出せず、今回もギリギリでの予選通過となりました。ドイツ代表にはカンパの他にもOPヴェーバーやOHライヒャート、そしてヴィニャルスキ監督など密かに応援している選手がいるので頑張ってほしいと思います。
次点:シモーネ・ジャネッリ(イタリア、28.65%)
ベストディガー:オレク・プロトニツキー(ウクライナ)
1セット当たりのディグ成功本数:2本
プロトニツキー2冠。この選手守備もいいんですよ。
次点:ファビオ・バラソ(イタリア、1.89本)
ベストレシーバー:エルヴィン・ヌガペト(フランス)
サーブレシーブ成功率:49.06%
ベストレシーバーはフランスのOHヌガペト。フェイクセットや背面アタックなど派手なプレーが目立ちますが、実は守備が抜群にいい選手。53本受けて26本成功、しかも失点なし。この失点なしというところが凄い。サーブレシーブはAパスを返すよりも直接失点をしないことの方がより重要なので、失点ゼロは本当に素晴らしい数字だと思います。ディフェンスのフランスを体現するかのような選手ですね。
日本はトーナメント1回戦でこのヌガペト擁するフランスと対戦することになっていますが、フランスの堅い守備をいかにかき乱すことができるかが勝利の大きなカギとなっていきます。日本がどのようなサーブ戦術を持ってフランスに挑むのか注目ですね。
次点:モリッツ・ライヒャート(ドイツ、47.27%)
ドリームチーム
各部門のベストプレーヤーのポジションがいい感じに別れたのでそのままドリームチームになりますね。リベロだけいなかったので、ベストディガー次点のバラソを加えるとこんな感じに
OH:プロトニツキー(ウクライナ)、ヌガペト(フランス)
MB:ロセル(アルゼンチン)、小野寺(日本)
OP:ニミル(オランダ)
S:カンパ(ドイツ)
L:バラソ(イタリア)
国もバラバラで結構バランスよいのでは?!笑。
アウトサイドヒッターはガペが2番でプロトニツキーが5番かな。でもプロトニツキーはサウスポーだから逆でもいいな~。
ミドルはアタックの強いロセルが3番で、小野寺が6番なのは間違いない。3番のミドルの決定力はS1ローテでのサイドアウトに重要ですからね。
いやでも本当にこのチーム見てみたいな。
決勝トーナメント日程
最後に明日からの決勝トーナメントの日程を確認しましょう。
※()は日本時間
9月3日(金)
17:30 (24:30) スロベニア-ドイツ
21:15 (翌4:15) イタリア-キューバ
9月4日(土)
17:30 (24:30) アメリカ-トルコ
21: 00(翌4:00) ポーランド-チュニジア
9月5日(月)
17:30 (24:30) オランダーウクライナ
21:00 (翌4:00) フランスー日本
9月6日(火)
17:30 (24:30) セルビア-アルゼンチン
21:00(翌4:00) ブラジル-イラン
日本戦は月曜の早朝4時とかなりきつい時間ではありますが、一緒に応援しましょう!試合当日はリアルタイムで僕のツイッターアカウント(https://twitter.com/toshikit71)でスペースをやる予定なのでよかったらぜひお聞きください!
頑張れ龍神NIPPON!!
写真:FIVB