コラム バレーボール

髙橋藍のイタリア所属チームを紹介!【モンツァ2023/24シーズン】

2023年11月9日

クラブについて

基本情報

クラブ名:ミント・ヴェロバレー・モンツァ(Mint Vero Volley Monza)

創設年:1999年

ホームタウン:モンツァ

所属リーグ:セリエAスーパーレガ(2000/01~2002/03, 2014/15~)

ホームアリーナ:モンツァ・アリーナ(4500人収容)

最高成績

リーグ戦:準優勝(2000/01)
コッパイタリア:ベスト8(2015/16~2021/22)
スーパーコッパ:準優勝(2021/22)
CEVカップ:優勝(2021/22)
CEVチャレンジカップ:準優勝(2018/19)

直近3シーズンの成績

2022/23
リーグ戦:5位

2021/22
リーグ戦:7位
コッパ・イタリア:ベスト8
スーパーコッパ:準優勝
CEVカップ:優勝

2020/21
リーグ戦:4位
コッパ・イタリア:ベスト8

クラブの特徴

ヴェロバレーはミラノ近郊の都市モンツァをホームタウンとするクラブチーム。スーパーレガでの位置づけは中堅クラブで、リーグ戦8位以上が出場できるコッパイタリアやリーグ戦プレーオフにはほぼ毎回出場するが、ベスト4に入るのは難しい状況が続いている。しかし21/22シーズンのスーパーコッパ準優勝やCEVカップ優勝、22/23シーズンの5位決定戦での勝利など短期決戦では近年結果を出している。

現在日本のウルフドッグス名古屋でプレーするポーランド代表のクレクも2019/20シーズンにここでプレーした。

予算の関係もあってかいわゆるスター選手を複数人抱えることは少ない。しかし若手の発掘に意欲的で、アンダーカテゴリーの大会で結果を残した、シニア代表チームがそれほど強豪じゃない国の有望な若手選手を毎年のようにチームに迎えている。現在強豪ペルージャでプレーするプロトニツキ(ウクライナ)もモンツァに見いだされたひとり。今シーズンも例にもれずU19世界選手権で個人賞を取った18歳の韓国人リーを獲得した。

またヴェロバレーは女子チーム(ヴェロバレー・ミラノ)も抱えているが、こちらは男子とは異なり豊富な予算で女子セリエAでも屈指の強豪チームとなっている。それゆえ人気度・集客力も男子チームより女子チームの方が強い。

クラブ公式ホームページ

2023/24シーズンメンバー

監督

マッシモ・エッケリ

国籍:イタリア
生年月日:1966/01/29
4季目(2020/21~)

選手一覧

#1 ペタル・ヴィシッチ S/198/1998
#4 エリック・レプキー★ OH/197/1998
#6 フランチェスコ・コンパローニ MB/203/1996
#7 スティーブン・マー OH/199/1994
10 フラヴィオ・モラッジーニ★ L/184/2005
11 ジャンルカ・ガラッシ MB/201/1997
12 髙橋藍★ OH/188/2001
13 トマス・ベレッタ(C) MB/205/1990
14 フェルナンド・クレリング S/185/1996
18 ガブリエレ・ディマルティーノ MB/199/1997
20 マルコ・ガッギーニ★ L/184/2002
31 アーサー・シュワーツ OP/207/1995
- リー・ウージン★ OH/196/2005

★・・・新加入

#1 ペタル・ヴィシッチ

Petar Višić
国籍:クロアチア
生年月日:1998/02/11
身長:198cm
2季目

クロアチア代表のセッター。ここまでは主にリリーフサーバーでコートに入っている。限られた出場機会の中でどこまでアピールできるかが勝負。妹のマヤもバレーボール選手。

#4 エリック・レプキー

Eric Loeppky
アウトサイドヒッター
国籍:カナダ
生年月日:1998/08/01
身長:197cm
新加入(←ターラント(イタリア))

カナダ代表ではスタメンで活躍してパリ五輪出場権獲得に大きく貢献。昨シーズンのターラントでもチームの中心として活躍したがモンツァでは主に控えに回る。アウトサイドヒッターとして攻守にバランスが取れているだけでなく、オポジットもこなせるスーパーサブとしてチームを支える。髙橋藍とは2シーズン前にパドヴァでもチームメイトで仲がよい。

#6 フランチェスコ・コンパローニ

Francesco Comparoni
ミドルブロッカー
国籍:イタリア
生年月日:2001/06/22
身長:204cm
レンタル移籍戻り(←ラヴェンナ(イタリア))

2シーズンのレンタル移籍から戻ってきた次世代ミドルブロッカー。昨シーズンは1つ下部のA2リーグでベストミドルブロッカー賞を受賞した。また2022年のU22ヨーロッパ選手権でも同様にベストミドルブロッカーに輝いている。ただしモンツァでは4番手のミドルとなるため出場機会は限られるだろう。

#7 スティーブン・マー

Stephen Maar
アウトサイドヒッター
国籍:カナダ
生年月日:1994/12/06
身長:199cm
2季目

パワーあふれる豪快なプレーでチームを引っ張る切り込み隊長。屈強な肉体から放たれるスパイクやサーブは音から凄まじい。スピードとキレタイプの髙橋との対角の相性も良さげ。20/21シーズンはミラノで石川ともチームメイトだった。ちなみにプロ8シーズン目にして初めて2シーズン続けて在籍するのがこのモンツァ。

10 フラヴィオ・モラッジーニ

Flavio Morazzini
リベロ
国籍:イタリア
生年月日:2005/05/10
身長:184cm
新加入(←ローマ(セリアB))

2022年U18およびU20ヨーロッパ選手権優勝メンバーの次世代リベロ。若干18歳で後述のリと共にチーム最年少。パーマな感じがザ・イタリアの少年っぽい。

11 ジャンルカ・ガラッシ 

Gianluca Galassi
ミドルブロッカー
国籍:イタリア
生年月日:1997/07/24
身長:201cm
5季目

チーム唯一の現役イタリアA代表選手。201cmとミドルブロッカーとしては大きい方ではないが機動力抜群で、スパイク、ブロック、サーブとどのプレーでも高い能力を発揮する。その風貌からベテラン臭すら感じさせる。チームの顔。

12 髙橋藍

Ran Takahashi
アウトサイドヒッター
国籍:日本
生年月日:2001/09/02
身長:188cm
新加入(←パドヴァ(イタリア))

ご存知日本のラン・タカハシ。昨シーズン本格的にイタリアリーグに初参加し、その能力の高さとプレーの安定感でイタリアバレー界に衝撃を与えた。特にそのレシーブ力はリベロを含めてもイタリアリーグトップクラス。またアタックとサーブは多彩で対応が難しい。今シーズンもすでにフロアに安心感をもたらすチームに欠かせない存在となっている。今季から代表と同様に背番号12のシャツネーム「RAN」に代わった。今年の代表シーズンの合間に自動車免許を取得したようなので、今季はミラノの石川にも気軽に会いに行けるだろう。

13 トマス・ベレッタ(C)

Thomas Beretta
ミドルブロッカー
国籍:イタリア
生年月日:1990/04/18
身長:205cm
9季目

同クラブ連続9シーズン目、累計11シーズン目を迎えるモンツァのキャプテン。元イタリア代表でブロックに定評のあるミドルらしいミドル。近年は控えに回ることが多いが、ベテランの彼がベンチにいることによる安心感は大きい。

14 フェルナンド・クレリング 

Fernando Kreling
セッター
国籍:ブラジル
生年月日:1996/01/13
身長:185cm
2季目

「カショパ」の愛称で知られるブラジル人セッター。的を絞らせないテンポの良いセッティングが魅力。ブラジル代表ではブルーノの陰に隠れてあまり出場機会を得られていないが、以前の所属していたサダ・クルゼイロ(ブラジル)ではスタメンセッターとしてチームを世界クラブ選手権優勝に導いている。昨シーズンは開幕前のケガにより長期間の戦線離脱を余儀なくされた。今シーズンはその悔しさの分まで戦う。

18 ガブリエレ・ディマルティーノ

Gabriele Di Martino
ミドルブロッカー
国籍:イタリア
生年月日:1997/07/20
身長:199cm
2季目

安定感のある中堅ミドル。対角のガラッシほど目立たないことが多いが、献身的なプレーでチームを支える。ガラッシと同い年だが彼もベテランの風格がある。フローターサーブのブレイク率が高い。

20 マルコ・ガッギーニ

Marco Gaggini
マルコ・ガッギーニ
国籍:イタリア
生年月日:2002/04/07
身長:184cm
レンタル移籍戻り(←ヴェローナ(イタリア))

モンツァのスタメンリベロ。21歳ながら安定感のある守備でチームを支える。昨シーズンのヴェローナでは両OHのサーブレシーブが安定しない中のプレーとなったが、今シーズンは髙橋がいることで負担が減りよりクオリティの高いプレーを見せてくれている。

31 アーサー・シュワーツ 

Arthur Szwarc
オポジット
国籍:カナダ
生年月日:1995/03/30
身長:207cm
2季目

カナダ代表オポジット。東京五輪まではヘアバンドをつけてミドルブロッカーとしてプレーしていたが、その本格的にオポジットに転向し、昨シーズンにオポジットとしての才能を開花させた。高さのあるスパイクに加えて、ミドルでの経験を生かしたブロックと強烈なサーブも武器。そして何を隠そう、イケメンである。

- リー・ウージン

Woo-Jin Lee (이우진)
アウトサイドヒッター
国籍:韓国
生年月日:2005/05/16
身長:196cm
新加入(←慶北大学校師範大学附属高校(韓国))

2023年U19世界選手権で韓国代表を銅メダルに導き、自信もベストアウトサイドヒッター賞を受賞した韓国の次世代エース。特にU19世界選手権のイタリア戦ではチーム最多18得点の活躍でジャイアントキリングに大きく貢献。モンツァでの出場機会は限られてくると思うが、ここから急成長する可能性を秘めている。

主なスタメン

OH:マー、髙橋
MB:ガラッシ、ディマルティーノ
OP:シュワーツ
S:フェルナンド

L:ガッギーニ

平均身長(リベロ除く):196.5cm

今季のモンツァは200cm以上の選手がスタメンの6名中2名しかおらず180cm台の選手が2名いるので、高さという点では他チームに劣るが、バランスと安定感のあるいいチームに仕上がっていると思う。

アウトサイドヒッターの2人、マーは爆発力のある攻撃型(でも守備も悪くない)、髙橋は安定感のある守備型(でも攻撃力も十分)でとてもバランスがよい。

ミドルブロッカーは2人とも2メートル前後の中型だが、動きが早くどのプレーもそつなくこなす。またガラッシのジャンプサーブ、ディマルティーノのジャンプフローターどちらでもブレイクが期待できる。

オポジットのシュワーツは高さとパワーがあることはもちろん、失点が少なくディグもよく上げる。

セッターのフェルナンドはそうした強力なアタッカー陣をバランスよく使えて相手に的を絞らせない。

リベロのガッギーニも失点が少なくよく動ける。

総じて怪物級の選手はいないものの、能力のバランスがとれた選手が多くパフォーマンスが安定している。事実、ここまでペルージャを除いて全勝を続けており、そのペルージャに対しても試合内容は決してそれほど悪いものではなかった。

ここから更にチームワークに磨きがかかれば、リーグやコッパイタリアでベスト4以上の成績も十分狙えるだろう。

Photo: legavolley.it、筆者撮影

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