コラム

海外バレー選手紹介その2 スレチコ・リシナツ

2020年6月16日

Lisinac 

ロシアのムセルスキーやキューバのシモンといった「怪物級」のミドル陣と、今や肩を並べつつあるセルビアの「王子」、スレチコ・リシナツ選手を紹介する。

 

プロフィール

lisinac

スレチコ・リシナツ(Srećko Lisinac)

1992年5月17日生(27歳)
セルビア、クラリェヴォ出身
身長:205㎝
体重:90㎏
最高到達点:355㎝
ポジション:ミドルブロッカー
背番号:20

所属クラブ
2009-12 リブニッツァ・クラリェヴォ
2012-13 AZSチェンストホーヴァ(ポーランド)
2013-14 ベルリン・リサイクリング・バレーズ(ドイツ)
2014-18 PGEスクラ・ベウハトフ(ポーランド)
2018-  トレンティーノ・バレー(イタリア)

代表歴
2012-

代表でのキャリア

リシナツは、アンダーカテゴリー時からすでに主な大会で好成績を収めており、2010年の欧州ジュニアと2011年の世界ジュニアで銅メダル、2013年のU23世界選手権では銀メダルを獲得している。この要因としては彼と同じ世代にアタナシェヴィッチやコヴァチェヴィッチ弟など有望選手が揃っていたのもあるが、彼もまたその有望選手のひとりだったことは間違いない。

その後順当に2012年からシニア代表入りを果たした。その年のロンドン五輪のメンバーには選ばれなかったものの、翌年以降は国際大会でベンチ入りをするようになった。しかし、スタンコヴィッチとポドラスチャニンの2000年代後半からセルビアを牽引してきた両スタメンミドルの壁は厚く、銅メダルを獲得した2013年の欧州選手権ではあまり出場機会には恵まれなかった。だが、翌2014年からスタンコヴィッチに代わってスタメンに定着。その後、2015年のワールドリーグ準優勝、2016年ワールドリーグ優勝、2017年欧州選手権3位、2019年欧州選手権優勝などチームの成功に大きく貢献した。

しかし一方でオリンピックへの出場経験はまだない。強豪セルビアといえど、欧州予選を突破するのは非常に困難なのである。とはいえリシナツも今年28歳なので年齢を考えると残りのチャンスは少ない。東京の次のパリ五輪では、強豪フランスが予選に出ないこともあるので、なんとか12年ぶりの五輪出場を果たしてもらいたいところである。

リシナツ

Photo by FIVB

 

クラブでのキャリア

リシナツは、2009年17歳から地元のクラリェヴォのクラブでキャリアをスタートさせると、早くも2012年20歳でポーランド1部のチェンストホーヴァへ移籍。1シーズン通してスタメンとして戦った。翌2013/14にはドイツの強豪ベルリンへ移籍し、チームのリーグ制覇に大きく貢献した。ここでの活躍が評価され、2014/15シーズンから4シーズンにかけて、ポーランドの名門スクラ・ベウハトウフに所属した。1シーズン目こそ、外国人枠の関係で出場機会がそれほど多くはなかったが、2シーズン目以降は不動のスタメンに定着。3, 4シーズン目にはミドルのポジションにもかかわらず試合のベストスコアラーになることもあったほど、チームに不可欠な存在にまでなった。彼の在籍中、チームはリーグ優勝1回、準優勝1回、3位が2回。またポーランドカップは優勝1回、準優勝2回という好成績を収めた。なおリシナツは英語、イタリア語のみならずポーランド語もペラペラである。

そしてポーランドで確固たる実績を積んだのち、2018/19シーズンからはイタリア、セリエAの名門、トレンティーノ・バレーに移籍。リシナツは1シーズン目からチームの中心選手として活躍し、世界クラブ選手権優勝、CEVカップ優勝、イタリアリーグ3位の原動力となった。同じチームのイタリア代表セッター、ジャネッリからの信頼も厚い。契約では2021/22シーズンまでトレントに在籍予定である。トレントは、来シーズンからルカレッリやアブデル・アジスなど大幅補強が加えられたので、チームとしてもますます楽しみである。

リシナツ

Photo by FIVB

 

特徴

今のリシナツは、アタック・サーブ・ブロック、なんでも凄い。まず高さとパワー、そして幅のあるクイックは決定力は抜群である。これは数字でもしっかり現れており、2019/20シーズン通算アタック決定率は驚異の63.53%だった。これはセリエAトップの数字だ。またサーブ効果率でもイタリア1部リーグ全選手の中で19位につけている。更にブロックは、1セットあたり0.69本で、これはキューバの怪物シモンに次ぐ2位の成績だ。しかしトータルのミドルブロッカーランキングではシモンを抜いて堂々の1位となっている。今やリシナツも「怪物」のひとりと数えて問題ないだろう。セリエA の選手へのインタビューで、多くの選手が自身のドリームチームのミドルに彼の名を上げたのも納得である。

あと個人的には彼は同級生(柳田世代)なので、そういう意味でも前から注目していたし、これからも応援していきたい選手である。

lisnac

同級生ショット

 

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