春高バレー2021を見て思った10のコト

バレーボール

1/5(火)から行われていた第73回全日本バレーボール高等学校選手権大会は、10日(日)に男女決勝戦があり、男子は東福岡(福岡)、女子は就実(岡山)の優勝で5日間の激闘に幕を閉じた。

今回は、本大会をネットやテレビで観戦したりしながら思ったことを書き連ねていこうと思う。

※筆者は全試合見てはいない。特に女子の試合はほとんど見ていない。主に男子の試合をかいつまんで見ていた。

 

1. 今年も春高バレーが開催されてよかった。

今年は新型コロナウィルスという未曾有の危機に直面していた。インターハイ、国体は中止になり、全国大会ないし全国制覇を目指す高校生バレーボーラーの最後の希望であった春高バレーだけは、無観客での開催が決定。それに伴い都道府県予選も順次スタートしていったが、社会状況によってはいつ中止になってもおかしくない雰囲気があった。1月に入ってから東京とでの感染者数が激増するなど、最後まで気の抜けない状況だった。それでもなんとか開催できた。本当によかった。

 

2. 東山の途中棄権は残念すぎた。しかし判断は正しかった。

男子の前回優勝高だった東山(京都)。京都府予選決勝でも洛南とのハイレベルな戦いを勝ち上がっての春高出場だったので本戦での活躍をとても楽しみにしていた。2回戦から登場した東山の初戦の相手は驚異の最高到達点355cm(本当か?)誇る西山くんを要する東海大相模(神奈川)。ちょっとはいい勝負するのかと思いきや、試合は1セット目17点、2セット目19点と各セット20点未満で抑えた東山が危なげなく勝利。素直に「2連覇あるな」と思った。

そして翌日。仕事の合間に結果を見てみると「東山…負けてる!?高松工芸(香川)に2-0で負けてる!?ふぁっ!?!」と思った。そのあと調べてみると、当日朝、選手の1人に発熱があり、大会側の判断で棄権となったらしいではないか。棄権…。優勝候補大本命が棄権で春高を去る。東山の選手たちのことを思うとなんだかやり切れない気持ちになった。特に僕は前年の春高決勝を取材して、今の東山の3年生の選手からも何人か話を聞いていたのて彼らの顔が思い浮かんだ。

でも大会側は正しい判断をしたと思う。結果論ではあるが、その後、東山の選手内でその発熱した生徒を含んで5人の陽性者が確認されたらしいからだ。東山の選手たちにはなんとかこの経験を無駄にせず、今後の人生で昇華してほしいと思う。この事態はどのチームにも起こり得た。今回は起こったのがたまたま東山だっただけだ。

 

3. 身長210cmの牧くんが上手くなっていた。

東山に不戦勝で勝った高松工芸高校のエース牧くんは、なんと身長210cm。これは日本人のどのバレーボール選手よりも大きい。しかし207cmの伏見しかり、208cmの大竹パパしかり、日本の超大型選手はやや不器用な選手が多いのが一般的である。たしかに前年の1年生時の牧くんのプレーを見てみると、やはりまだぎこちなさというか、自分の巨体をうまく扱えていない感じが見て取れた。しかし2年生になった今年は違った。力強いスパイクはもちろん、サーブレシーブやパスも器用にこなしていた。デカイだけではなかった。このままの成長スピードだと3年生になったらもっと化けるだろう。本当に楽しみ。

 

4. 柳北くんが凄かった。無双してた。

その牧くん率いる高松工芸をフルセットで破ってそのまま優勝した東福岡、そのエースで優勝の原動力となったのが柳北くんだった。決勝も1人で40点くらい決めたとか。決勝戦の相手、駿台学園(東京)のブロック、フロアディフェンスは素晴らしいかったが、柳北くんには3枚ブロックも関係なかった。彼のハイセット処理能力が駿台ディフェンスを完全に上回っていた。正に圧巻のパフォーマンスだった。てかあのレベルではチートに近い。彼もまた、将来が楽しみな選手のひとりである。進路どうすんだろうか。たぶん東海大だろうか。

 

5. 例年に比べるとチームの完成度は低かった。

やはりどのチームもコロナ禍で大会がなく、練習試合も思うようにできなかったこともあり、全体的に例年よりもチームの完成度が低いように見えた。決勝でも連携ミスだったりコンビミスがちょいちょい出てしまっていたのにもそれが現れていると思う。各チーム連携が例年ほど洗練されていなかった分、今大会最強の「個」であった柳北くん要する東福岡が優勝したと考えると納得である。正直言えば、春高の決勝より、京都府予選決勝の方が面白かったし、レベルも高かったんじゃないだろうかとすら思う。だからこそ、繰り返しになるが東山の棄権は本当に悔やまれた。

 

6. 順当だった男子、波乱の展開だった女子。

男子は東山の棄権を除けば、ベスト8、ベスト4ともに、前評判の高かったチームがほぼ順当に勝ち上がった。それに対して女子はかなり波乱が起きた。まず優勝した就実、準優勝の大阪国際滝井(大阪)ともにノーシードから勝ち上がったし(ノーシード同士の決勝なんて記憶にない)、ベスト8に出場3校すべてが出揃うこともあった東京勢が一校もベスト8に届かなかった。更には、前回優勝の東九州龍谷(大分)が準決勝の1セット目出たしで、大阪国際滝井に対しまさかの0-13という公開処刑と言わんばかりの点差を付けられたのも驚いた。

 

7. 大型の女子選手がいない。

男子は牧くん他、東福岡にも198cmの川野くんがいたりと大型の選手が何人かいたが、女子はいない。圧倒的高さからスパイクを打ち下ろしていた古川学園(宮城)のメリーサは身長185cmでジャンプ力抜群のタレントだったが、日本人選手で180後半以上の選手がいない。決勝戦の両校のエースも170後半だったし、東龍のエースに至っては160前半ではないか。女子日本代表では、186cmの木村沙織が引退して以降、180後半の高さのあるスパイカーが出てきていない。誰か早くポストサオリンが現れないものか。それともメリーサの帰化を待つしかないのか。

 

8. 外国人選手、または外国にルーツを持つ選手が増えている。

メリーサしかり、ますます外国人、ないし外国にルーツを持つ選手が増えているように思う。今までは、中国人の選手がある高校がチラホラあった程度だったが、近年春高選手名鑑を見てみると、カタカナ名をかなり目にするようになった。高校バスケみたいにガッツリ留学生プレーヤーを呼ぶ高校は少ないけど、やはり国際結婚など、日本でもグローバル化は進んでいるなと改めて感じた。この流れでどんどん長身タレントが出てくるといいなあ。

 

9. 優秀選手賞はベスト6じゃダメなのか。

これは毎回思う。春高の優秀選手賞は、優勝、準優勝チームから2人ずつ、3位のチームからそれぞれ1人ずつ選ばれ、だいたいエースのサイドアタッタカーかキャプテンが選ばれる。あれ面白いのかな。ベスト4のチームから選ぶにしても、ポジション別にベスト6っていう形で選んだ方がエンタメ性も上がるし面白いと思うんだけどな。今の制度だと6人のうちミドルが2人以上入るのほとんどないし(今回もミドルは駿台学園の金田くんひとり)。むしろミドルがひとりもでないのもザラ。ミドルもかっこいいのに。あとベストリベロが優勝チームのリベロに自動的になるのも実に安直。

 

10 . やっぱり「高校バレー」だなあ。

これはいい意味ではない。やっぱり日本の「高校バレー」は独特である。大学のトップレベルやVリーグ以上になると、だいたい似たようなローテーション、ポジションになる。すなわち、アウトサイド同士、ミドル同士、オポジットとセッターでそれぞれ対角を組み、順番はバックオーダー。アウトサイドとリベロでサーバレシーブをし、オポジットは攻撃に専念する。アウトサイドはパイプ攻撃もする。世界でもこれがスタンダードだ。女子もまた然りである。ポーランドではそもそもアウトサイドを「レシーバー」、オポジットを「アタッカー」と呼ぶほど役割をはっきりさせている。しかし、「高校バレー」は違う。相変わらずオポジットには守備的な選手が入ることが多く、得点源はアウトサイド(レフト)。パイプ攻撃、つまりバックセンターからのファーストテンポのアタックはほとんど見られず、セカンドテンポの時間差ばかりしている。ブロックもマンツーマンが多かったのではなかろうか。少なくとも男子ベスト4のチームで標準的なポジション、フォーメーションで挑んでいたチームは皆無だった(市立尼崎(兵庫)は惜しかった。フロントオーダーだった)。

またまたポーランドを引き合いに出すが、ポーランドでは中学生くらいからすでにシニア代表と同じフォーメーションでバレーをしている。この光景は実際に現地で見た。サーバレシーブはアウトサイドとリベロの3人、攻撃は基本ファーストテンポ、アウトサイドはパイプ、オポジットはライトからバックアタックに入る。リードブロック。もちろん中学生だからバックアタックなんか簡単には決まらないが、それでもやっていることは代表と変わらなかった。他のヨーロッパやブラジルなどでも状況は同じだと思う。日本でも結局高校卒業するとそうなるのだし、それがいいからそうなるのだ。日本の高校生が早くガラパゴス化された「高校バレー」から脱却することを願う。

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