試合レポート

龍神NIPPON、イランをストレートで下しアジア選手権優勝!

ウルミア(イラン)で行われている男子バレーボールアジア選手権2023。現地時間8月26日(土)、日本代表は決勝でイランと対戦し3-0(25-20, 25-18, 25-18)で勝利しました。

第1セットスタメン

日本

OH:髙橋藍、石川
MB:小野寺、山内
OP:西田
S:関田
L:山本智大

イラン

OH:エバディプール、サレヒ
MB:セイエド、ヴァリザデ
OP:アミン
S:ヴァディ
L:ハズラトプール

※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ

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試合レポート

第1セット、日本はOP西田、イランはOHエバディプールを中心に得点を重ねて7-7とします。そこからMBムーサビのブロックなどで7-9とイランが抜け出します。しかしMB山内のサーブからのラリーでOH髙橋藍やMB小野寺がスパイクを決めて16-13と日本が逆転に成功します。イランもOHサレヒのスパイクなどで得点するもミスが多く、日本がそのままリードを保って最後はMB山内のサービスエースで25-20でこのセットを取ります。

第2セット、序盤は点差が開きませんでしたが、OH髙橋藍のサービスエースで11-8と日本が抜け出します。さらにイランのミスやOH石川のブロックで15-10と点差を広げます。その後もOP西田のサービスエースやスパイクなどでイランを寄せ付けず、最後はMB山内のスパイクが決まって25-18でこのセットも日本が取ります。

第3セット、お互いにミスが続くなかMB小野寺のブロックとスパイクで9-6と日本が抜け出します。さらにOH石川にも2連続ブロックが出て12-8、さらにMB小野寺のサービスエースで14-9と点差を日本が点差を広げていきます。終盤にもOP西田の強烈なサーブから自身がスパイクを決めるなどして2連続ブレイク、さらにOH髙橋藍にもダメ押しのサービスエースが出て22-14とします。イランも最後OHエバディプールのサーブから2連続ブレイクをして一矢報いますが、最後はイランのスパイクがミスになり、25-18でこのセットも取った日本が3-0でイランに勝利。

3大会ぶり10回目のアジア選手権優勝を果しました。

個人的MVP

西田有志

15得点(うちサーブ1、ブロック1)、アタック決定率54%

ここに来てようやく元気な西田が見れました。前日の準決勝で主にサーブで苦しんで2セット目以降は宮浦と交代するという辛酸をなめましたが、この決勝のコートでその悔しさとイランファンの大ブーイングを力に変えて躍動。チーム最多得点。アタックは決定率が高く、また失点もほとんどなかったです。西田らしいパンチ力抜群のスパイクの他、軟打やリバウンドも使って状況によって上手く対応できていました。また彼の代名詞であるサーブもエース本数こそ少なかったですが、この日は豪快なサーブを何本も相手コートに入れてブレイクを奪えていました。試合終了後はイランファンによる「ニシダ」コールもあり、本人にとってはとてもよい大会になったのではないかと思います。このまま調子を維持してOQTに臨んでほしいですね。

感想など

日本優勝!!!

前回大会では日本開催で決勝でイランに0-3で敗れたので、今回は本当にそのときの借りをそっくりそのまま返した形になりました。

第1セット序盤こそイランを追う展開になることもありましたが、山内サーブからの連続ブレイクで逆転すると、あとは試合終了まで日本ペースで進み、危なげなく勝利しました。

この日の日本は今大会のベストパフォーマンスだったと思います。前日に行われた準決勝のカタール戦でもまだまだ堅さが見られることがありましたが、この決勝戦では全員がのびのびとプレーをできている印象でした。

特に上述の西田はVNLから見ても今年の代表での試合の中でかなりよいパフォーマンスを出していました。サービスエースをもう少し見たかったのはありましたが、サーブのミスが少なく相手をよく崩せていましたし、アタックに関しても今年のこれまでの試合では失点が目立っていましたがそれもほとんどなかったと思います(あわやという場面はありましたが、山本・藍をはじめとするスーパーブロックフォローで繋いでました)。

僕は昨シーズンの関りから個人的に宮浦を応援していますが、西田の復調は素直にうれしいです。ベストな2人で今後とも切磋琢磨していってほしいと思います!!

会場はブブゼラが終始鳴っている状態(日本のプレー時は特に)で、耳元で話さないと会話ができないほどうるさかったのですが、前日の準決勝ですでに経験していたからか日本へのプレッシャーにはあまりなってなかったように感じました。1セット目途中、床拭き少年に対して石川らがめっちゃ笑顔だったのでそんな部分からもリラックスしてるんだなと感じました。

逆にイランの選手たちの動きが悪くミスも多かったです。むしろイランの方がプレッシャーが大きかったのでしょう。現地の注目度も2年前の日本開催時の日本のそれとは比べ物にならないくらいだったと思います。第3セットの最後3点くらいからイランファンが手のひらを返してみんな日本チームを応援していましたが、これはファンによるイラン代表に対する「罰」だそうで、ひどい内容の試合をやってしまうとこうなるみたいです。確かにこの日のイランのパフォーマンスは、相手が日本だったとは言え大会でワーストな内容だったと思います。日本が優勝したことは素直にうれしかったですが、個人的にももっと面白い試合が見たかったというのが本音です。

特に石川・エバディプールのミラノチームメイト対決に期待していましたが、エバディプールも調子が上がりませんでした。ただ試合終了後、日本選手全員にハグをして勝利を称えていたのは流石エバディプール。彼はいつでも紳士です。表彰式前にもエバディプールと石川がハグしている姿を見ました。たったワンシーズンのチームメイトでしたが、本当に良い関係を築けていたんですね。僕のインタビューでも「自分たちの友情は変わらない」って言ってましたし。

あと個人的にうれしかったのが髙橋藍のベストアウトサイドヒッター受賞。彼がすばらしい選手であることは間違いないのですが、やはり同ポジションの石川の存在もあり個人賞を手にするのが難しかったのですが、石川がMVPだけの受賞となり髙橋藍がやっと個人賞を手にすることになりました。彼もまたクラブシーズンでよく取材をさせてもらった選手でコミュニケーションお化けなのでよく話もしてくれて、そういう意味でも個人的な思い入れがある選手なので彼の個人賞受賞はなんだか特別にうれしかったです。

ただ本当は石川、髙橋藍、西田の3人にはセレモニー後にインタビューしたかったんですが、いろいろ不運が重なり今回はインタビューできず。優勝後のインタビューをするためにわざわざイランの、さらに地方のウルミアまで来たと言っても過言ではなかったですが、なんか本当にもう悔しいやらなにやらいろんな感情でいっぱいになりながら一日が終わりました。

とにかくVNL銅メダル、アジア選手権優勝と有言実行、結果を残し続けているバレーボール男子日本代表。今年はあとパリオリンピックの切符を掴むだけ!オリンピック予選は日本開催なので僕は取材できません(残念ながら日本がいちばん取材やりにくい)が、テレビかもしくは会場でその姿を見届けたいと思います!!

GO to PARIS!!!!

Photo: IRIVF, AVC, 筆者撮影

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