観戦・取材日記

春の高校バレー2019男子決勝戦レビュー

2019年1月14日

今年も春高バレーが終わった。

女子は大阪・金蘭会の2連覇、男子は京都・洛南の14年ぶり2回目の優勝でそれぞれ幕を閉じた。今回はその男子決勝戦、洛南高校(京都)と清風高校(大阪)の試合をレビューしていきたい。

スタメン(セッターからサーブ順)

洛南:5S山本、4OH垂水、9MB溝井、6OP宮野、1OH大塚、2MB中島(7L内藤)

清風:5S藤原、3OH瀧川、1MB西川、4OP工藤、2OH高橋、6MB山本(12L古藤)

第1セット

洛南はS4、清風はS1で洛南サーブからスタート。中盤までは両チームとも譲らない競った展開。洛南は序盤は大塚、そして中盤辺りから垂水と両エースにかなりボールを集めていたのに対し、清風はこれまで通り序盤からトスを散らして点を取っていった。しかしこの試合洛南はジャンプフローターサーブで徹底的に高橋を狙ってプレッシャーを与え、気持ちよく攻撃参加できないようにしていた。一方で洛南の両エースにはほとんどサーブレシーブに参加しておらず、ゆえに清風は洛南以上にサーブで攻めなければならなかったのだが、そこまで洛南の宮野・内藤を崩すことができなかった(宮野はOHだかローテーション順からもわかるように守備に徹していた)。また清風はエース西川の次にポイントゲッターとなる工藤が不調で大事な場面でミスが目立った。このような要因から中盤以降徐々に洛南が清風を引き離し、最後は大塚が決めきって25-22で洛南がセットを取る。

第2セット

洛南はS5、清風はS1で清風サーブスタート。このセットは序盤で勝負が決まった。洛南がサイドアウトを取って3-1してから大塚のジャンプフローターで引き続き高橋を徹底して狙い崩し、気づけば一気に9連続得点で11-1。このとき清風は西川と工藤がフロントロー(前衛)におり、本来であれば攻撃力の高いローテであったが、工藤は当たらず、高橋はパスからで万全ではなく、またパスが返って西川が使えても肝心の藤原のトスが低くなり西川が決めきれなかった。最後はなんとか工藤が決めきったが時すでに遅し。その後も洛南が両エースの盤石な攻撃、特に垂水が止まらず25-13の大差でこのセットも取る。

第3セット

洛南S4、清風S1で洛南サーブスタート。このセットから洛南セッター山本は配給を変え、クイックを多様し始める。清風はそれに翻弄されながらも西川を中心に全員で食らいつき競った展開を見せていた。このセット中には清風が流れを掴みかけた場面が2度あった。まずは垂水のスパイクミスで15-13となった場面。垂水はこの2プレー前にもスパイクミスをしており崩れそうな感じであった(現にその後打ったバックアタックもミスを恐れてか置きにいっていた)。ここで清風がサーブで崩すし、垂水のハイボールを仕留めることができていればよかったのだが、サーブレシーブがきれいに返り溝井にクイックを決められる。そして2度目にしてこのセット最大のポイントとなったのが、清風がなんとか終盤3連続得点で追い上げて22-21と洛南に1点差に迫った場面。ラリーの中、清風にフリーボールが返り同点のチャンス。しかしセッターのミスかセットとお見合いしてしまい攻撃に繋がらず、逆にカウンターを食らって23-21としてしまった。もうこれで勝負は決まった。24点目を大塚が確実に決め、最後は高橋がブロックに捕まりゲームセット。25-21、セットカウント3-0で洛南の優勝が決まった。洛南は今大会失セットゼロの完全優勝となった。

試合全体を通してもやはり先述のサーブの差が大きかったと思う。また両チームのエース、大塚と西川はそれぞれの役割を果たせていたが、それに次ぐ得点源である垂水と工藤の差が大きく出た試合でもあった。垂水が第3セット中盤まで絶好調だったのに対し、工藤は得点は少なくはなかったが失点も多く、最後まで調子を掴めずにいた。別の言い方をすれば、垂水を上手く乗せた山本と最後まで工藤のギアを上げれなかった藤原の両セッターの差でもあったのかもしれない。

しかし、両チームともゲスブロックがほとんどなくリードブロックでしつこくプレッシャーをかけていたし、攻撃力だけでなく守備力も非常に高かった。また選手ひとりひとりが役割分担ができておりバレーIQが高いように見受けられた。間違いなく高校生としては両チームともとても完成度の高いチームであった。

また個人的に洛南の大塚、山本、そして清風の西川は将来がとても楽しみな選手で、パリ五輪あたりでの活躍を期待している。

最後に我が偉大なる先輩の母校、洛南高校、春高優勝おめでとう!!!!!

-観戦・取材日記
-, , , ,