コラム

苦しみを力に変えて

2022年1月25日

ポーランドのプルスリーガは先週末に第17節が行われ、日本のセッター関田誠大所属のクプルム・ルビン(以下ルビン)はアウェーでシレプスク・マロフ・スヴァウキ(以下スヴァウキ)と対戦。1‐3で敗北を喫し、今季12敗目の試合となってしまいました。関田はスタートで出場するも1セット目途中から交代。4セット目途中に再びコートに登場しましたが、流れを変えることはできませんでした。

チームも、そして関田選手自身にとっても非常に厳しいシーズンになっています。

昨シーズンの得点源だったオポジットのヒメネス(コロンビア)が直前で離脱し、U21ポーランド代表キャプテンのギエルジョットも怪我で合流が遅れるなど、ベンチ入り14人全員が揃わない中で始まった今シーズンのルビン。序盤はアウトサイドのヴァリンスキ(ポーランド)が孤軍奮闘していた印象で、なかなか勝ち星を挙げられませんでした。

しかし、試合を重ねるにつれてキャプテンのフェレンス(ポーランド)も安定し始め、関田のトスもポーランドとドイツの高さあるアタッカー陣に合い始めてきました。そして4試合目のホームでのスヴァウキ戦にストレートで初勝利。関田選手はこの試合のMVPにも選ばれました。

ですがそれからチームがうまくいっているかというと、そうではありません。その後もストレートで敗れることは少ないものの、なかなか勝ち星を挙げることができていません。16試合が終了して4勝12敗で現在14チーム中11位。このままではプレーオフ進出条件である8位以内に入るのは大変厳しいどころか、降格の可能性のある下位2チームとなってしまう可能性もまだ十分にあります。

また関田選手個人としても苦しい状況です。ほとんどの試合にスタメンで出場できているのは評価できますが、チームの状況が悪くなると真っ先に変えられてしまうのもセッターである関田選手です。劣勢になったときにセッターが真っ先に変えられるチームは、トップチームではあまり見当たりません。セッターはチームの脳であり心臓であるので、そこを変えてしまうことは良くも悪くもチームをガラッと変えてしまうことがあり、セッター交代には特に注意が必要だからです。

確かに関田のブロックは低いので、レフトサイドからの相手の攻撃が通りやすくなります。またルビンのアタッカー陣の選手層が薄いのもあるでしょう。しかし、僕はそれ以上に監督からの、そして他の選手肩の信頼がまだまだ足りていないのではないかと心配しています。

控えセッターのステンピエン(ポーランド)は、確かに関田よりは身長が高いですが、185㎝しかないので彼もまたポーランドリーグにおいてはブロックの穴になり得ます。そういう意味ではブロックについては関田とそれほど大きな差はないと思っています。

ポーランドリーグで活躍する低身長セッターにフランス代表のトニウッティがいます。彼は183cmしかありませんが、ポーランドリーグに移籍して以来1シーズンを除いてすべてのシーズンで優勝を経験。今シーズンから移籍したヤストシェンブスキ・ヴェンギェルでもすでにスーパーカップのタイトルを獲得しています。正に優勝請負人の彼ですが、たとえ自チームが劣勢に置かれようとも、彼の裏に2mのセッターが控えていようとも、どの監督も真っ先に彼をベンチに下げることはありませんでした。トニウッティは監督からもそして選手からも絶対の信頼を置かれたセッターのひとりではないかと思います。

関田選手にもやはりここを目指してほしい。最後までコートに立って勝たせるセッターになってほしい。確かに厳しいかもしれない。役者がそろっているかと言われると正直そうではない。それでも、チームを勝たせるセッターになってほしい。正直このままでは関田選手のポーランドリーグ残留は厳しい。「小さい割には凄かった」くらいの評価で終わっちゃダメだ。

リーグ戦は残り10試合。まずはルビン不動のセッターに。そして勝たせるセッターに。

写真:PLPS

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