現地時間2月18日(火)、プハルポルスキ(ポーランドカップ)の準々決勝が行われた。試合は接戦の末、ホームのワルシャワが昨季までウルフドックス名古屋に所属していたクレク擁するザクサ・ケンジェジンコジレ(以下ザクサ)に3-1 (22-25, 25-22, 27-25, 25-22) で勝利し、4月に行われるファイナル4への進出を決めた。
この試合は現地で観戦した。
チケットは完売。会場だったワルシャワのトルバルホールは約5000人のバレーボールファンの熱気に包まれた。

第1セット、序盤からOPクレクのサービスエースなどで連続ブレイクを決めたザクサが1-4とリードする。その後もOPクレクを中心にザクサが得点を重ねて8-13と点差を広げる。終盤にOPボウォンチのスパイクなどでワルシャワが21-23と追い上げるも、最後は彼のサーブがミスとなり22-25でザクサが最初のセットを取る。
第2セット、OPボウォンチが続けてスパイクを決めるなどして9-5とワルシャワがリードする。そこからOPクレクのスパイク、さらにこの試合最長のラリーをOHグロベルニーのスパイクで切るなどして15-15とザクサが追いつく。その後お互いにブレイクを取りながら22-22と試合が進むが、最後はOPクレクのアタックミスで25-22となりワルシャワがセットを取り返す。
第3セット、序盤にザクサにミスが重なり4-2とワルシャワが先行する。そこからお互いにサイドアウトを繰り返し12-11と試合が進むが、ここでザクサのOHグロベルニーが足を負傷しOHシマインスキと交代する。その後も一進一退の攻防が続き、ワルシャワはMBコハノフスキとMBセメニウクの両ミドル、ザクサはOPクレクを中心に得点を重ねる。OPクレクのスパイクで23-24と先にザクサがセットポイントを握るが、アタックミスで25-24とワルシャワに逆転を許す。最後はOHシャルプクのサービスエースが決まり27-25でワルシャワがこのセットを取り切る。
第4セット、出だしから長いラリーとなるもOHシャルプクのスパイクなどでブレイクを重ねたワルシャワが9-6とリードする。そこからOPクレクのスパイクやSヤヌシュのブロックで14-13とザクサが1点差に迫る。しかしMBコハノフスキのブロックなどで20-16と再びワルシャワがリードを広げる。そのまま最後はMBセメニウクのスパイクが決まって25-22とし、このセットを取りきったワルシャワが3-1でザクサに勝利した。
詳しい試合のスタッツはこちら↓
https://www.plusliga.pl/ppcup/id/10/gid/120.html
1セット目はサーブが入らないワルシャワに対し、強力なサーブとOPクレクの攻撃力でザクサがほとんど完璧な試合運びを見せた。しかし2セット目以降ワルシャワのサーブが入り始めると、ワルシャワの多彩な攻撃がザクサを苦しめた。
特に両者の違いを生んでいたのがミドルブロッカーの活躍。ワルシャワはMVPを獲得したMBセメニウクが12点、MBコハノフスキも13点の計25点決めていたのに対し、ザクサはMBタクファムが6点、MBポレンバが4点の計10点に留まった。
ワルシャワはSフィルレイがクイックを多用していたことに加えて、両ミドルがザクサのミドル攻撃をブロックでうまく封じていたことも大きかった。

ザクサはこうした状況を選手交代で打開したかっただろうが、この日はミドルブロッカー2人が怪我で試合に出られず代えがいなかった。また試合中にもいい活躍を見せていたOHグロベルニーが負傷退場してしまうなど、ザクサは怪我に泣いた試合だったとも言える。
特にグロベルニーは先週インタビューをしたばかりであったので、彼の負傷退場には個人的に胸が痛んだ。早期の回復を祈るばかり。

そんな中で両チーム最多30得点をあげてザクサを引っ張っていたのがキャプテンのOPクレク。実は彼も体調不良でひとつ前の試合はベンチにも入っていなかったが、この日は病み上がりを感じさせない獅子奮迅の活躍を見せていた。
特に3セット目までは高いアタック効果率と強烈なサーブ、高いブロックでほとんど無双状態だった。しかし4セット目にワルシャワのブロックに複数回捕まり、終盤の大事な場面でミスを出してしまうなど調子を落とし、チームを勝利に導くことができなかった。

多彩な攻撃を展開できたワルシャワに対し、ザクサはミドルだけでなくアウトサイドヒッターのアタックもなかなか安定せず、結果的にクレクに頼らざるを得ない状況だった。これが勝負を分けた。
それでも終始ハイレベルなラリーの応酬、迫力のあるスパイクやサーブなど見どころだらけの素晴らしい試合であった。会場の盛り上がりも素晴らしかったし、この場に居合わせることができて幸運だった。
ワルシャワは現場に行く回数も多くグラバン監督やOHティリと親交があるので、4月のポーランドカップファイナル4でぜひともタイトルを獲得してほしいと思う。

試合終了後にクレクにインタビューしたかったが、彼は敗戦後、特に重要な試合に敗れた後はどこか遠くを見ているような目をしている。そんなときは中継しているテレビ取材以外には答えてくれない。例に漏れずこの日も記者達を遮りそそ草と会場を後にした。
Photo: Magdalena Kudzia, 筆者撮影