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海外バレー取材日記【髙橋藍】パドヴァ対チステルナ

2023年1月11日

読者のみなさま、あけましておめでとうございます。

新年1発目のイタリアでの現地取材先はパドヴァとなりました。

現地観戦的にはこの前日にワルシャワで試合を見たため2回目だったわけですが、その試合が20:30からだったので帰宅が遅くなり、更に翌日は朝7時発の便だったために睡眠時間約3時間で空港に向かいました。

そして移動中~ワルシャワ空港で春高バレーの男子決勝をVBTVで観戦。

大エース舛本を擁する鎮西がそのままストレートで優勝を決めるかと思いきや駿台が3セット目中盤からその組織力・対応力を徐々に発揮し、気づけば3-2の大逆転優勝。

年末に現地観戦したコッパイタリア準々決勝の2試合もそうでしたが、1度完全に片方がゲームを支配したと思われてからの逆転勝ちというのはやはりセットスポーツの醍醐味で、改めてそんなバレーボールの面白さを睡魔と戦いながら感じた朝でした(笑)。

コッパイタリアの準々決勝といえばミラノがチヴィタノーヴァを見事に下してファイナルズ進出を決めたと同時に、僕が日本人チームの勝利をイタリアで初めて拝んだ試合でもあったわけですが、このときはいつも遅れていたイタリア行きの飛行機がはじめて定時運行したことがひとつの吉兆の知らせでした。

そしてなんとこの日も無事に飛行機は定時に飛び立ち、それに伴いこの日の試合への期待も高まりました。

年末に初めて石川くんに勝利インタビューできたので、年始はは藍くんに初の勝利インタビューをする!

そう決意を思いながらとりあえず機内で寝ました。

窓から見える朝焼けがキレイでした

飛行機は定刻どころか20分早くヴェネツィア空港に到着。

ここからは直通バスでパドヴァに向かいます。

10:30からキオエネアリーナにて公開練習が予定されていたので、運転手のおじさんに言って近くで降ろしてもらいアリーナに直行。

朝のキオエネ、天気は曇り
練習見学時の入口はここ

アリーナに着いたのは10:40くらいだったため、もうパドヴァの練習が始まっているのかなと思いきやまだチステルナが練習していました。

どうやらスケジュールが30分後にずれたみたいでしたが、まあチステルナの練習も見れてラッキーでした。

練習見学には僕以外に日本人が2人と、チステルナのクロアチア人選手2人と話していたのでおそらくクロアチア人であろう家族連れが1組だけでした。

そして11:00ごろに入れ替わりでパドヴァのメンバーがコートに入ります。

藍くんはコートに入るなり早々にグッツォとネット挟んで遊んでました(笑)。

またリベロのツェンガーは同じドイツ代表のチステルナのカリベルダと話してましたね。

こうした違うチームだけど同じ国出身の選手や元チームメイトの選手同士の交流を垣間見るのは個人的にかなり好きだったりします。

練習は試合当日ということもあり軽めで、その中でもサーブとサーブレシーブに重きをおいた内容になていました。

スパイクはそのサーブレシーブの流れの中で打って確認してっているようでした。

練習は12:30ごろに終わり、そのあと「あけましておめでとうございます」と新年のあいさつから一言二言話しました。

本人的には調子はよいようでした。

この年末年始はご家族がイタリアに来られているのでその影響もあったのかもしれません。

ただ18:00からの試合開始まで時間もなく急いでいる様子だったので、このときはそれ以上話せずに終わりました(ただ急いでいる中でもファン対応はしっかりしていたのは流石でした)。

これで僕も一旦ローカルバスで中心街へ向かいます。

そこからランチ食べたり、SIMカードを買いに行ったり(やっと買いました(笑))、宿にチェックインしたりしているとあっという間に時間が過ぎ、試合開始1時間前の17:00ごろに再びキオエネアリーナに舞い戻りました(本当はもう少し早く到着できる予定でしたがローカルバスが遅延しました(笑))。

夕方以降は雨でした

会場に着いたらもう両チームの選手たちが試合に向けた準備を始めていました。

チステルナには前半戦1-3で敗れましたし、特に藍くんは自身のスパイクが相手のブロックディフェンスにことごとく阻まれて苦しんだ試合でもありました。

また先月にチステルナホームでミラノとの試合を見たときにもミラノから勝利していたチームで個人的にとても厄介な印象のチームでした。

そのときにも思ったことでしたが、今日もやはりチステルナのキューバ人OHグティエレスのフリースパイクがえげつない(笑)。

身長は194cmとそこまで大きくないですが、ジャンプ力抜群で映像見てもスパイクのヒットポイントが優にアンテナの一番上(350cm)を超えてますからね…。

ただキレといった部分では藍くんも負けてはいません!!

この日のお客さんは約1500人。

前回の現地取材したペルージャ戦が3500人くらい入っていたので、そのときと比べるとなんか寂しい感じがありました。

やはり対戦相手が人気のクラブチームかそうでないかで集客が大きく変わるところは地元ファンも正直だなと思います(笑)。

また今回僕の席のとなりに座っていた地元の記者の方が話しかけてくれて、「タカハシのフォロワーかい?彼はこのチームのベスト・プレイヤーだよ!」と言ってもらえたのが嬉しかったです。

改めてもう彼は地元ファンから見てもチームの中心なんだと感じました。

そうこうしているうちに試合が始まりました。

ラン・タカハシはいつもどおり5番ポジションで先発です。

しかし試合開始早々に髙橋が相手のショートサーブに珍しく崩されて失点を許すと、更にスパイクも止められるなど不穏なスタートでした。

被ブロックに関しては相手が10点に届く前にすでに3本も食らっていて、逆に得点はゼロ。

なんかもう前半戦のチステルナ戦と同じ試合を見ているようで胸が苦しくなりました…。

なかなか決まらないスパイク

スパイクに関してはデスメットとペトコヴィッチはうまく決まっていましたけど、パドヴァはサーブで攻めることができずチステルナに好きなようにやられていました。

ブレイクのチャンスがあってもつなぎが雑になってなかなかいい形でアタッカーにボールをつなぐことができず、終盤はデスメットも連続でブロックに捕まる…。

パドヴァはOHをふたりとも代えましたがどうにもならず、そんな感じで1セット目は17-25であっけなく終わりました。

なんかもうヤバかったです。

でも年末に見たミラノの試合も1セット目はこのくらいの点差で取られたけどそこから逆転できたからまだ勝負はわからん!!

でも髙橋の1セット目のアタック決定率が17%(効果率ならマイナス)と非常に低かったので、前のトレント戦のように2セット目以降外されやしないかとハラハラしていました(笑)

でも髙橋は2セット目もスタートから無事起用。

それどころかこのセットから急にギアを上げて次々とスパイクを決めてくれるではありませんか!!!

決まり始めた髙橋のスパイク

そんな感じで髙橋が調子づき、チームも勢いを取り戻しつつありましたが、このセットはパドヴァのサーブが全然入らない…。

ツェンガーの丁寧なアンダーセットからペトコヴィッチが3枚ブロックを打ち抜いたり会場を沸かせるビッグプレーが出たりもしましたが、サーブミスの多さでブレイクチャンスを逃します。

それでもなんとか中盤まではいい試合ができてましたが、まず相手のバラノヴィッチのエースとカリベルダのブロックで3点差に広げられ、更にリリーサーバーのグティエレスがやっぱりやってくれたというか…。

パワーサーブとショートサーブ、ネットインなど多彩なサーブでエースを取られまくって一気に6点差…。

やっぱりこの選手憎たらしい!!!(誉め言葉)

そんな感じでこのセットもチステルナが取る。

もうあとないやんけ、0-3やったら前半戦より悪くなってるよ。

1セット目も2セット目もパドヴァは20点にも乗せることができていなかったので、もうなんか会場の空気も重い感じに…。

でもまだ何が起こるかわからん。

今朝の春高の決勝もこんな感じの流れから駿台学園が逆転したわけだし。

でもそれをパドヴァがはたしてできるのか…?!

第3セットはデスメットに代わってアスパルホフ、カネッラに代わってヴォルパトを投入。

これはいい交代、デスメットはやはりサーブレシーブでだいぶ不安定でしたし、カネッラも存在感を示せていなかった。

この交代でなんとか流れが変わってくれと願いましたが、ミドルのクロサートが無理にサーブを触りにいってしまいこれが相手のサービスエースになって1点目からなんか悪い感じに…。

しかしこのあとアスパルホフが覚醒!!

難しいボールも次々と得点してくれますし(このセットだけで7本決めて決定率78%)、サーブレシーブも安定してチステルナにブレイクチャンスを与えません。

また同じくこのセットから入ったヴォルパトにもブロックポイントが出て一気に波がパドヴァに押し寄せました。

こうした途中出場した選手の活躍に刺激されてか、それ以外の選手のプレーも格段によくなっていき、髙橋に関してはこのセットスパイク6本中5本決めて驚異のアタック決定率83%にもなってました。

得意のクロスだけじゃなくラインショットもよく決まっていましたね。

あとは全体的にディフェンスや繋ぎもよくなってなかなかボールがコートに落ちなかったですし、ハイボールもアスパルホフと髙橋が決めてくれるというなんかもうめっちゃいい感じに!!(笑)

2セット目までと同じチームとは思えない、生まれ変わったかのような感じになっていました。

途中ペトコヴィッチがブロックに捕まって逆転されたりしましたが、パドヴァもすぐにブレイクして逆転するので流れを完全にチステルナに渡すことがなかったです。

グティエレスがOHとして投入されましたが、このセットはそこまで脅威とはなりませんでした(でもスパイクの打点はえげつなかった(笑))。

途中アスパルホフが後衛に下がったときにデスメットと交代させた監督の意図はよくわからなかったですが(笑)、終盤にはリリーサーバーガルディーニのサービスエースも飛び出して会場も大盛り上がり!!!

パドヴァコールが会場全体に力強く響き渡っていました。

こうして第3セットを25-21とると第4セットもその勢いがとまらない、いやむしろ加速してました!!

1本目がペトコヴィッチのネットインサービスエース、2本目は髙橋が軽くフェイントでブロックアウト(決めた後にめずらしく笑顔がこぼれていました)。

パドヴァに少しミスが出てもそれ以上にチステルナにミスが出て、スパイクはアスパルホフと髙橋が相変わらず高い決定力を維持。

ペトコヴィッチの決定率が少し心配でしたが、彼はサーブで見せてくれて骨が折れるんじゃないかくらいのパワフルなサーブで2連続サービス―エース。

ミドルのクロサートもこのセット決定率100%.

セッターサイッタもツーアタックをブロックされる場面もありましたが、パイプ攻撃も忘れないすばらしいトス回し。

リベロのツェンガーもネットインで軌道の変わったサーブを倒れながら完璧に返球したり、難しいセカンドボールを丁寧にアンダーでセットにしたり貢献度抜群でした。

パドヴァはみんなが輝いていました。

本当にチームとして強い、いいチームになってました。

アスパと藍のハイタッチ

4セット目終盤には今度はアスパルホフがサービスエースを決めて熱気を帯びた会場が更にヒートアップ!!!

こうしてこのセットもずっとパドヴァのターンのまま25-20で奪取!

残るはあと1つ!!!!!

今シーズンのパドヴァの試合を現地で見たのはこれで4試合目でしたが、過去の3試合は一度も2セット取ったことがなかったので、この時点ですでになんか気持ちが昂りすぎてる自分がいました。

なんかもう本当に春高の決勝と同じ展開なんじゃ…?!

しかしまだまだ油断は禁物!

とりあえず先に8点取ってリードしてコートチェンジを迎えよう!!

いざ第5セット。

始まるとなんと相手のグティエレスが、セットがネットに近すぎたのか2本連続でスパイク時にタッチネットをしてくれて、パドヴァが2-0と幸先のいいスタートを切ります。

第2セットのサーブのときにはあんなにクレバーなプレーをしていたのに、なんだかんだで彼もまだまだ21歳でした(髙橋世代)。

そしてそこから3-3と同点に追いつかれちゃいますけどアスパルホフのスパイク、ヴォルパトのブロックとここでも途中出場組が窮地を救って6-3。

大興奮の展開だ。

しかしまたしてもグティエレスがサービスエースと高さのあるパイプ攻撃で連続ブレイクで6-5!

でもその後なんとかツェンガーが最高のパスをサイッタに供給し、それをペトコヴィッチが決めきって逆転は許さず7-5。

そんで髙橋のナイスディグからのアスパルホフのアタックで8-6!

チェンジコート!!!

してからのアスパルホフのサービスエーーーーース!!!!9-6!!!

もうイケイケ。

しかしこっからチステルナの途中出場OHバイラムが髙橋のブロックの上からスパイクを決めるなどして9-9と同点に追いつきます…。

逆転はやばいぞパドヴァ!

と思っていたらアスパルホフの完璧なパスからのTAKAHASHI!!!

今日のこのふたりは誰にも止められませんよ。

これで10-9。

そして再びのリリーサーバーガルディーニ、1本目は力強いサーブから相手を崩してカウンターでペトコヴィッチが決めきり11-9、そして2本目はサービスエース!!!!!

元イタリア代表でなかなか息子の試合中に笑顔を見せない父ガルディーニもこのときには満面の笑み!!

これで12-9!!

このあとサーブミスだったけど、サイドアウトを髙橋が冷静に決めて13-10(この時はいつもどおりのクールフェイス)。

相手のサーブミスで14-11。

マッチポイント、サーブは髙橋。

ここでサービスエースだとMVPでしたが、ここは相手のジルリッチがスパイクを決める。

そして最後のサイドアウト、ジルリッチのパワフルなサーブをツェンガーが完璧に返球し、サイッタのトスはどっちだ…。

アスパルホフだ決まったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

決勝点

歓喜のキオエネアリーナ!!!!

歓喜のトシキ!!!!!(笑)

まさか本当に春高の決勝と同じように0-2から逆転しちゃうなんて信じられない!!!

いやでも本当にもうたまらない瞬間でした。

やっぱりあれか、飛行機が遅延しなかったからかな(笑)

ファンと選手でよろこびを分かち合う

試合終了後すぐにMVPの投票がありましたが、藍くんには悪いけど僕はアスパルホフに投票しました。

途中出場で最多得点、アタック決定率70%、サービスエースも2本と誰が何と言おうともすばらしいパフォーマンスでしたし、シーズン途中から出場機会にあまり恵まれず苦しんでいたことも知っていたので、そこからの今日のパフォーマンスという意味でもMVPは彼しかないと思いました。

思えばシーズン最初のモデナ、ルーベに勝った試合ではアスパルホフがスタメンだったんですよね。

それが前半のチステルナ戦で負けて次のペルージャ戦からデスメットが出るようになっていったのですが、やっぱりもっとチームが上のレベルにあがっていくためには彼の力が必要だったのかもれないですね。

ここからまたスタメン復帰にも期待です!

もちろん我らが髙橋もすごい数字を残しました。

1セット目は精彩を欠きましたが、2セット目以降で見てみるとアタック決定率68%、得点もアスパルホフにわずかに1点及ばないだけでした。

つまり2人ともすごかったということです!!(笑)

そしてこれまでの負けた試合であれば試合終了後ストレッチをしながら藍くんにインタビューしていたんですが、この日はストレッチする暇なく選手、スタッフらひとりひとりと抱擁して勝利の喜びを分かち合っていました。

僕もその流れで「おめでとう!」と伝えて抱擁を交わしました。

藍くんは「これでジンクス破れましたね!!!」と僕の疫病神卒業を喜んでくれました(笑)

そしてなぜかその瞬間をカメラに収められてました(笑)(笑)

その後インタビューをしましたが、これまでの敗戦後とは明らかに違う満面の笑みでした。

藍くんへのインタビュー後にMVPのアスパルホフもやってきて「最高の2人の写真を撮ってくれ」ということで撮りました(笑)

今日のヒーローズ

またこの日の藍くんのファン対応を見ていると、普段よりも更にサービスしているようにも見えたので、やっぱり勝った試合はファン対応にも気分が乗るのでしょうね!!!

あと今回はパドヴァが勝ったこともあって他の選手にも話が聞きやすかったので、セッターのサイッタにも話を伺うことができました!!

こちらも追ってアップします!!!

とにかく年末のミラノに続き、パドヴァの初勝利も現地で拝むことができました!!!!

しかも結局ミラノがホームアウェイともに勝てなかったチステルナからの勝利!!!

航空会社さん定時運行ありがとう!!!!(笑)

さあこれからはこの勢いで疫病神から勝利の神になるので、次回も勝利インタビューを期待していてください!!!

バイバイキオエネアリーナ!また2週間後!!!

写真:筆者撮影

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