男子決勝
試合結果
ザクサ(ポーランド)3 (25-22, 25-20, 32-30) 0 トレント(イタリア)
ザクサは2年連続2回目の優勝。ポーランド勢として初のチャンピオンズリーグ連覇となりました。
スターティングメンバー
ザクサ:MBスミス(アメリカ)、OPカチュマレク(ポーランド)、OHセメニウク(ポーランド)、MBレイノ(ポーランド)、Sヤヌシュ(ポーランド)、OHシリフカ(ポーランド)、Lショージ(アメリカ)
トレント:Sスベルトリ(イタリア)、OHカジ―スキ(ブルガリア)、MBリシナツ(セルビア)、OHラヴィア(イタリア)、OHミケレット(イタリア)、MBポドラスチャニン(セルビア)、Lツェンガー(ドイツ)
試合レポート
第1セット
序盤からMBレイノのブロックや同じくMBスミスのクイックでブレイクを続けたザクサがリードして試合を進めます(4-1)。トレントはOHカジースキとOHミケレットにボールを集めるも、ザクサの安定したレセプションとSヤヌシュがクイックを積極的に絡めた配球で的をブロックの絞らせず簡単にブレイクを許しません(15-10)。
トレントが同点に追いつく場面も何度かありましたが(18-18)、あと1点が遠く逆転には繋がらずそのまま試合を優位に進めたザクサ。最後はOHシリフカが直接返ってきたボールを押し込んでザクサが第1セットを危なげなく奪う(25-22)。
第2セット
序盤は競った展開が続くもクイックを増やしてリズムを掴んだトレントが一歩リードしたまま試合が進みます(7-9)。しかし中盤にトレントの大黒柱カジースキがレセプションとスパイクで珍しく失点を重ねてザクサに逆転を許してしまいます(15-13)。
その後は効果的なサーブと堅いディフェンスからこの試合絶好調のOHセメニウクとMBスミスで得点を重ねて一気に抜け出したザクサ(23-19)。最後はまたシリフカのスパイクで第2セットもザクサが取り(25-20)、2連覇に王手をかけます。

第3セット
このセットは最後まで3点以上点差が広がらない息の詰まる激しい攻防となります。序盤からこの試合絶好調のOHセメニウクにボール集めるザクサに対し、トレントは両MBがクイックとブロックで存在感を見せて得点を重ねます(8-8)。しかし中盤にトレントのOHミケレットをザクサのOPカチュマレクの1枚ブロックで仕留めて流れを掴むと(17-15)、そこからザクサが常にリードを保ち試合は終盤に差し掛かります(21-19)。
しかしこのままでは終われないトレント、司令塔スベルトリの魂のこもったサーブでザクサからエースを奪うと、続けてOHシリフカのミスも出て逆転(21-22)。そこから試合は1点差のせめぎ合いとなりますが、セメニウクが止まらずザクサが再び逆転に成功(25-24)。トレントはベテランOHカジースキにボールを託してなんとか30点台までくらいついていきますがあと1本が出す。
最後もディフェンスからセメニウクが冷静に決めて試合終了となりました(32-30)。
MVPはカミル・セメニウク(ポーランド)
インタビュー
アレクサンデル・シリフカ(ザクサ/ポーランド)

―今日の試合はどうでしたか。
素晴らしい試合でした。このリュブリャナの会場の雰囲気は本当に素晴らしかったです。ザクサのファンが一方にいて、もう一方にトレントのファンがいて、その光景が本当に素晴らしく、大歓声に包まれていました。そして今シーズン私たちが手にしたものについては本当に信じられません。私たちは3つのタイトルを獲得しました。ポーランドカップ、ポーランドリーグ、そしてチャンピオンリーグです。このシーズンのことは死ぬまで忘れないでしょう。
―勝利のカギは何だったと思いますか。
私たちは最後までチームとしてバレーボールができていました。どんな場面でもいいバレーボールができていました。サーブもよかったですし、もちろんサーブがよければブロックディフェンスも簡単になります。今日は自分たちのスパイクもとてもよく、特にMVPだったカミル・セメニウクは並外れたパフォーマンスでした。また3-0で勝てたことはとても嬉しいです。なぜならチームの数人が試合中に痙攣を起こしていたので、彼らが長くプレーをしなくてすんだからです。
―日本のファンへメッセージをお願いします。
ミハウ・クビアクやバルテク・クレクから日本のファンは素晴らしいと聞いています。そんな私たちの素敵なファンでいてくれてありがとうございます。近いうちにまた大会や何かでお会いできるとよいですね。日本でバレーボールをプレーすることをいつも楽しみにしています。
エリック・ショージ(ザクサ/アメリカ)

―今どんな気持ちですか。
素晴らしい気分です。もちろん私たちはチャンピオンズリーグの決勝まで進んで、さらに優勝したのですから。3-0での勝利でしたし。素晴らしいです。
―試合中に足を痛められていましたが、大丈夫ですか。
ふくらはぎの痙攣がありました。小さい部分でしたが。ちょうど興奮していましたし、第3セットはハードだったので、水を飲み過ぎていたりしたのかもしれません。しかし今はなんともないです。
―勝利のカギとなったのは何だと思いますか。
自分たちが首尾一貫してブレずにプレーできたことだと思います。レシーブがとても良かったですし、相手に多くのプレッシャーを与えることができていましたし、あとセメニウクがクレイジーでした。シーズンを通してもそうでしたが、一貫性とプレッシャーがカギだったと思います。
―日本のファンへメッセージをお願いします。
日本のファンのみなさん、大好きです!たぶんみなさんも私が大好きなのを知っているでしょう。私のルーツの一部は日本人で家族も日本から来ていますし。(日本語で)ありがとうございます!近いうちに皆さんにお会いできることを楽しみにしています。
マテイ・カジ―スキ(トレント/ブルガリア、元ジェイテクト)

―今日の悲劇についてどう思いますか。
私はそんなに悲劇的なことだとは思いません。私たちはファイナルのプレッシャーを多少感じていて、彼らの方がスタートがよかった。しかし2セットは私たちにも多くのチャンスがありました。それでも試合の中の大事な場面で、簡単にとは言いたくないですが、取るべきいくつかのポイントを取ることができず、再び流れを相手に渡すこととなり、結果3-0で敗れてしまいました。間違いなく私たちはもっと上手くプレーすることができたと思いますが、悔いはありません。
―2連覇を果たしたザクサについてどう思いますか。
彼らは素晴らしいです。よく準備ができていたと思いますし、素晴らしいバレーボールができていました。彼らは最強のチームです。彼らは勝ちました。残念ながら私たちは彼らからセットを奪えず、彼らのコートにパニックを起こすことができませんでした。
―日本のファンにメッセージをお願いできますか?
日本がとても恋しいです。特にジェイテクトのファンのみなさんを恋しく思います。近いうちにまたお会いできることを楽しみにしています。(日本語で)ありがとうございます!
感想
なんとなくザクサが優勝するだろうなと予想はしていましたが、ここまで一方的な試合になるとは思いませんでした。確かに第3セットは競った展開となりましたが、点差以上にザクサのコートはとても落ち着いていましたし、逆にトレントコートはかなりプレッシャーがかかってバタバタしているような印象でした。
女子に比べるとサーブとミドルの存在感をとても大きく感じました。サーブに関して言えば、試合を見ていた印象だとトレントの方が多く感じましたが、実際スタッツを見てみるとザクサの方がサーブミスが多かったです(トレントが11本に対してザクサは17本)。これなんでだろうと考えたときに、「ここでブレイクを取れれば流れに乗れる!」という大事な場面でサーブミスの多かったトレントに対して、ザクサは大事な場面でのサーブミスが少なく、積極的にショートサーブを使ってリスクを抑えつつラリーを有利にコントロールしていたように思います。
しかし昨年初めてポーランドのクラブがヨーロッパチャンピオンとなり、今年も続けてチャンピオンになるなんて、もうクラブチームもポーランドの時代が来ているように感じます。ポーランドファンとしては嬉しい限りです。
昨シーズンポーランドリーグで活躍した関田は、来シーズンはジェイテクトでVリーグ復帰。次なるポーランドへ飛び立つ日本人選手が誰になるのかこれから楽しみです。
イタリア・ポーランド・ドイツなど特に男子においてヨーロッパのトップリーグないしトップチームで日本人選手が活躍するのが当たり前になりつつある昨今。この欧州チャンピオンズリーグの舞台にコートに日本人選手が立つときもそう遠くはないかも?!

写真:CEV