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【海外バレー】CEVチャンピオンズリーグ観戦レポート

2022年6月3日

5月22日、欧州ナンバーワンバレーボールクラブを決める大会、CEVチャンピオンズリーグ男女ファイナルを観戦・取材してきました。場所はバルカンの西の端、スロベニアの首都リュブリヤナ(読みにくい)です。

会場外観(筆者撮影)、近未来的なデザイン

スロベニアが会場ですが、スロベニアのクラブが出場しているのかというとそうではなく、更にはスロベニアの選手もいない。それでも客席は見た感じ7, 8割埋まっていて、イタリアやポーランドからお越しになられたであろうサポーターの方々の熱量が半端なく、会場内はおおいに盛り上がっていました。

今年のファイナルは男女とも昨年と同一カードとなり、どちらとも連覇かはたまた昨年のリベンジとなるか注目でした。

演出からお祭り感満載の大会でした

女子決勝

試合結果

ワクフバンク(トルコ)3 (25-22, 25-21, 23-25, 25-21) 1コネリアーノ(イタリア)

ワクフバンクがコネリアーノを下して4年ぶり5回目の優勝、昨シーズンのリベンジを見事に果たしての優勝となりました。

スターティングメンバー

ワクフバンク:Sオズバイ(トルコ)、OHバーチ=ハックリー(アメリカ)、MBギュネシュ(トルコ)、OPハーク(スウェーデン)、OHガビ(ブラジル)、MBオグボグ(アメリカ)、Lアイカチュ(トルコ)

コネリアーノ:OPエゴヌ(イタリア)、OHシッラ(イタリア)、MBデクライフ(オランダ)、Sヴォウォシュ(ポーランド)、OHプラマー(アメリカ)、MBフォリエ(イタリア)、Lデジェンナーロ(イタリア)

試合レポート

第1セット

OPハークを中心に得点を重ねたワクフバンクがスタートダッシュに成功(3-0)。しかしコネリアーノもOPエゴヌにボールを集めて逆転すると(5-7)、そこからは両OPによる打ち合いに。そのままわずかにコネリアーノのリードでセット終盤を迎えますが(20-21)、交代で入ったシェノール(トルコ)のサーブから相手のミスを誘ったワクフバンクが逆転に成功(22-21)。

その後もコネリアーノはエゴヌ、そしてOHプラマーが連続でスパイクをミスしてしまいワクフバンクが一気にセットポイントを握る(24-22)。最後はOHガビのキレのあるスパイクが決まって、ワクフバンクが第1セットを奪います(25-22)。

第2セット

序盤からワクフバンクのリードで試合が進みます(5-3)。1セット目同様OPエゴヌにボールを集めるコネリアーノに対し、堅いディフェンスからSオズバイがOHガビのパイプやMBギュネシュのクイックなど真ん中からの攻撃を効果的に絡め、ワクフバンクが一時6点差までに広げます(13-7)。

その後OPエゴヌのサービスエースなどで一時同点まで追いつくも(17-17)、OPハークが大事な場面で決め切ってコネリアーノの逆転を許しませんでした(20-17)。最後はOPエゴヌのサーブミスでこのセットもワクフバンクが取ります(25-21)。

エゴヌのスパイク

第3セット

後がないコネリアーノが意地を見せて序盤からわずかにリードを保ちながら試合を進めます(5-7)。コネリアーノはSヴォウォシュがOHプラマーやOHシッラなどOPエゴヌ以外の選手へのトスを増やし、アタッカーもこれに答えた。しかしワクフバンクはOPハークのサービスエースから逆転に成功するとそのまま勢いに乗り4点差にリードを広げる(15-11)。

その後OHガビのパイプ攻撃などでサイドアウトを続けたワクフバンクが試合を有利に進めますが(17-15)、終盤に難しいハイセットをOPエゴヌが決め切って同点に追いつくと(20-20)、コネリアーノがその勢いに乗り逆転に成功(20-21)。最後もOPエゴヌが決め切って、コネリアーノがセットを奪い返します(23-25)。

第4セット

3セット目の勢いそのままに、このセットもOPエゴヌの2連続サービスエースなどで序盤からコネリアーノが5点のリードをあげます(3-8)。しかし長いラリーからOHガビが鋭いパイプ攻撃を決めると、またしてもコネリアーノに連続のスパイクミスが出て点差を縮められる(9-8)。そして中盤にも大事なところでスパイクミスが出てワクフバンクが逆転(14-13)。

その後コネリアーノはエースエゴヌにボールを託して反撃を図りますが、堅いディフェンスからOHガビとMBギュネシュで得点を重ねたワクフバンクがむしろリードを広げました(23-18)。最後はこの日絶好調だったOHガビがキレのあるスパイクを決め切りゲームセット(25-21)。

MVPはガビ・ギマラエス(ワクフバンク)。

インタビュー

ガビ・ギマラエス(ワクフバンク/ブラジル)

―今日の試合を振り返っていかがですか。

とてもタフな試合でした。でも今シーズンはすべてのプレーをより良くし、お互いを助け合うひとつのチームとしてプレーすることを言い続けてきました。試合の中である場面ではある選手がよいプレーをすれば、別の場面では別の選手がよいプレーをする。

そのように(誰かひとりに頼るのではなく)チームとしてプレーできているとき、誰も私たちを止められないと信じていました。今日はそれができていたので、コネリアーノは私たち全員に注意を払わなければならかったでしょう。これが家族のように助け合ってプレーすることの最大の利点です。もちろんこれは簡単なことではありません。

またコネリアーノにもおめでとうと言いたいです。私たちは3-1で勝利しましたが、彼女たちは常に私たちにプレッシャーを与え続け、逆転を信じ続けていたので、私たちは精神的にずっと苦しめられていました。試合が終わる第4セット24-20の場面でさえリラックスできませんでした。

しかしそういう試合を戦った結果、チームは精神的に成長できたと思います。これは大きな成長です。今日のような精神の強さを持っていれば、過去の厳しい場面ももっと楽に乗り越えることができていたでしょう。今シーズンを思い返してみても今日の私たちの強さは正にチームの強さでした。

―今日はガビ選手個人としてのパフォーマンスも非常によかったと思います

はい。でも先ほども述べたように、あるときはイザベラ(・ハーク)が、またあるときにはゼフラ(・ギュネシュ)がよい活躍をしてくれました。特にゼブラはスタートから最後まで調子がよく、相手にリードされた場面でもカムバックするエネルギーをチームに与えてくれました。

私もそんなチームを手助けすることができてとても嬉しいです。しかし彼女たちがいなければ私は何もできません。ひとりではコネリアーノに対して何もできなかったと思うので、このチームをとても誇りに思います。またすべてのスタッフのみんなに感謝を伝えたいです。シーズンはとても困難なものでしたが、彼らのサポートは信じられないほど素晴らしいものでしたから。

―日本にもあなたのファンは大勢いると思います。そんな日本のファンにメッセージをお願いできますか。

もちろん!私は日本が大好きです。なぜならいつも試合で日本に行くと手厚いサポートを受けますし、人々のとてもあたたかく歓迎してもらえるからです。私やワクフバンクをフォローしていただいているファンのみなさん、本当にありがとうございます。来シーズンも引き続き応援していただけると嬉しいです。

キャサリン・プラマー(コネリアーノ/アメリカ、元デンソー)

―ワクフバンクの勝因は何だったと思いますか。

彼女たちはブロックとディフェンスの連携が優れていて、自分たちが得点したいところで逆に相手に得点を奪われていました。またサーブもよくて自分たちにプレッシャーを与え続けていました。

―今日の敗戦について今どう感じていますか。

ガッカリしています。しかし、来年にはもっと強くなってこの舞台に戻ってきます。

―リュブリャナまで来てくれたサポーターについていかがですか。

イモッコ(・コネリアーノ)のファンは素晴らしいです。コネリアーノからここまでは2時間半のドライブで来ることができるのでみんな来てくれました。ただ試合に勝てずガッカリさせてしまったことは申し訳なく感じます。

―日本のファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

ハロー!日本での時間は本当に楽しかったです。COVIDの影響で大変なこともありましたが、デンソーでは素晴らしい時間を過ごしました。チームも素晴らしかったし、多くのサポートを受けました。また会えることを楽しみにしています。

感想など

試合前はワクフバンクのハークとコネリアーノのエゴヌという現代女子バレーの最強オポジットのによる打ち合いが予想され、序盤は確かにそんな内容でしたが、カビにも積極的にボールを供給してオポジット対決から脱したワクフバンクが結果的に勝利を手にしました。

コネリアーノも途中なんとか他で点を取ろうと画策しましたが、結局エゴヌと心中スタイルから抜け出せず。エゴヌは確かに凄いけど、この日はミスも多く精彩を欠いてましたね。

それに比べてガビは1セット目こそ大人しかったですが、2セット目以降は圧巻のパフォーマンス。身長180cmと女子バレー界では低い方ですが、抜群のジャンプ力で身長の低さを全く感じさせませんでしたし、むしろ公表されてる最高到達点(305cm)より高いんじゃないかと思わせるくらいめっちゃ跳んでました。

レフト、パイプ共に痺れるくらいカッコよかった…。

でもインタビューしたときはめっちゃ可愛かったです(笑)。

今回対戦した両オポジットの2人ですが、なんと来シーズンはお互いがお互いのチームへ移籍することに。来シーズンの決勝戦も同一カードになるかも。

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