インタビュー

井手智所属のベルリン、欧州チャンピオンズリーグでベスト8進出!「準々決勝もとにかく今日みたいに向かっていく」

2023年2月20日

バレーボール男子、欧州チャンピオンズリーグは現地時間2月15日(水)にプレーオフが行われ、井手智所属のベルリン・リサイクリングバレーズ(ドイツ、以下ベルリン)がジラットバンク・アンカラ(トルコ、以下ZBアンカラ)を3-2(24-26, 25-21, 25-20, 18-25, 15-9)で勝利し、次の準々決勝へコマを進めました。

井手はリベロとして全セットにスタメンで出場し、安定した守備でチームの勝利に貢献しました。

第1セットスタメン

ベルリン

OH:カール(フランス)、ショット(ドイツ)
MB:ブレーメ(ドイツ)、シュタレカル(スロヴェニア)
OP:ソトラ(チェコ)
S:ティレ(ドイツ)
L:井手

ZBアンカラ

OH:アタナソフ(ブルガリア)、ユアントレーナ(イタリア)
MB:ブルブル(トルコ)、トスン(トルコ)
OP:テルマー(オランダ)
S:エクシ(トルコ)
L:バイラクタシュ(トルコ)

※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ

この試合のスタッツはこちら

試合レポート

本来このプレーオフはホーム&アウェイの2試合で勝敗を決める予定でしたが、先日のトルコ・シリア大地震によりトルコ国内での試合の開催が困難になったため、ベルリンでの1試合で勝敗を決めることとなりました。

また試合の前には黙祷が行われました。

第1セット、Sティレのサービスエースで試合が始まると、その後は中盤までお互いにサイドアウトを取り合う展開が続き、ベルリンはOHカール、ZBアンカラはOPテルマーを中心に点数を重ねます。

13-12の場面からZBアンカラに続けてアタックミスが出て15-12とベルリンが3点差をつけると、MBブレーメのサービスエースやMBシュタレカルのブロックなどで更にブレイクを重ねて24-20とベルリンが4点差をつけて先にセットポイントを向かえます。

しかしそこからベルリンはアタックミスを連発してしまいサイドアウトが取れず24-24と追いつかれてしまうと、その後もOHユアントレーナとOHアタナソフにスパイクを決められてZBアンカラが24-26と大逆転でこのセットを取ります。

第2セット、序盤からベルリンのSティレが極端なほどミドルにボールを集め、選手もそれに応えて次々と点数を決めて7-4とベルリンがリードします。

ZBアンカラもMBトスンのサービスエースなどで8-9と一時逆転しますが、OPソトラのスパイクとサーブで17-15と再びベルリンが前に出ます。

そこからまたベルリンはMBの2人で次々とサイドアウトを切っていき、最後はOPソトラのサービスエースがまた決まって25-21でこのセットはベルリンが取ります。

第3セット、引き続きベルリンが序盤からミドル中心にサイドアウトを取りつつ、OHカールのサービスエース、MBブレーメのブロックなどでブレイクを奪って12-7とリードします。

その後OHユアントレーナのサーブなどでZBアンカラが13-11と点差を縮めますが、ベルリンがそこからさらにOPソトラやOHショットのスパイクで21-15と点差を広げなおすと、最後はOHカールがスパイクを決めて25-20でこのセットもベルリンが取ります。

第4セット、序盤からベルリンがSティレのエースやOHショットのブロックで3-0とリードすると、さらにOPソトラのアタックやエースで9-4とリードを広げます。

しかしOHカールのミスで15-15とZBアンカラが追い付くと、さらにOHユアントレーナのサーブからOHアタナソフのスパイクや自身のサービスエースなどで一気に5連続ブレイクして16-21とZBアンカラが一気に逆転します。

そしてそのまま最後もOHユアントレーナがキレのあるパイプ攻撃を決めて18-25でこのセットをZBアンカラが取ります。

第5セット、ベルリンはMBブレーメでサイドアウトを取りつつOHカールのブロックやスパイクでブレイクを奪って6-4とリードします。

そこからZBアンカラに続けてミスが出て8-5でコートチェンジを迎えると、さらにベルリンがOHカールとSティレのサービスエースなどで13-7と点差を広げます。

そして最後はリベロ井手のサーブレシーブからOPソトラが力強いスパイクを決め、15-9でこのセットを取り切ったベルリンが3-2でZBアンカラに勝利しました。

MVP:MBアントン・ブレーメ(17得点(うちサーブ2、ブロック2)、アタック決定率65%)

井手はサーブレシーブ成功率45%をはじめ安定した守備でチームの勝利に貢献しました。

ハイライト動画↓

フルマッチ動画↓

これによりベルリンは欧州チャンピオンズリーグ準々決勝に駒を進め、準決勝進出をかけてペルージャ(イタリア)と対戦します。

試合日程はホーム戦が現地時間3月8日(水)19:30から、アウェイ戦が3月15日(水)20:00からとなります。

井手智選手の試合後コメント

―今日の試合を振り返っていかがですか。

井手:ゲームの中でいいところと悪いところともちろんいろいろあったと思うんですけど、とにかく今日は勝てばいいというゲームだったので、まずそこの1番大事な部分はコンプリートできたのでよかったかなと思っています。

―1セット目は24-20からのまさかの大逆転でセットを失いました。あのときコート内では何が起きていたのでしょうか。

井手:あそこは気持ちの問題だったと思うんですよね、技術とか作戦うんぬんというよりも。ちょっと押され負けたというか感じがあったので、あの1セット目はそれが原因かなという感じではありましたね。僕自身もちょっと受けている部分がありました。相手に向かって行かないといけない戦わないといけないという気持ちがちょっと、1セット目の終盤でなくなってたわけではないですけど、相手の勢いに押されて消極的な感じになっちゃっていたので、そこがやっぱり課題かなというふうには思いました。

―そこから2セット目以降はどう立て直されたのでしょうか。

井手:1セット目の最後は気持ちの部分で完全に押されたという部分で、みんながスイッチを入れたというか、コート内のエネルギーが全然違ったというか、みんなが前向きにというか、常に相手に向かってポジティブにプレーしていたなと思います。そこが大きな違いかなというふうには思いますね。ただ4セット目の最後なんかもちょっと押されて、流れだったと思うんですけど、沈んでみたいな感じでした。やっぱりあれが出ちゃうとうちだけじゃないと思うんですけど、どこのチームもやっぱり不利な状況に追い込まれるかなというふうには思うので、そこですね。

―そこからまた5セット目に入る時に、何かチーム内での声かけなどはありましたか。

井手:作戦自体はハマっていないわけじゃなかったので、特に変えたことはなかったんです。こっちとしては気持ち的に前向きにというか、ドンドン相手を押して、ファイティングスピリッツというかそういう部分がありましたし、相手のミスが5セット目は多かったのでそこに助けられた部分はけっこうあったかなというふうには思います。あと5セット目はこっちのサーブが走ったのもありますし、逆にこっちがサーブレシーブで崩されなかったというのが大きかったかなというふうには思います。

勝利の瞬間

―試合の最終盤で特に強くOHのカール選手やショット選手に声がけをされていたように見えましたが、どういう声がけをされていましたか。

井手:ミスってもいいから思いっきり行けというか、思いっきり打ってくれというふうに言ったりとか、レセプションの部分でもフローターは、僕とルーベン(・ショット)のほぼ2枚で行こうという話をしました。やっぱりティム(ティモシー・カール)がけっこう狙われていて、本人としてもサーブレシーブをそこまで得意とする選手ではなかったので。勝負所でもありましたし、そこでやっぱり僕らが仕事をしていかないといけないかなというところで、そういう声掛けというか、ある意味作戦ではあるんですけど、そういったことを話しました。

―相手チームには元イタリア代表のユアントレーナ選手がいましたが、彼と戦った印象はいかがでしたか。

井手:僕が代表でやっていたときも1度だけイタリア代表でユアントレーナと対戦したことがありましたが、やっぱり経験豊富な選手ですし、プレーでチームを引っ張る選手だったのでかなりこちらとしては嫌な選手というか、やりづらさはありましたね。やっぱり彼がいるだけで「お、ユアントレーナがいる」みたいな雰囲気があるので、それが彼の力と言うか、名前もありますし、技術的にもまだまだ彼はトップの方にいますし、そういった部分では相手にしたくない選手ではありますね。

ユアントレーナ選手(中央)

―また今日は会場に5000人以上のファンが詰めかけて声援を送っていました。普段からもこのくらいのお客さんが見に来られるのでしょうか。

井手:普段のドイツリーグでは上の階の席まで入ることは多くはないですが、やっぱりチャンピオンズリーグのときはだいたいこのくらい入っています。ドイツリーグのときでも、試合の曜日だったり時間帯によってかなり変わるんですけど、だいたい平均3500人くらいは毎試合入っているので、下の席は毎回満席みたいな感じです。トルコとかもすごかったですけど、このベルリンのホームの雰囲気というのはなかなか他では味わえない独特の雰囲気というか、我々のプレーを後押ししてくれる雰囲気をファンのみなさんが作ってくれるというところは僕らの強みのひとつではあると思います。

―次の準々決勝のペルージャ戦に向けてひとことお願いします。

井手:みなさんはもう分かっているとは思うんですけど、ペルージャは現状世界一になれる力を持っているチームだと思いますし、絶対に簡単なゲームにはならないと思いますし、かなり難しいゲームにはなるかなと思います。でも始まってみないとわからない部分はありますし、やっぱり今日みたいにとにかく向かっていく。強い相手だということはみんながわかっていることだと思うんですけど、押されてちっちゃくなってしまうのではなく、とにかくそこに向かっていく気持ちを持つ。逆にこっちとしては相手の方がプレッシャーがあるかなと思うので、そこがある意味僕らにとってはチャンスというか、そういう気持ちでやっていきたいかなと思います。

写真:筆者撮影、CEV

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