試合レポート

龍神NIPPON、2-3でフランスに惜敗。でも希望しかない。

2022年9月6日

タイトル通り、バレーボール男子日本代表はフランスに負けました。龍神NIPPONの世界選手権は終わりました。目標であったベスト8にはあと1勝足りませんでした。

それでも、今日の試合はすばらしかった。東京オリンピック金メダリストで、今年のネーションズリーグでも優勝したいわば王者フランス相手に日本がここまで互角の戦いをすると予想していた人が世界にどれだけいたでしょうか。

第1セットは、これまで同様に力の差を見せつけられるような内容でした。特に日本の石川と髙橋の両王とサイドヒッターの攻撃が相手のブロックにことごとく阻まれ思うように得点できていませんでした。怪我明けで予選でも思うようなパフォーマンスを出せていなかった石川でしたが、「今日もダメなのかな…」と不安がよぎりました。

逆にフランスはのびのびプレーしているような印象で、フランスのエースOHヌガペトも得意の背面アタック(ネットに背を向けてのフェイント)を早々に披露したり、2本のサービスエースを決めるなどノリノリでした。ミドルのシネニエゼも打てば決まるというような状態。

そうしてあれよあれよという間にフランスが25-17で1セット目を取りました。「今日もこのまま進んで3-0で負けちゃうのかな…」ともうこの時点で半ば諦めかけてました。

しかし選手たちは違いました。第2セットから日本が真の力を見せます。

まずこのセットはサーブがとても走っていました。エースこそなかったものの鉄壁のフランスに対してアグレッシブにサーブを打ち込んで、相手のサイドアウトの場面でプレッシャーをかけることに成功しました。

サーブで相手を崩せた分日本のブロックタッチも増え、ネーションズリーグで大活躍していたオポジットのパトリィを退場させることにも成功しました。またブロックが機能したことでリベロ山本のディグも真価を発揮していたと思います。

逆に日本のサーブレシーブは堅く、特に髙橋が一番多くのサーブを受けていたにも関わらず素晴らしいパスをセッターに供給し続けて相手のブレイクを許しませんでした。

また仮にサーブレシーブが乱れてハイセットの場面になっても、この男が全部決めてくれていました。西田有志ことゴリラです。いやもうこの日の西田はキング、キングコングでした。1セット目から調子の良かった西田ですが2セット目からは更にギアが上がり、このセットだけで言うと8本中7本決めて失点なし、アタック効果率なんと驚異の87.50%。サイドの選手でこんな数字みたことないです。打てば決まる。しかもフランス相手に。もう凄すぎて笑いました。

あと山内の要所でのクイックも効いていましたね。

そうしてほとんど完璧な試合運びを見せてくれた日本が第2セットを25-21でとり、セットカウントを1-1のイーブンとします。

第3セットも1点目からいエースヌガペトをシャットアウトして幸先のいいスタートを切ります。しかしその後髙橋、石川がフランスブロックに捕まり、更に西田にミスが出るなどして一時5点差をつけられてしまいます。

それでもそのまま終わらないのが今の日本。相変わらず絶好調の西田を中心にサイドアウトを取り反撃の機会を伺うと、小野寺のサーブで途中から入ったOHクレブノを崩して連続ブレイクに成功し追いつきます。

その後相手リリーフサーバーのルアティにエースを許すも、その後の石川がエースでお返し!でも今度は相手セッターのブリザールにエースを奪われ、そこで2点差に離されてそのままフランスのセットポイントになります。

しかし24-23の場面で、パトリィに代わり入りこのセット絶好調だったOPボワイエを石川がシャットしてデュースに持ち込みます!ボワイエはスパイクを下に叩きがちなので、いつシャットされてくれないかと心待ちにしていましたがここで来てくれました(笑)。

このままセット取るぞ!と思っていた矢先、クレブノのショートサーブに藍が崩され、最後は西田のアタックラインの踏み越しによりこの第3セットは26-24でフランスが取ります。

後がなくなった第4セット。

このセットもまたスタートから日本のサーブが走ります。フランスのOHクレブノをターゲットに関田、石川、西田にそれぞれサービスエースを決めてセット序盤を日本が有利に進めていきます。

一時、西田にトスミス(たぶん石川みたいに山内にクイックを上げたかったんだろうけど山内が跳んでなかった)とスパイクミスが続けて出てしまい逆転されますが、その悪い流れを石川のスパイクで切り、更に石川のアグレッシブなサーブで相手を崩してブレイクにも成功。再び日本がリードします。

そして中盤、髙橋藍の鋭いサーブが直接コートに返る!石川決める!!シネニエゼのクイックを藍が拾う!石川決める!!藍のサーブでフランスがハイセットになる!ヌガペトミスる!ヌガペトのスパイクをまた髙橋拾う!石川決める~~~~~!!!!!で一気に5連続ポイント!!

ここの場面は痺れました。髙橋のサーブ、レシーブもそうですが、この試合スパイクで苦しんでいた石川がようやく本来のパフォーマンスを見せてくれたと思えた瞬間でした。興奮しました。

その後も石川のスパイクなどで得点を重ねた日本が24-18でセットポイント。ここからクレブノの好サーブからフランスに連続ブレイクを許してしまうも25-22で第4セットは日本が取り切ります。

この時点で僕はもうかなりお腹一杯というか、手に汗ベタベタ握ってたし、心拍数も高くなっていたと思います。すごい、すごすぎるよ日本と。このまま本当にフランス倒して歴史を作っちゃうんじゃないかと本気で思ってました。だって選手たちが本気でそう信じさせてくれるんですから。

さ、運命の第5セット。15点先取なのでスタートダッシュに成功できるかどうかがカギになってきます。

そこでスタートダッシュに成功したのは日本でした。

しかもそこでセッター関田が選んだのが4セット目に1点も決めていなかったOH髙橋。まず髙橋がシャープなスパイクを決めてまずサイドアウトを切る。その後ブレイクの場面で山本がヌガペトのクロスを好ディグし、それをまた関田が髙橋にあげる。1度は拾われるも返ってきたボールを今度は山本がアンダーで髙橋に託す。藍ちゃん決める!!

1点返されたあと、続くサイドアウトの場面でも関田は髙橋、そしてまた決める!!更に続く髙橋のサーブで相手を崩してチャンスボールに。そんで今度は西田が決める~~~!と一気に4-1ろ3点リードの日本。大興奮。もうあれやん、フランスに勝つやん。

でもやっぱりフランスはフランスでした。すぐに石川がブロックで止められ、更にまた石川のスパイクが相手ブロックに引っかかってフランスに切り返される形で得点を許し、気づけば5-5と同点に。そしてS1ローテの場面で石川のライトスパイクが再度相手のブロックに捕まり6-7とついに逆転を許してしまいます。石川、頑張れ…!

そこからは日本は西田、フランスはサイドの3人を満遍なく使ってお互いサイドアウトを取って行きます。しかしブリザールのサーブからこのセット好調だった高橋のスパイクが相手ブロックに阻まれて11-9とついに2点差に離されてしまいました…。

ヤバい。13点までに1点差に追いつかないと負ける…。それまでに絶対ブレイク取るんや!!!絶対に!!!!!

13-11で迎えたリリーフサーバールアティのサーブがアウトになって13-12。関田のサーブ。ヌガペトが受ける。クレブノがスパイク。

西田ブロックゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!

13-13!!まだいける!!!

ここで14-13とフランスに先にセットポイントを取られて、日本はさっきブレイクを許したS1ローテでのサイドアウト。はぁ~ドキドキする…。でも石川が1本で決めきった!!流石僕らのキャプテン!!!

そいで石川のサーブ。まずボワイエのスパイクを凌ぐ。あ、ガペのパイプ来る…。

ネットぉぉぉぉぉぉぉ!?!!日本マッチポイントぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!15-14!!!

やばい、ヤバい瞬間来る?歴史的瞬間来る?

(;゚д゚)ゴクリ…

石川のサーブ。

ネットにかかる。15-15。いや切り替え。次サイドアウト。

サーブレシーブよし、山内のクイックあ拾われた…、ルゴフのプッシュ!

15-16。フランスマッチポイント。日本タイムアウト。

そうだブランさんの言う通りサイドアウトだ、行け龍神NIPPON。勝利のために!!!

クレブノのサーブ、石川ナイスパス!関田は西田を選択、頼むゴリラ!決めたゴリラァァァァ!!

16-16。

山内サーブ。ヌガペト拾う。ここでルゴフのクイック!!!ルゴフ、ここまでスパイクを10本も打ってなかったのにここで使ってくるとは。セッターブリザールは冷静だ。

16-17。

さあサイドアウトだ。

ルゴフに代わったジュフォイのサーブ。石川拾う、ナイスパス。関田は、西田!行け西田!!

あ、拾われた…。

……。

ヌガペトの超クロスが決まった。チャレンジもなし。

第5セットは18-16でフランスが取り、セットカウント3-2でフランスが勝利しました。

日本は負けました。龍神NIPPONの世界選手権はこれで終わりました。どんなに惜しくても負けは負けなのです。勝負の世界は厳しい。

しかし、正直ここまで素晴らしい試合を見せてくれるとは思っていませんでした。特に石川が試合全体を通してみると決して良い状態ではなかったにも関わらず、東京オリンピック金メダルで世界ランキング2位のフランス相手にここまでの試合をできたのは本当に素晴らしいし誇らしいです。

もうかれこれ20年近く日本代表を応援してきましたが、こんなに早くこんな日が来るとは、こんなに素晴らしい試合をする日本が見られるなんて思ってませんでした。応援し続けてきて本当によかった。本当にうれしいし誇らしい。選手、スタッフの皆さん本当にお疲れさまでした。

僕たちの予想を超える速度でどんどん進化している日本代表。この悔しさをバネにしつつ、この結果ポジティブに捉えて更なる進化をきっと見せてくれることでしょう。未来に希望しかない。本当にメダルは夢じゃないですね。パリ五輪でリベンジだ!!!

でもまずはしっかりと体を休めて怪我のないようにしてほしいと思います。怪我がいちばん怖いですからね。

またフランスチームにはぜひ世界選手権で優勝してもらって、「日本との試合が事実上の決勝戦だった」と言ってもらいましょう笑。

とにかく最高の試合でした。龍神NIPPONありがとう!!!

写真:FIVB

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