コラム

エストニアのロベルト君

2017年6月12日

現在ワールドリーグ2017が開幕中であるが、今回はその直前に行われていた世界選手権2018のヨーロッパ予選の話題から。ヨーロッパ予選は5月24~28日の期間に計6都市に分かれて開催され、1グループ6チームで争い、1位になれば出場権獲得し、2位は最終予選に進むというものであった。

私は、バルト三国のひとつであるエストニアの首都タリンの会場にて観戦を決行した。ホームのエストニアは4日目までは全勝であったが、最終日にロシアの文字通り厚い壁に阻まれて2位通過となり、最終予選に回ることになった。エストニアはロシアとの試合において、第1セットを先取し、第2セットも3点の差をつけて先に20点に乗せたが、その後ロシアのピンチサーバーにエース3本を含む怒涛の7連続得点を浴びせられて第2セットを失うと、それからは完全にロシアペースとなり、1-3(25-21, 21-25, 18-25, 19-25)での敗戦となった。

そんな中でも、ロシア相手に最後まで輝きを放っていた男がいた。それがロベルト君である。ロベルト・タット(Robert TÄHT)。93年生まれの23歳。ポジションはウィングスパイカー。身長は191cmとバレーボール選手としては小柄ではあるが、ロシアの高い壁に対し硬軟織り交ぜた巧みな攻撃を見せ、スパイク得点はチームの10得点、決定率も56%という高い数字を残した。またサービスエースも2本あり、エースでない場合も入れば必ずと言っていいほど相手のレセプションを崩していて、彼にサーブが回ってきた時には「何かやってくれる感」がとても感じられた。更にはロシアの強烈なサーブに対してリベロ以上のサーブレシーブ成功率を誇っていた。正にチームの核となる選手だった。いやはや、めっちゃかっこよかった。

サーブを放つロベルト君#9(筆者撮影)

実は、こういうタイプの選手がもともと好きなこともあって、ロベルト君ついても前から注目していたが、実際のプレーを見たのは今回が初めてだった。彼は2015/16シーズンからポーランドのルビン(Lubin)のチームに所属していることもあって、私がポーランドにいた2015年には会場で見るチャンスが数回あったのだが、不運なことに私が見に行く試合はことごとく出場機会がなく、見ることができていなかった(その次の2016/17シーズンは、シーズンを通してスタメンとして活躍していたようだ)。実際に見る彼は、私の想像よりもはるかに素晴らしい選手だった。ぜひ日本の選手にもお手本にしてもらいたい。

そんなロベルト君は、目下開催中のワールドリーグでもそのポテンシャルをいかんなく発揮している。エストニアはグループ3ではあるが、200cm超のチームメート達をさしおいて、彼はほとんどの試合でチームのベストスコアラーであり、決定率も50%以上(カタール戦はなんと77%!)、エースもほぼ毎試合とっているという正に大車輪の活躍である。チームもなんとかファイナイル4へと駒を進めることができたので、このままグループ3を制して昇格してもらいたいところである。そうすれば、来年日本チームと試合をし、日本のバレーファンにも少しは彼のことを知ってもらえるであろうから。頑張れエストニア!

エストニア・バレーチーム公式応援Tシャツ(筆者購入)

写真:FIVB

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