イタリア男子バレーボールリーグのプレーオフ準々決勝第4戦、石川祐希所属のミラノは現地時間3月24日(日)にピアチェンツァと対戦し、3-2(28-30, 25-27, 25-23. 27-25, 15-6)で勝利した。
石川祐希は先発出場し20得点の活躍だった。
第1セットスタメン
ミラノ
OH:カジースキ(ブルガリア)、石川
MB:ヴィテッリ(イタリア)、ロセル(アルゼンチン)
OP:レゲルス(ベルギー)
S:ポッロ(イタリア)
L:カターニャ(イタリア)
ピアチェンツァ
OH:ルカレッリ(ブラジル)、レアル(ブラジル)
MB:シモン(キューバ)、カネスキ(イタリア)
OP:ロマノ(イタリア)
S:ブリザール(フランス)
L:スカンフェーラ(イタリア)
※ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
MVP:OHオスニエル・メルガレホ
12得点(うちサーブ2、ブロック2)
アタック効果率42.87%
OH石川祐希
20得点(うちサーブ2)
アタック効果率30.71%
これでミラノは準々決勝通算2勝2敗とし、次の試合で勝利すれば準決勝進出が決まる。
プレーオフ準々決勝第5戦は日本時間3月27日(水)28時30分からピアチェンツァホームで行われる。
イタリアリーグHP: https://www.legavolley.it/
配信(VBTV、有料): https://www.volleyballworld.tv/home
トシキのコメント
この試合は現地で見届けました。
ミラノはこの試合に負ければ準々決勝敗退という背水の陣で挑んだプレーオフ第4戦。
会場はレギュラーシーズン中に来たときにはあまり埋まっていなかった2階席までかなり埋まっている盛況ぶりで、試合前からミラノ・ピアチェンツァ両サポーター熱気に包まれていました。
試合は第1セットから激しく競る展開。
ミラノはOH石川とOPレゲルス、ピアチェンツァはOPロマノを中心に点数を重ねていきます。
レゲルスが頼りになるのは本当に大きい。そして石川は記者席から見ても一段とプレーに気迫が乗っているようでした。
よりサーブで攻めることができていたのはミラノでしたが、ピアチェンツァはサーブレシーブが乱れても高い決定力でハイボールを決めてきます。
本当にお互いにサイドアウトとブレイクの応酬で、点差が開いたと思うとまた逆転してみたいな展開の繰り返しでずっと目が離せませんでした。
MBヴィテッリのサービスエースなどで24-23と先にセットポイントを取ったのはミラノでしたが、そこからOHレアルのスパイクで25-26とピアチェンツァが逆転。
そのまま最後はOHカジースキのスパイクがミスになって第1セットは28-30でピアチェンツァ。
第2セットは序盤OHカジースキのサービスエースなどで6-2とミラノがリードし、その後もピアチェンツァに点差を詰められつつも終盤まで20-17とリードを保ちます。
このセットも石川の気迫あふれるスパイクがよく決まっていました。
しかしOPロマノのサーブから彼のスパイクやサービスエースで4連続ブレイクを決めて20-22とピアチェンツァが一気に逆転。
この日のロマノは本当に何かゾーン入っているようなそんな印象でしたね。
しかしOH石川も負けじとエースを決めて2連続ブレイクで23-22と再逆転。元チームメイトの2人がバチバチにぶつかり合うアツい展開です。
そしてまた24-23と先にミラノがセットポイントを掴みますが、デュースとなったあとにリリーフサーバーのOPジローニがエースを決めて24-25とピアチェンツァが逆転。
そして最後はMBシモンのブロックで25-27としてこのセットもピアチェンツァが取ります。
1, 2セットとも先にミラノがセットポイントを取ってから逆転されるというとても嫌な流れで、雰囲気的にも完全にピアチェンツァペースでした。僕も正直このままストレートでピアチェンツァが勝つのではないかと思っていました。
第3セットも出だしこそMBロセルとOPレゲルスのサービスエースなどで9-4とミラノが大きくリードを広げるも、その後OHレアルのサーブからピアチェンツァの連続ブロックが炸裂。
OPレゲルスとOH石川がそれぞれ2連続でシャットを食らい、さらにSポッロがダイレクトスパイクをアウトにしてしまい9-10とピアチェンツァが逆転。「やっぱりミラノは厳しいのではないか」という雰囲気が会場を包んでいるように感じられました。
しかし選手たちは諦めていませんでした。
終盤にMBロセルがスパイクとブロックで得点して20-19とミラノが逆転すると、自らの強烈なサーブからの気迫のこもった石川のバックアタック、さらにOHカジースキに代わって入ったOHメルガレホが難しいハイボールを決めきり24-22とミラノがセットポイント。
そこから一度OH石川がパイプ攻撃をアウトにしてしまい24-23となりますが、次のボールは石川が確実に決めきって25-23で第3セットはミラノが取ります。
セットポイントを決めたあと、石川がチームメイトだけでなく観客を煽っていたのが印象的でした。そして観客もそれに応えて大声援を送ります。
勢いそのままに第4セットも序盤からミラノペース。
OPレゲルスの連続ブロックやMBロセルの連続サービスエースなどで9-5とリードします。
そのままOH石川やOHメルガレホでサイドアウトを決めて行ったミラノが20-17と終盤までリードを保ちます。
その後MBヴィテッリのスパイクで24-21とミラノが余裕を持ってセットポイントを握りますが、ここからOHルカレッリのスパイクとサービスエースなどで24-24とピアチェンツァが2連続ブレイクで同点に追いつきます。
ここで1、2セット目の展開が頭をよぎりましたが、最後はOH石川がサービスエースで27-25とし、ピアチェンツァの逆転を許しませんでした。凄すぎる。
第5セットは序盤からミラノのサーブ&ブロックが炸裂。
サーブレシーブの苦手な相手OHレアルをサーブで崩しながらOPレゲルスとMBロセルのブロックで5-2、さらにリリーフサーバーOHカジースキとOHメルガレホの連続サービスエースで10-4となすすべのないピアチェンツァをよそにミラノが一気に走ります。
その後もOH石川のスパイクやMBヴィテッリのサービスエースで14-5と一気にマッチポイントを握ると、最後はSポッロがOPレゲルスにボールを託し、そのまま決めきって15-6。
ミラノ大逆転勝利でした!!!!
いや、正直本当に3セット目の序盤まではピアチェンツァペースで、ロマノが絶好調だし、レアルをサーブで崩しても点数決められちゃうしでミラノはかなり苦しかったです。
それでも最後まで諦めずに果敢に攻めたサーブを打ち続けた結果、勝機を掴み取ることができました。
試合序盤で攻守ともにあまり貢献度が高くなかったOHカジースキに代わって入ったOHメルガレホが攻守に高いパフォーマンスでまず流れを変えてくれましたし、リベロのカターニャ、セッターのポッロと数字に表れにくい献身的なプレーで支えました。
第4セットのアンダーからの石川へのクイックなど流れを引き寄せるビッグプレーも後半には出ました。
試合後のインタビューで石川も言っていましたが、本当にミラノは全員で戦って全員でつかみ取った勝利だったと思います。
それでも、その中でひときわ歓声を受けていたのはやはり我らが石川祐希。
この日は熱狂的な人々が多い日本やアジアからのファンはそこまで目立たず、地元イタリア人のファンが多くを占めていたと思いますが、それでも石川のプレーは常に大歓声で多くの人々を魅了していました。
本当に彼は日本やアジアのみならず、名実ともに世界のスーパースターなのだなと感じられた一戦でした。
さて、準々決勝第5戦まであと2日。
2年連続ベスト4進出なるか。
彼らを信じるばかりです。
Photo: Legavolleyball, 筆者撮影