現地時間5月3日(土)にイタリアスーパーレガ5位決定戦決勝で、大塚達宣が所属するミラノとモデナが対戦し、3-1(18-25, 25-21, 25-19, 25-19)でミラノが勝利。この結果ミラノはリーグ最終順位を5位とし、来シーズンのCEVチャレンジカップの出場権を得た。
試合レポート
スタメン(P1から)
ミラノ:OH大塚、MBシュニッツァー、OPレゲルス、OHカジ―スキ、MBカネスキ、Sポッロ、Lカターニャ
モデナ:MBアンザーニ、Sデチェッコ、OHグティエレス、MBマティ、OPブケッゲル、OHダヴィスキバ、Lフェデリチ
第1セット:モデナがMBマティのサーブで大量リード
序盤からモデナがMBマティの2本のサービスエースやOPブケッゲルのスパイクなどで7連続ブレイクを決めて3-11と大きくリード。そこからミラノはMBシュニッツァーのスパイクやOHルアティのブロック、OPレゲルスのサービスエースなどで12-16と点差を縮める。しかしその後OHダヴィスキバのサービスエースなどで15-21と再びモデナが点差を広げると、最後はOPブケッゲルのブロックが決まって18-25でこのセットをモデナが取る。
第2セット:アタックが安定したミラノ、ミスが増えたモデナ
序盤はモデナがOHダヴィスキバのスパイクなどで得点を重ねて6-8と一歩前に出る。しかしOHカジ―スキのブロックとサービスエースで8-8とミラノがすぐに追いつくと、さらにOPレゲルスのスパイクやSポッロのブロック、OHダヴィスキバのアタックミスなどで15-9とミラノが逆転でリードを広げる。その後モデナは何度かブレイクをするもミスが出て流れに乗れず、ミラノはOH大塚のスパイクなどで得点してリードを保つ。最後はMBシュニッツァーのスパイクが決まり25-21でミラノがセットを取り返す。
第3セット:アタックミス7点でモデナが自滅
ミラノが出だしからOPレゲルスのブロックやモデナのアタックミスで3-0とリードすると、さらにモデナのアタックミスやOHカジ―スキのスパイクなどで11-5とミラノが点差をさらに広げる。そこからモデナはOHダヴィスキバのサービスエースやOHグティエレスのブロックなどで12-11と点差を詰める。しかし再びモデナにミスが続くなどして20-15とミラノが再び点差を広げる。その後OPレゲルスらで得点を重ね、最後はMBシュニッツァーのクイックで締めたミラノが25-19でこのセットを取り切る。
第4セット:効果的なサーブ&ブロックでミラノが主導権を握る
モデナがMBマティの2本のサービスエースなどで1-4と先行する。しかしミラノがOH大塚のサーブから連続ブレイクを決めて4-4とすぐに同点に追いつくと、さらにOPレゲルスのスパイクやブロックで12-8と逆転する。その後もOPレゲルスとOHカジ―スキを中心に高いアタック決定率で得点を重ねていったミラノがリードを保ち、最後はOPブケッゲルのサーブミスで25-19でミラノがこのセットを取り切った。
この結果ミラノが3-1でモデナに勝利した。
試合のポイント

①ミラノのブロック対モデナのサーブ
主にミラノはブロック、モデナはサーブでブレイクポイントを取っていた。ミラノは計11点のブロックポイント(うちOPレゲルスが5点)、モデナは計9点のサービスポイント(うちMBマティが5得点)をそれぞれあげ、試合を通してこの傾向は続いた。
②アタックを改善させたミラノ
ミラノのチームアタック効果率(= (得点-失点)/打数)は第1セットはわずか5%とかなり低かったが、2セット目以降は55%、41%、44%と大きく改善された。特にOPレゲルス(アタック11得点)とOHカジ―スキ(10得点)が好調を保った。
③アタックミスで自滅したモデナ
モデナは1セット目にはミラノがどうしようもないほど完璧に近い試合運びを見せたものの、2セット目は5点、3セット目は7点もアタックミスによって失点しほぼ自滅でセットを逃した。4セット目にはその点は改善されたが、調子を取り戻したミラノのサーブ&ブロックの前に思うように得点できず、サイドアウトに苦しんだ。
注目選手の活躍
OPフェレ・レゲルス(ミラノ、MVP)

17得点(アタック11、サーブ1、ブロック5)、アタック効果率42%
1セット目はアタック得点なしと影を潜めていたが、2セット目以降は本来の得点能力を発揮。やはり特にハイボールの場面で一番信頼のあるアタッカーで何度も窮地を救った。またこの試合ではブロックでも存在感を発揮し、ひとりでブロックポイント5得点をあげた。特に相手のOHダヴィスキバに対して大きくプレッシャーを与え、それが彼のミスを誘うことにもなっただろう。
OH大塚達宣

4得点(アタック4)、アタック効果率13%、サーブレシーブ成功率47%
この試合では得点面での貢献は大きくなかったが、持ち前のディフェンスでチームを下支えした。また4セット目にはゾーン2(フロントライト)付近へのコントロールサーブが効果的でブレイクチャンスを作った。
MBパルド・マティ

13得点(アタック6、サーブ5、ブロック2)、アタック効果率33%
敗れたモデナの中で、強烈なサーブで印象を残したマティ。5本のエースに加えて多数のブレイクも稼ぎ、1セット目を取れたのはほぼ彼のおかげと言っても過言ではないだろう。まだスパイクやブロックは発展途上ではあるが、2006年生まれの19歳なので将来が非常に楽しみ。ちなみにこの試合はマティ対マテイ(・カジ―スキ)対決でもあったりした(笑)。
トシキのコメント
ミラノは5位決定戦予選でモデナに0-3で敗れていて、この試合でも1セット目はモデナがほぼ完璧な試合運びを見せていたので、正直「これはこのままモデナが勝っちゃうかな」と思った。しかし見事に自滅した。
サーブは上記のMBマティを筆頭にかなり走っていてミラノを崩せていたし、一方でモデナのサーブレシーブは堅かった。それでも計13本という多すぎるアタックミスですべて台無しになってしまった。もちろんミラノのブロックのプレッシャーからミスをしてしまったとも言えるかもしれないが、それにしても多い。
逆にミラノは計3本と非常にミスが少なくチャンスを逃さなかった。モデナのミスが改善された4セット目は完全にミラノの実力勝ちだったと思う。
今のモデナはかつてのBIG4の一角だったときの面影はもうない。いい選手は揃えてはいるものの、チームになりきれてないという印象を受ける。来季はOHポッロ(ミラノのSポッロの弟)とLペリーという僕のお気に入りの選手たちが加入予定であるので、ポジティブな変化に期待。
またミラノはこれで来季のCEVチャレンジカップ出場権を獲得し、3季連続で欧州大会への出場を決めた。大塚も来季はそのままミラノに残りそうであるし、現実的にタイトルが狙える大会であるので頑張ってほしい。石川がミラノ1年目で獲得したタイトルがこれだった。ただミラノは来シーズンメンバーが大きく変わるようなので、チームがどう変化するのかはまだ未知数である。ただレゲルスは残ってくれそうなのでそこは安心。
本当にミラノが5位でシーズンを終えることができてよかった。石川祐希という名実ともにチームの顔だった選手が抜け、怪我等でチーム力が安定せずにチームとして難しいシーズンだったと思うが、最後にしっかり勝ち切れるチームに仕上がったことは本当によかったと思う。またキャプテン・ピアノの現役引退にも花を添えることができただろう。

大塚はこれから帰国して金曜から大阪ブルテオンの選手としてアジアチャンピオンズリーグに出場するみたい。ブルテオンはジェスキーがこの大会を前に退団してしまったし、ティリ監督最後の舞台に花を添えるためにも大塚の力も必要だったのだろう。それにしてもタフだな(笑)。
決勝戦でイタリアで実現しなかった大塚達宣vs髙橋藍が日本で見られるとアツい。
関連リンク
試合スタッツ▼
https://www.legavolley.it/match/38996
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Photo: legavolley.it