ギリシャリーグで日本人2人が所属するチームが快進撃を続けている。セッターの山本龍とリベロの谷口渉が所属するミロンだ。
レギュラーシーズンを3位で終えたミロンは、同2位のオリンピアコスとプレーオフ準決勝を戦っている。プレーオフは上位チームからのホーム&アウェイ方式で争われ、先に3勝した方が決勝に進むことができる。
オリンピアコスはレギュラーシーズン2位と言っても、今シーズンに行われた国内3つのカップ戦すべてで優勝、チャンピオンズリーグではポーランド1位のヤストシェンブスキに敗れてベスト8に終わったがそこにも試合では1度勝っている。つまりこのリーグ戦でも優勝候補の筆頭だ。メンバーにもセルビア代表のOPアタナシェビッチ、スロベニア代表のMBパイェンク、元イタリア代表のSトラヴィッツァなど年齢層高めながら実力と経験を備えた選手たちを揃えている。
一方のミロンは若手中心のチームで、トップクラブやナショナルチームでの経験が豊富な選手はほとんどいない。唯一OPカイル・ラッセル(アメリカ)がそれに近い選手だったが、彼はプレーオフを前に韓国リーグのチームに怪我人の代わりとして引き抜かれてしまった。
実際にプレーオフに入る前まで、今シーズンのミロンはオリンピアコスに一度も勝てていなかった。そしてそのままオリンピアコスホームで行われた準決勝第1戦は3-0のストレートでオリンピアコスが勝利した。
しかしミロンホームで行われた第2戦ではミロンが決定率の高いアタックとサーブでオリンピアコスを圧倒し逆に3-0で勝利。MVPには高いチームアタック決定率を引き出したセッターの山本龍が選ばれた。
ただ第3戦はまたしてもオリンピアコスが3-0で勝利。僕が見たのはそんな後がない中迎えたミロンホームの準決勝第4戦であった。
試合は土曜日の20:30から試合開始だったので、その1時間前くらいに会場入りした。体育館はアテネの中心地から路面電車で約30分とアクセスも良好。外はまだかすかに明るかった。

ミロンの体育館はとにかく天井が低い(笑)。天井が中心に向かって反り下がっているので、外観以上に低い。日本の公立小学校の体育館のほうが高いのではないかと思う。片方は配管用パイプがあってもっと低い。でもこれがかなりのホームアドバンテージになっていることを後ほど知ることとなる。
席数も少ない。ウィキペディアには1300席と書かれてあったが、コートサイドベンチ側は関係者とメディアの席になっていたので、事実上開放されていたのは700~800席分くらいだっただろうか。ただ試合開始直前には席はかなり埋まっていた。ちなみにチケットは自由席で一律10ユーロ(約1600円)。現地在住であろう日本人のお客さんも何名か見受けられた。
そんな中選手が入場してウォーミングアップが始まった。日本人が2人いるからといって特にベタついているわけでもなく、各々がチームメイトとコミュニケーションを取りながらウォーミングアップをしていた。まあ普通に考えるとそうだよな。お互いに初海外ではないし、もうシーズン最終版だし。
あとこの体育館は大きさや構造上の理由だろうがボールの打音がよく響いてた。また応援団やDJはいなかったが、観客による自発的な応援(とブーイング)で会場もかなりの熱気を帯びていた。(試合中にミロンのスタッフが観客席にブーイング用のラッパを配っているのは笑った。)
そうして試合開始。S山本、L谷口共にスタメン出場。

第1セット、序盤はOPナノポウロスのスパイクやMBリナルドスのブロックで9-6とミロンがリード。そこからOPアタナシェビッチのサーブとスパイクなどでオリンピアコスが3連続ブレイクを決めて10-11と逆転する。しかしOHコトサキスのブロックで14-13とすぐにミロンが再逆てんすると、さらにオリンピアコスのミスが続いて20-16とリードを広げる。その後もOPナノポロウスらで得点を重ねたミロンが25-20でこのセットを取る。
第2セット、序盤はお互いにブレイクしながらも大きく点差が開かないまま13-13と試合が進む。そこからOHペリンのスパイクなどでオリンピアコスが14-17とリードするも、OPナノポウロスのアタックや(相手のパスが低い天井に当たっての)連続サービスエースが決まり20-18とミロンが逆転。ただその後またOPアタナシェビッチのサービスエースやスパイクで22-23とオリンピアコスが再逆転してしまう。しかしサイドアウトで23-23と並んだ直後にS山本が2連続エースを決めて25-23でこのセットもミロンが取る。
第3セット、出だしからOPナノポウロスのスパイクやエースで5-0とミロンが一気にリード。その後MBリナルドスの連続ブロックなどで9-1と最大8点差まで広げる。そこからOHペリンのアタックやブロックで10-5、14-13とオリンピアコスが点差を縮め、さらにOHペリンのサービスエースで17-18と逆転する。しかし終盤に再びOPナノポウロスが2連続エースを決めるなどして23-20とミロンが再度リードを広げると、最後はOHコトサキスのブロックが決まり25-21でこのセットも取り切ったミロンが、3-0で試合に勝利した。
