ヤストシェンブスキ・ヴェンギェル(ポーランド)に所属するバンジャマン・トニウッティ選手にお話を伺いました(取材日:3月27日)。
トニウッティ選手はフランス出身のセッター。
183cmとセッターとしても小柄ながら卓越した技術で東京とパリのオリンピック2連覇に貢献したほか、ネーションズリーグやヨーロッパ選手権など約20年間の代表キャリアで多くの優勝・メダルを獲得しました。
クラブキャリアでも輝かしい成績を残しました。特にポーランドリーグでプレーした11シーズンではリーグ優勝5回、ポーランドカップ優勝4回、ヨーロッパチャンピオンズリーグ優勝1回を果してポーランドリーグ史上もっとも偉大な外国人選手と評されています。

トシキ:SNSで中野選手(ポーランドリーグのリヴィウでプレー)があなたのフランス代表ユニフォームを持っている姿を見ました。あなたが彼にプレゼントしたのですか。
トニウッティ:はい。きっかけはムッセ・ゲイエ(フランス代表で中野選手のチームメイト)でした。彼らのホームでの試合前の練習時に彼が私の代表でのプレー動画をたくさん見ているとゲイエが教えてくれたんです。そして彼を驚かせようと、彼らが自分たちのホームに来たときにパリオリンピックのときのユニフォームを彼にプレゼントすることを計画しました。
実際に手渡したときは私もとても嬉しかったです。私にも若いころに何人か憧れている選手がいて、似たようなことがありましたから。特に彼は今季初めてヨーロッパでプレーしたので、彼にとってもいい思い出になってくれていることでしょう。
I got a treasure. 🤘🏽🥹 pic.twitter.com/z4RbCHt1gE
— yamato nakano (@16__yaaman) February 26, 2026
トシキ:中野選手だけでなく備選手(ポーランドリーグのヘウムでプレー)もあなたことを憧れの選手だと言っていましたよ。
トニウッティ:はい、それも知っています。リベロの選手がセッターである自分を大好きだと言ってくれているのは少し不思議な感じです(笑)。私に置き換えるとジェニア・グレベンニコフ(フランス代表リベロ)がアイドルだと言っているようなものですから。でも日本の選手たちが私を好きでいてくれていることはとても嬉しいです。日本ではフランス代表で多くの試合をしました。日本は美しい国なので、日本に行くことは毎回楽しみです。日本の人々のことも大好きです。また日本のリーグもとても盛り上がっていますね。本当にすばらしいですし、この調子で続いていってほしいですね。
トシキ:日本のリーグもよく見ていると以前おっしゃっていましたね。
トニウッティ:はい。朝起きて日本の試合を前に朝食を取るのが私の週末の決まった儀式です。こっちの朝7時か8時くらいによく試合をやってますからね。多くの試合を見ていますが、アントワン(・ブリザール)やティム・カールといったフランス人選手の試合やルチアーノ・ヴィセンティンやノルベルト(・フベル)といった友人たちの試合を特によく見ます。多くの試合を見るようにしていますが、シーズン終盤になってさらに面白くなっていくでしょうね。特にアントワンのチーム(大阪ブルテオン)とムセルスキーのチーム(サントリーサンバーズ大阪)を優勝候補として注目しています。
トシキ:今シーズンはブリザール選手がとても人気で、大阪ブルテオンのユニフォームでブリザール選手のものが一番売れています。
トニウッティ:それは知りませんでした。でも彼が人気になるのは想像できます。おそらく彼のようにブロックやサーブで多く得点できる、とても高さのあるセッターは日本では珍しいでしょう。それが日本のリーグにとっては新鮮でしょうし、また単純に彼はセッターとしてもすばらしい選手です。だから彼に人気が出たことは不思議ではありません。

トシキ:逆にあなたのように身長がそれほど大きくなくても世界でトップレベルのセッターになるには何が一番大切だと思いますか。
トニウッティ:まず一番大切なことは自分を信じることです。誰かに無理だと言われても、自分はすごいセッターになれると信じることです。そして選手生命でその夢を掴むにはいい練習をすること、特にセット(トス)の精度にこだわることです。なぜなら高さのない選手が本当に優れたセッターになるために非常に大切なことだからです。また自分のチームにいいサイドアウトをもたらしたり、他の選手たちに更なるエネルギーや自信を与えてチームをより強くすることもとても大事なことですね。
またトニウッティ選手は先日自身のSNSでフランス代表からの引退を発表されました。
「このユニフォームを着て約20年、フランス代表のキャリアに終止符を打つことを決意しました。
20年間の人生、感情、そして出会い… こんなにも多くの幸運に恵まれたことを、今でも信じられないほどです。このユニフォームを着て、ラ・マルセイエーズ(フランス国歌)を聴き、フランス代表のユニフォームを身にまとう… それは夢以上のもの、私の一部でした。
忘れられない勝利、不安な瞬間、喜び、悲しみ… 何よりも、私の心に永遠に刻まれた思い出があります。このユニフォームを着て過ごしたすべての夏、すべての試合、すべての得点は、私の心に永遠に残るでしょう。
心から感謝の気持ちを伝えたいです。
最初からずっと私を支え、どんな時も、どんなに辛い時も応援してくれた家族に感謝します。
どんな状況でも、いつもそばにいてくれた友人たちに感謝します。
長年にわたり、共に働く機会に恵まれたすべてのスタッフの皆様へ。コーチ、トレーナー、理学療法士、医師の皆様…皆様の尽力、信頼、そしてこの道のりを支えてくださったすべてに感謝いたします。
共にコートに立ったすべての選手たちへ…共に戦ったこと、勝利を分かち合ったこと、かけがえのない瞬間をありがとう。君たちは私のキャリアを形作ってくれた。そして、多くの選手にとって、それはそれ以上のものだっただろう。
そして、ファンの皆様へ…皆様のエネルギー、メッセージ、そして忠誠心…想像以上に私を支えてくれました。この道のりを通して、皆様は信じられないほどの力でした。
フランス代表を離れることになりますが、代表が私に与えてくれたすべては、永遠に私の心に残るでしょう。
誇り。感謝。感動。
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ベン・トニウッティ」
Photo: PlusLiga, Volleyball World