東京五輪金メダルのフランス人、ティリ新監督の指揮のもと始動したバレーボール男子日本代表。
石川祐希、髙橋藍らパリ五輪でスタメン組は第3週千葉大会から合流となっていたため、ここまでは代表でのプレー経験の少ない選手がほとんどのチームで挑むこととなった。
そのためか第2週までは勝率50%を目標として臨んだが、第1週は中国、セルビア、オランダを下し、第2週はフランスとスロベニアを破り、現在5勝3敗と勝ち越し中。
また予選ラウンドの順位も現在18チーム中4位のファイナルラウンド出場圏内である。
ここまでの試合結果
第1週:西安(中国)
vs 中国
〇3-0 (25-23, 25-14, 25-22)
vs ポーランド
●1-3 (25-27, 22-25, 25-18, 37-39)
vs セルビア
〇3-0 (25-20, 25-23, 26-24)
vs オランダ
〇3-0 (25-18, 25-23, 25-18)
第2週:ブルガス(ブルガリア)
vs ブルガリア
●0-3 (25-27, 23-25, 19-25)
vs フランス
〇3-2 (25-22, 19-25, 22-25, 25-20, 15-11)
vs ウクライナ
⚫︎2-3 (24-26, 17-25, 18-25, 25-22, 13-15)
vs スロベニア
〇3-0 (27-25, 25-15, 25-16)
第2週を終えての順位
1 ブラジル 7勝1敗 20P 23/8セット
2 ポーランド 6勝2敗 18P 21/10セット
3 イタリア 6勝2敗 17P 21/12セット
4 日本 5勝3敗 15P 18/11セット
5 フランス 5勝3敗 15P 19/12セット
6 ウクライナ 5勝3敗 15P 19/14セット
7 アルゼンチン 5勝3敗 13P 17/15セット
8 ドイツ 4勝4敗 15P 19/16セット
9 キューバ 4勝4敗 13P 18/17セット
10 イラン 4勝4敗 12P 17/18セット
11 ブルガリア 4勝4敗 11P 14/15セット
12 スロベニア 4勝4敗 11P 13/16セット
13 アメリカ 4勝4敗 10P 13/17セット
14 カナダ 3勝5敗 11P 15/17セット
15 中国 2勝6敗 7P 8/19セット
16 トルコ 2勝6敗 6P 8/18セット
17 オランダ 1勝7敗 4P 9/22セット
18 セルビア 1勝7敗 3P 7/22セット
アタック、サーブ、サーブレシーブが好成績を支える
第2週までの日本のバレーボールはアタックの決定力、サービスエース数の多さ、そして堅いサーブレシーブに支えられている。
まずアタック。チームアタック決定率49.3%は18チーム中3位、アタック効果率(=(得点ー失点)/打数))で見ても35.3%で4位と高い。
日本のアタック得点をけん引しているはオポジットの宮浦健人。チーム最多101点は、全体でも7位の得点数だ。第2週までのチームでは代表での経験値が一番多く、実際に勝負どころで託されたハイボールを強烈に叩き込んで何度も得点に変えた。
アウトサイドヒッターでは大塚達宣が72得点、アタック効果率40%は日本のサイドアタッカーではトップの数字だ。ミドルブロッカーでは佐藤駿一郎が28得点、アタック効果率61%と存在感を見せた。
もちろん今大会メインでセッターを務める、大宅の安定したパフォーマンスがあったことも付け加えておく。

次はサーブ。日本は1セット当たりのサービスエース数が1.48本で全体の2位と今大会はサーブが好調だ。
そのサービスエース数をリードするのもやはり宮浦。ここまでチーム最多、全体でも7位の11本のエースを決めている。
そこにアウトサイドヒッターの甲斐優斗の9本、富田将馬の6本と続く。またリリーフサーバーでの出場も多かった山崎彰都、ハイブリッドサーブでブレイク率の高った佐藤もそれぞれ4本ずつエースを決めた。
最後にサーブレシーブ。サーブレシーブ成功率は52%で3位、更に特筆すべきはサーブレシーブでの失点、つまりサービスエースを取られた数が1セットあたり0.76本と一番少ない。
そんな堅いサーブレシーブを支えるのは富田とリベロの小川智大。それぞれ61%、59%の高いサーブレシーブ成功率でベストレシーバーランキング2位と5位にランクインもしている。
また失点の少なさで言えば大塚が健闘。チーム最多の113本のサーブを受けながら失点がわずかに3点をチームを下支えした。
このようにアタック、サーブ、サーブレシーブの高いパフォーマンスが、主力不在のチームでも4位という好成績につながっている。
ここまでの個人的MVP×2
宮浦健人

ポジション:オポジット
117得点(アタック101、サーブ11、ブロック5)
アタック効果率:34%
我らが宮浦様。
ここまで全8試合でスタメン出場。190cmと全チームのオポジットの中で最小であるが、そのサイズを感じさせない高いジャンプからパンチ力抜群のスパイクとサーブを放って得点を量産した。
アウトサイドヒッターが得点に苦しむ中も、大会を通して安定したパフォーマンスを見せた。特にここぞという場面で難しいハイボールを決めきって何度もピンチを救った。
石川らが合流した後でもスタメンとしての活躍が期待されるため、被ブロックなどこれまでの課題を修正し、第3週とファイナルラウンドでの更なる覚醒に期待したい。
小川智大

ポジション:リベロ
サーブレシーブ成功率:59%
宮浦と共に全8試合すべてでスタメン出場したもう一人の男。
サーブレシーブでは普通ならエースを取られてもおかしくないサーブを何度も難なくAパスで返球。ディグでは至近距離のストレートスパイクをはじめ驚異的なポジショニングと反応で何度もピンチをチャンスに変えた。
また第2のセッターとしてジャンプセットからアタッカーに丁寧で打ちやすいセットを供給。ミドルブロッカーへBクイックをあげて得点にする場面もあった。
さらに試合中には積極的に声掛け、指示出しを行い、第2の監督としても日本のフロアディフェンスを支えていたように思う。
ここまで全チームで見ても小川がベストリベロ。