バレーボールネーションズリーグ2025男ファイナルラウンドの3位決定戦が8月3日(日)に寧波(中国)で行われ、ブラジルがスロベニアを3-1 (23-25, 25-20, 25-23, 25-19) で下して3位に輝いた。
試合概要
第1セットはOPアランやMBマテウスのアタックで得点を重ねたブラジルが中盤までリードを保ちながら試合が進んだが、スロベニアがOPシュテルンのアタックやOHモジッチのアタックやブロックで終盤に逆転し、23-25で先取。
第2セットは計5本のブロックや、OHオノラトのアタックとサービスエースなどで得点を重ねたブラジルが終始リードする展開。スロベニアもOHモジッチのアタックなどで奮起するも、チーム全体としてミスも多く、25-20でブラジルがセットを取り返す。
第3セット、OPムヤノヴィッチのアタックやブラジルのミスなどでスロベニアが3-8と序盤で大きくリードするが、MBマテウスの連続ブロックなどで10-10とブラジルがすぐに追いつく。そこからブラジルはOPアラン、スロベニアはOHモジッチらで得点を重ねて23-23と試合が進むが、スロベニアのサーブミスでブラジルがセットポイント握ると、2枚替えで入っていたOPダルランが最後にサービスエースを決めて25-23でブラジルがセットを取り切る。
第4セット、ブラジルがOPアランのアタックやMBフラヴィオのブロック、またスロベニアにミスも重なり中盤に16-11とリードを広げる。スロベニアは2枚替えをして打開を図るも、その後もブラジルが多彩な攻撃でサイドアウトを重ねていき、最後はスロベニアのサーブミスで25-19として3-1でブラジルが勝利した。
ブラジル - スロベニア
3-1 (23-25, 25-20, 25-23, 25-19)
ブラジル
先発:OHルカレッリ(7)、MBマテウス(11)、OPアラン(18)、OHオノラト(5)、MBフラヴィオ(8)、Sフェルナンド(2)、Lマイキ
途中:Sマテウス(0)、OHアドリアーノ(0)、OHアルトゥル(9)、OPダルラン(4)
スロベニア
先発:OHモジッチ(21)、MBクジッチ(0)、OPシュテルン(10)、OHシュテルン(5)、MBコザメルニク(5)、Sプラニンシッチ(2)、Lコヴァチッチ
途中:OHブラチュコ(1)、MBシュタレカル(5)、OPムヤノヴィッチ(9)、Sナイディッチ(0)
試合スタッツ▼
https://vnlm.volleystation.com/en/matches/2227713/
個人的MVP
マテウス・ビスポ(Matheus Bispo)

ミドルブロッカー
208cm
11得点(アタック6、ブロック4、サーブ1)
アタック効果率 55%
オポジットのアランに次ぐ11得点の活躍でチームの銅メダルに貢献したミドルブロッカー。高さのあるブロック、キレのあるクイック、パワフルなサーブでそれぞれ得点し、スロベニアチームに大きなプレッシャーを与えた。ファイナルラウンド全体でも、ブロッカーランキング2位タイ、サーバーランキング2位タイと堂々たる数字を残した。惜しくもベストミドルブロッカー賞は逃したが、それに類する活躍だった。
ロク・モジッチ(Rok Možič)

アウトサイドヒッター
200cm
21得点(アタック18、ブロック3)
アタック効果率 30%
両チーム最多得点。この試合ではパッション溢れるパワフルなモジッチらしいモジッチが随所に見られた。攻撃面だけでなく守備面でも安定感を見せ、攻守ともにチームを支えた。残念ながら昨年に続きVNLは今年も4位で大会を終えたが、モジッチファンの多いフィリピンでの世界選手権でまた暴れる姿を見せてほしい。
トシキのコメント
ブラジルはマイキ、スロベニアはコヴァチッチとリベロ中心に超チームともディフェンスが非常によく、なかなかアタック得点を決められずにラリーが続く試合だった。フルセットまで進まなかったにも関わらず、試合時間が2時間を超えたこともそれも物語っている。
下馬評ではブラジルが大きく優勢だっただろう。
実際にブラジルリードで1セット目は進んで行ったが、終盤で一気にスロベニアが逆転して取り切った。その勢いのまま2セット目も行くかと思われたが、2セット目はあっさりとブラジル。
3セット目序盤はまたスロベニアリード。この時点でこのままスロベニアが3、4セットを取って銅メダルを取るのではないかと思った。準々決勝でのフランス戦も1、3、4セットを取って勝利したし、モジッチの調子がよさげであったのでとても勢いが見られた。
しかしマテウスのブロックから同点に追いつきシーソーゲームに。最後の24-23の場面からのダルランの渾身のサービスエースは圧巻だった。
4セット目は序盤は競った試合となったが、途中でスロベニアの集中力が切れた感じがあった。もしくはギアを上げてきたブラジルに対してついていけなくなってしまったというべきか。いずれにしても中盤で一気に点数が離れ、その後スロベニアは点差を縮めることができなかった。
正直この日のブラジルはそれほどよい状態ではなかったと思う。実際にスタメンで出ていたアウトサイドヒッターのふたり、ルカレッリとオノラトのアタック効果率は低調だった。
しかしサーブ&ブロックが上手く機能していたし、オポジットのアランが安定していたことや、セッターのフェルナンドが積極的にミドルを使って印象付けられていたのがよかった。また途中から入ったアウトサイドヒッターのアルトゥルのパフォーマンスもよかった。
一方のスロベニアは上述のとおりモジッチの調子が非常によかったが、一方で同じアウトサイドのジガ・シュテルンが攻守のパフォーマンスに苦しみ、オポジットもトンチェク・シュテルンとムヤノヴィッチのどちらもパフォーマンスが安定しなかった。
またスロベニアは試合後半に進むにつれてセッターのプラニンシッチのセットの質が低下し、アタッカーが上手く打ちきれない場面が度々見られた。4セット目に控えのナイディッチが入っても、彼のセットもやや低くアタッカーを活かしきれていなかった。そういう意味で最後にはセッターの差が出てしまったと言えるだろう。
ブラジルがVNLで4年ぶりのメダル、主要世界大会としても2022年の世界選手権での銅メダル以来3年ぶりのメダル獲得となった。
予選1位通過で他チームに比べると完成度の高いバレーボールを見せていたブラジルだが、ベルグマンやアルトゥルなど若手の成長、怪我明けのルカレッリのコンディション向上など、世界選手権に向けての伸びしろもまだまだ多い。
スロベニアは昨年同様に3位決定戦で敗れての4位と悔しい終わり方となったが、ウルナルトやロプレットなど昨年まで主力メンバーの半数が不在の若手中心のメンバーでここまでたどり着いたことは非常にポジティブに考えてよいだろう。
筆者自身もこのメンバーでベスト8に上がることすら予想できていなかったし、ましてや準々決勝でフランスを倒したのはとても大きなサプライズだった。
両チームともに世界選手権までに完成度を高めて、フィリピンではより質の高いバレーボールを見せてくれることを期待している。
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Photo:FIVB