パリ五輪予選プールB、バレーボール日本代表は現地時間7月28日(日)にポーランドと対戦し1-3(25-20, 22-25, 23-25, 26-28)で敗れた。
スターティングメンバー
ポジション:OH=アウトサイドヒッター、MB=ミドルブロッカー、OP=オポジット、S=セッター、L=リベロ
カッコ内は得点
日本
OH:古賀(26)、石川(16)
MB:山田(6)、荒木(4)
OP:林(4)
S:岩崎(1)
L:小島、福留
途中出場:OP和田(13)、MB宮部(3)、OH井上(2)、S関(1)
ポーランド
OH:ウカシク(8)、メンジク(6)
MB:コルネルク(20)、ユルチク(6)
OP:スティシアク(18)
S:ヴォウォシュ(1)
L:シュチグウォスカ
途中出場:OPスマジェク(6)、OHチルニアンスカ(2)、Lステンゼル、Sヴェネルスカ
試合レポート
第1セット
序盤はお互いにサイドアウトを重ねて9-9と競ったまま試合が進む。そこからOPスティシアクのスパイクとブロックでポーランドが9-11と抜け出すが、日本がOH古賀の3連続スパイクで16-15と逆転する。さらに終盤にMB荒木のブロックやリリーフサーバーMB宮部のサービスエースなどで日本が連続得点を決めて24-19と5点差をつけてセットポイントを迎える。最後はOH古賀がスパイクを決めて25-20でこのセットを日本が取る。
第2セット
序盤は日本がOH石川やOH古賀のスパイクで9-7とリードする。そこからMBコルネルクのスパイクやブロックなどで10-12とポーランドが逆転するも、MB山田のブロックやOH古賀のアタックで14-13と日本が再び逆転する。しかしOHメンジクのサービスエースやOPスティシアクのスパイクなどで18-21とポーランドが逆転すると、そのまま最後はOHメンジクがスパイクを決めて22-25でこのセットをポーランドが取る。
第3セット
日本はスタートからMB荒木に代えてMB宮部を起用。ポーランドが出だしからOPスティシアクのスパイクなどで連続得点を決めて2-6とリードすると、さらにOHウカシクのブロックとスパイクで3-9とリードを広げる。日本はここでOP和田、また7-13の場面でS関をコートに送る。しかしその後もOPスティシアクのスパイクやOHメンジクのブロックで11-19とポーランドがさらにリードを広げる。日本はここからレシーブから切り返してのOP和田やOH古賀のスパイクなどで19-22と点差を縮めると、さらにOH石川のスパイクなどで23-24と1点差まで迫る。ただ最後はOPスティシアクにセットポイントを奪われ23-25でこのセットをポーランドが取る。
第4セット
序盤からOH石川とMB宮部のサービスエースなどで6-3と日本がリードする。その後ポーランドがMBコルネルクの連続ブロックで10-11と逆転すると、さらに日本にミスが重なり13-16とリードを広げる。終盤にも日本に連続ミスが出て18-22となるが、S関のレシーブエースやOH古賀のスパイクなどで23-23と同点に追いつき、さらにOH古賀がOPスティシアクをブロックで止めて25-24とセットポイントを握る。しかしOHメンジクが連続でスパイクを決めて26-27とポーランドがマッチポイントを握ると、最後はOHメンジクのサービスエースが決まり26-28でこのセットをポーランドが取り切った。
この結果日本は2-3でポーランドに敗れた。
TOSHIKI’S MVP
ポーランド:MBアグニェシュカ・コルネルク
20得点(うちブロック8)、アタック効果率61.11%
驚異的なブロックと決定率の高いクイックでオポジットのスティシアクを抑えてチーム最多得点をあげたミドルブロッカー。200cmの身長を活かしたリードブロックは特に日本のパイプ攻撃を何本も止め、クイックでは高い打点でブロックの上からエンドライン付近の長いコースに打って日本の守備に対応させなかった。
日本:OP和田由紀子
13得点、アタック効果率52.17%
途中出場で流れを変え、特に第3セットは8点ビハインドからあと1点でデュースというところまで追い上げる起爆剤となった。決定力の高いライトからのスパイクとバックアタック、そしてパワフルなサーブはやはり魅力。しかしネーションズリーグの準決勝のようにチームを勝利に導くことは今回はできなかった。
解説
第1セットはOH古賀のスパイクが前後関係なくよく決まり、またサーブが走ったことで日本が取ることができた。
しかし第2セットはポーランドのサーブとブロックが改善されたほか、Sヴォウォシュがクイックを多用し上手くサイドアウトを取れていた。一方日本はその影響で特にOH古賀とOP林のアタック効果率が下がり苦しい展開となった。
第3セットは途中までは引き続きポーランドペースだったが、途中から入ったOP和田のスパイクがよく決まり、そのおかげでOH古賀とOH石川のスパイクの数字も改善されて日本が後半一気に追い上げた。しかしOPスティシアクを最後まで止められなかった。
第4セットはそのOPスティシアクを完全に抑えることができ、またサーブもよく走った。しかし日本もOH古賀がMBコルネルクに複数回止められた他、もったいないミスが重なったこともありあと1点を取り切ることができなかった。
特に自分たちのミスによる失点が多かったのは大きな敗因のひとつだった。スタッツ上でもミスによる失点はポーランドが20点だったのに対し、日本は26点も得ている。男子同様にミスによる失点の少なさは日本の強みというか強みにしなければならないところだと思うので、早急な改善が必要だろう。
また男子同様に相手のミドルブロッカーの攻撃に対するディフェンスの弱さも改めて浮き彫りとなってしまった。ポーランドのミドルブロッカーは2人合わせて17得点、アタック効果率66.67%と高い数字を残している。これは流石に決められすぎている。
一方日本のミドルブロッカーは3人でたったの5得点、アタック効果率14.29%とかなり厳しい数字となっている。MB荒木がアタック効果率66.67%とよかったが打数3本はやはり少ない。
日本はOH古賀のパイプ攻撃(マッハとジェット)をよく使っていたが、パイプ攻撃はやはりミドルのクイック攻撃の存在感があってこそ真価を発揮すると思われるので、アウトサイドヒッターの負担を軽減するためにも日本のミドルブロッカーにも攻撃面での存在感を出してほしい。
また日本の生命線であるサーブについてももっとリベロを外してプレッシャーをかけていかなければいけなかっただろう。事実相手のミドル打数が多かったということは、日本がサーブで相手を崩せていなかったことの裏返しでもある。
ただ悪いことばかりではなく、OP和田のスパイクは見事だったし、S関も試合の流れを変える役割を上手くやれていたと思う(だからこそタッチネットはもったいなかったが)。
しかしこの試合は本当にポーランドが良かった。ブロックやサーブはもちろん、スパイクも安易に打ち下ろさずに基本日本のブロックの上から長いコースに打っていたし、フェイント等の難打も上手く織り交ぜていた。
ポーランド女子は数年前までサイズはあるが大味なバレーボールをしているイメージがあったが、ラヴァリー二監督が就任して以来本当に強いチームになったと思う。
日本男子もそうだが、ポーランド女子もまた監督の手腕でチームが大きく変わることを示す良い例であろう。
惜しくも敗れた日本。男子と同じ黒星発進となってしまったが、フルセットでポイントを取った男子とポイントを取れなかった女子とでは、大きく意味が異なる。
次のブラジル戦、ネーションズリーグ準決勝では接戦の末に倒した相手だが、このオリンピックではまたギアを1段も2段もあげてくるはずだ。勝つことが当然ベストであるが、最低でもブラジル戦ではフルセットまで持ち込んで勝ち点を得なければ準々決勝進出は絶望的となる。
おそらくネーションズリーグ準決勝同様にOP和田がキーマンになるのではないかと思うので期待をしたい。
プールB順位表(7月28日終了時点)
※各プール2位以上の6チームと3位の中の上位2チームの計8チームが決勝トーナメント進出
1位 ブラジル 1勝 3ポイント 3/0
2位 ポーランド 1勝 3ポイント 3/1
3位 日本 0勝 0ポイント 1/3
4位 ケニア 0勝 0ポイント 0/3
次戦情報
予選プールB ブラジル戦
8月1日(木)20:00~(日本時間)
テレビ
NHK総合:20:00〜
ネット配信
NHKプラス
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[配信日時]
7月27日(土)午後5時 男子#1 男子#2
8月 3日(土)午後5時 女子#1
8月10日(土)午後5時 女子#2
8月24日(土)午後5時 男子#3
8月31日(土)午後5時 女子#3
9月 7日(土)午後5時 男子#4
9月14日(土)午後5時 女子#4
(TBSテレビリリースより引用)
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写真:Volleyball World